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No.15 落ちた志望校

ヤンキー中学に入学して3年目の春がきた。

夏には部活動を引退し、
それ以降は受験勉強に励む日々が続いた。

私は親からの期待を汲み
偏差値55のとある公立高校を第一志望にし、
勉強を頑張った。

何せ勉強は苦手なので、
すぐにモチベーションが下がって
外に出たくなる。

モチベーションを維持するために、
志望校に進学したらやりたい事を
ノートにズラッと書き込んで
それを毎日唱えていた。

志望校入学後にやりたい事は

1. バレーボール部に入って夏合宿に参加する
2. 部活動をしながらバイトも頑張ってする
3. 制服をアレンジして可愛く着こなす

などだった。

全中学生が思い描いてそうな高校生ライフを
かやまゆうかも想像していた。

そんな高校生ライフを送るべく
必死にお勉強を頑張っている
というストーリーだと
読者の皆さんも応援したくなる気持ちが
少しでも出てくださると思うが、

かやまは全くそうではなかった。

受験生なのに学校外での勉強時間は
習い事の塾の1時間も入れて
平日はたったの2時間弱。
休日は3〜4時間。

通常の受験生の学校外での学習時間は
平日3時間、休日は8時間くらいが
大体の平均値だろう。

では学校内でやってるのかというと
それもそうでもなかった。

配られたプリントを白紙で出したり
授業中に居眠りしたり
自習時間はよくトイレでサボっていたり
学習態度は実に最悪だった。

そんな最悪を過ごし、とうとう冬がきた。

もうそろそろ受験も間近だという時になって
ぷっつり受験勉強の糸が切れた。

それは数学の点数があまりに悪く
志望校に合格できるか怪しいと言われた事が
原因だったかもしれない。

(まああれだけ勉強に時間を費やしていなければ
当たり前の結果なのだが)

その事実を確と受け止め、
受験までの数ヶ月の間で死ぬ気で数学と向き合い
少しでも学力を上げればいい話なのだが
数学への諦めはとてつもなく早かった。

その頃から、家に帰ると花嫁修行だとか言って
勉強もせず毎晩毎晩ご飯を作り
せっせと家事の腕を磨いていた。

『いい高校に入っていい大学に入ったからって
いい男と出会うかどうかはわからないし
結婚してもその後順風満帆に続くかどうかも
わからない。
普通の高校に入って普通の大学を出て、
美味しいご飯が作れて男の人を癒せる人の方が
結婚しても順風満帆に続きそうだから
学力は普通で良いしそれよりも家事の腕を磨く』

などと訳のわからない屁理屈を言っては
自分を正当化して勉強する行為から逃げていた。

案の定、第一志望の公立高校は落ち
滑り止めで受けた私立の学校に通う事になった。

私立に通うのは相当嫌だったが
何せ勉強していない自分が悪い。

その事実を確と受け止め入学するが、
実はそこが地獄の入り口だという事を
この頃のかやまはまだ知らない。

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