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もう一度Helveticaと向き合う

Helveticaというフォントのポスターを制作したので紹介する。

1、制作意図
 「Helvetica」という映画をご存知だろうか?2007年に制作されたHelveticaというフォントを取り巻く人々のドキュメンタリー映画だ。この映画はただHelveticaを賛辞するだけの映画ではない。モダンなデザインを体現する書体であるHelvetica。人々に愛されたHelveticaから、ポストモダンにおける反Helveticaの社会傾向。そして、また人々がHelveticaへ回帰するまでを映画は追っている。半世紀にわたるデザインの動向をHelveticaを通じて著名なデザイナーへのインタビューから基づき検証する内容だ。もちろん映画の中にはHelveticaを愛用する人も居れば、Helveticaが嫌いだと語る人も居る。
 映画を通して人々は身近であるHelveticaというフォントの存在を見直す。こういったドキュメンタリーの在り方に共感し、今回Helveticaのフォントポスターを作成した。
 なので、このポスターの主題は「もう一度Helveticaと向き合う」である。

2、ポスターについて
 そもそもHelveticaが広く普及した理由は、その限りなくシンプルなデザインにある。Helveticaはスイスで生まれたフォントなのだが、スイスではドイツ語・フランス語・イタリア語・ロマンシュ語の四つの公用語が混在する。つまり、どの言語の書体としても違和感の生じないシンプルさがスイスにおけるフォントデザインには求められていた。
 ポスターのメインである金属活版のイラストは直線で構成し、シンプルさを出した。
 色彩に関して、スイスの国旗から赤字に白文字の配色にしている。原色のみの配色により、シンプルながらも人目を引くデザインにした。

3、最後に
 Helveticaはそのシンプルさ故に「無個性の個性」と呼ばれるフォントである。その汎用性の高さからデザイナーにとって頻繁に使用するフォントのひとつだろう。だからこそ、もう一度Helveticaというフォントの存在と向き合ってほしい。

読んでくださりありがとうございます。大学時代にやっていた陶芸が恋しいので、サポートして頂いたお金は、信楽粘土を買う代金にあてる予定です。