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第二十二章 追い込まれてFC加盟
ハンコのFCに加入する
そんなこんなで天職探しをしていた43歳、日経Uターンという雑誌に載っていた顔写真ハンコの会社の記事を読みました。シャチハタみたいに、押すと自分の顔写真がスタンプ形式に残るハンコ。商品名はデジハンでした。実はこれに似たフォトポンという顔写真ハンコを以前愛用していたので、その良さはすぐにわかりました。
記事を見るとFCも募集しています。2カ月ほど悩んだのですが、当時のFC加盟店に電話して聞いてみると、うまく行っているところはほとんどない。でもそれは、彼らの営業力がないからだと思いました。
どこも本業は建材販売、、食品販売、スナックバー、雑貨品販売などで、本気でやっている加盟店はほとんどない。この顔写真ハンコは、いわば個人広告。俺は広告代理店をやっている。広告業の延長だから、俺がやればうまく行くはずだ。
かつ、福岡地区で独創的な加盟店はない。商品は面白い、粗利も2500円の商品で6割ある。商品の差別化もでき、これは面白い。俺がやればできる。私はできる!必ずやる!やればできる!陽転思考だ!思考は現実化するのだ!とにかくやるのだ!と、なけなしの金をはたいてFC加盟店に加入しました。
私と妻の実物ハンコを作ってチラシを作り、まずは知り合いの会社を廻りました。商品単価は2000円。最初に顔写真を用意してもらうか、なければこちらで出向いてデジカメでパチリ。その写真を事務所へ持ち帰り、パソコンで画像処理をして版下を作成。それを専用の焼き付けプレス機械に挟み込み、ハンコの版をプラスティックのカバーに組み込んで出来上がり。
安いのと、自分の顔写真がハンコになるのは面白がられ、インクを補充すれば名刺やパンフレットに何回でも押せる実用性もあり、出だしは順調に受注できました。
知り合い系をほぼ一巡した後、新規開拓を考え、とりあえずチラシと見本ハンコを持って、ビルの上から片っ端に法人の会社を廻りました。
飛び込みで受付の女性にまず、チラシを出して受付の目の前で顔写真ハンコをポン!と押し、「スゴイでしょう。担当の方をお願いします!」と大道芸人を演じました。
旭化成の住宅会社や外資系の生命保険会社など、予想はしていましたが、やはり仕事で文字通り顔を売る必要がある営業マン、ウーマンに売れることがわかりました。
よし!イケル!多い日には約300件に飛び込み。一度に10個以上の注文をもらえることもありました。ハンコの製造は妻がやってくれましたが、一個ずつ手作りで大量生産できませんので、注文が重なったときは大変でした。
ある時、仏壇の「はせがわ」から営業員100人以上を大型受注。フル稼働状態でやりました。しかし結論は毎月赤字。労多くして実り少なし。単価の低い商品を手作りで、かつ、リピートがほとんどないのが致命的でした。結局、3カ月で辞め、他のFC加盟店もその後ほとんど撤退。数年後、本部も破産しました。
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