中国のKOL事情

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道具のように扱われる上海現地KOL
中国で、ある網紅(KOL:Key Opinion Leader 中国のインフルエンサー)が、某日系企業の新製品発表イベントに参加した時のこと。
イベント終了後、企業の中国人の担当者が、KOLを会場の隅に集めて、突然、一人ひとりの撮った写真を見てダメ出しを始めたのです。さらには、投稿する文章を見せろと言い、内容に問題があれば、その場で書き直しをさせていました。このKOLは、イベント当日、自分のタイムラインにアップしましたが、翌日には削除してしまいました。理由を聞くと「あの会社は私たちを全く尊重していない。お金をもらっているから言う権利はないのかもしれないけれど、あいさつもお礼もなく、偉そうにチェックしていた。すごく腹が立った。もう二度とあの会社の製品は使わない」と答えていました。

それは仕方がないことか?
別の日系企業の市場部の方に、この話をすると「たぶん、新商品全てが写真に納まっているか、また、間違った投稿をされないように文章をチェックしていたのではないでしょうか」「せっかくお金を出したのに、間違った情報を投稿されては意味がありませんからね」と話していました。
確かに気持ちはわかります。しかし。数百万の消費者に届けば、1人や2人のKOLの不満など重要ではないと思っているのでしょうか?
本来、クチコミはオフラインで自分が本当に良いと思ったものをオンラインにアップし、それに共感した人が転載するということだと思っています。
しかし、昨今のKOL起用は、それがシステムのように扱われ、KOLは、クチコミを拡散させるための道具のように扱われているように思います

KOLというビジネスモデル
中国のKOLは、一つのビジネスモデルになっています。KOLのバックにはKOLを扱う会社があり、プラットフォームもそれに加わったりしてお金を生み出しています。最近は、様々な規制や法律ができてきましたが、基本、お金を払えば何でもできると言っても過言ではありません。
ある人は「お客さんから、前回のイベントはKOLにイイネが3万件ついたので、今度は4万件になるようにしてくださいと言われて、KOLの運営会社に話したら、大丈夫まかせてくれと言われて、確かに4万件のイイネがついた」と話していましたが、こういった要望が、普通に存在するのも、それに対応できるのも中国ならではという感じです。
マスコミを通さず、ダイレクトに消費者に伝わるKOLは、一見、理想的なコミュニケーションチャンネルのように見えますが、お金をもらえば、その商品を好きでも好きでなくても扱ってくれるので広告ですね。
自然発生的な口コミ拡散でないとしても、フォロワーに届くことは届くので、やる意味はそれなりにあります。
中国の場合、KOLは口コミ拡散だけでなく売りにつなげるのがねらいです。
KOLが紹介した商品を見たユーザーが、そこから淘宝やTmallに言って買うことでモデルが完成するので、へたなWeb広告を打つよりも効率的で、うちはこれ一本ですと、ある会社の市場部の方が言っていました。

※下は小紅書から

小紅書

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