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先天性耳瘻孔の話1

最初に意識しだしたとき

耳に小さな穴があいていることは私は知らなかった。何しろ自分では見えない場所であり、ふつうに鏡を見ても見えない場所でもある。ただ、そこが腫れてきたのは、高校2年生17歳のとき。確か塾で勉強していたとき、ふと気づくと、耳が濡れているような気がして、手をやると膿のような液体が耳を濡らしていた。これは只事ではないと思ったが、痛くもないので、その時はそのまま塾の授業を受けて帰宅した。帰宅後母に耳を見てもらうと悲鳴。「え?何?どうなっているの?」と聞くと「ぐちゃぐちゃ・・・」という答えが返ってきた。

初めての手術

東京広尾の日赤医療センター耳鼻科を受診。ゾンデという細い綿棒のようなものを穴に入れて深さを測った。私は見えていないのでわからないが、当時の母の話だと、ズブズブと入ったとのこと。抗生剤でまず炎症を抑えてから全身麻酔で手術をすることになった。炎症を抑えないと手術の傷がきれいに仕上がらない、ということで、確か数種類の抗生剤を試したような気がする。当然、入院。それまでにどうにか効く抗生剤がみつかり、腫れが引いた状態で手術を受けられるようになった。担当のY先生も喜んでいた。「ああ、これならいい状態で手術できるね」と。
私は別に手術は怖くもなく、むしろ初めての入院、初めての手術にわくわくした気持ちのほうが強かった。

全身麻酔ということで、おそらく1週間くらいの入院だった。手術前日には麻酔科の先生も来て、口をどれだけ大きく開けられるかを調べられた。この時は笑気ガスによる麻酔だったと記憶している。

手術時間は予定よりずいぶんかかったらしい。なかなか手術室から戻ってこない私を母は心配しただろうな。
「外耳道の近くまで管が伸びていて、時間かかってしまいました」と先生。これが、私の初めての全身麻酔の手術だった。両耳。

その後、耳のことで気になることはなかった。しいて言えば、冬の冷たい風が耳に当たると手術跡のあたりがピリピリと痛むくらいだった。ただ、この痛みはその後10年近く残った。

そして44歳で2回目の手術

左耳に違和感が出てきたのは44歳の5月だった。ちょうど、連休で、家族と、夫の友人と一緒に里山登山とキャンプを予定していた。左耳の違和感は痛みとなり、ズキズキとしてきた。手術したところだ。こんな状態で山に登れるんだろうか。そう思ったが、家族で一緒に出掛けられるのも貴重だし、予定をキャンセルしたところで、GW中だから耳鼻科は受診できない。だから、予定どおり決行することにした。無事登山は終えたが、そのあとはキャンプ。持っていた鎮痛薬はなくなり、キャンプ仲間の女性から鎮痛薬をもらってしのいだ。幸い痛いだけで熱がでたりはしなかったのがよかった。キャンプを終え、最寄りのドラッグストアで鎮痛薬を買った。このときは1日3回飲まないとつらいほどの痛みだった(続く)。


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