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No.43 「2、3時間くれたら25万円渡します。」

高校卒業以来、
一切連絡を取っていなかった友達から
「久しぶり」と急にきたメッセージ。

「かやまにお願いしたいことがある。」と
その後に続いたメッセージが衝撃だった。

「25万円あげるから助けてほしい」
「簡単に話すと月末のお昼2、3時間だけ
時間を空けてほしい」ということだった。

全く中身の無い内容で驚いた。

だが私は25万円と言う数字に目が眩んだのか
その子と電話で具体的な内容を聞こうと
話を前に進めた。

電話で良く聞くと、コロナの為に支援金として
国から出ている【持続化給付金】と言うものを
申請すると、私のポケットに25万円が入る。と、
そういう内容だった。

しかし、皆さん思い出してほしいのが、
コロナでの持続化給付金は
最大100万円だったはず。
一体どこへ残りの75万円は消えるのか…。

高校以来会ってなかったS君の紹介で
この方法を教えてくれたのが、後に半グレだと
気づくのだが、S君の友達のK君だった。

そのK君とK君の仲間の元で
持続化給付金の申請を受け、
100万円を国から支援してもらえると
私の手元に25万円、成功報酬としてK君らに
75万円が入るという仕組みだった。

持続化給付金のことなど一切知らない私は
初めは何のことやらさっぱりで戸惑いもあったが、
25万円をもらえる嬉しさで頭がいっぱいになり
100万円丸々を自分でもらえない事や
不正受給するという罪に一切意識を向けずに
S君の頼みを承諾することにした。

すぐさま彼にその事を報告したが
彼は簡単にはYesと言わなかった。

私が危ない橋を渡りかけていると知って
人としてちゃんと善悪を判断し
解決策を述べようとしてくれていたのだ。

が、彼もまた25万円という数字に目が眩んだのか、
俺も一緒に同行する。と言い張った。

何とかK君らに交渉して、彼の営業終わりの
午前2時に、ミナミのとあるシーシャバーで
会うことになった。

K君は私にしてくれた話を彼にもしたが、
彼は先に25万円をこちらに渡すよう要求した。

100万円全て持っていかれる事を
ずっと懸念していたらしい。

彼がなかなか引き下がらないので
K君はサッと25万円の入った封筒をカバンから出し
バンっと机の上に投げ捨てるかのように置いた。

これで彼の要求は通り、
私は持続化給付金の申請用紙を
K君らの指示通りに記入した。

申請用紙以外にも、
脅し文句がたくさん並べられた書類に捺印した。

そして次の日、ケータイでの申請フォームに
これも彼らの指示通りにポチポチと入力していき、
無事に申請を済ます事ができた。

その1週間後、国から支援金として
私の口座に6桁の数字で振り込みがあった。

私はすぐさまその100万円をK君に持っていき
K君のいう取引は完了。

たった25万円で目がくらみ、
上手いこと口車に乗せられ
大犯罪を犯したかやまは、この後も
警察を巻き込む大事件を
引き起こしていくことになるのだった。

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