No.46 誘き出す為の罠

知らない男に案内され部屋に入ると、
私が一方的に連絡を無視し続けていたK君とS君も
一緒に部屋の中にいた。

K君とS君の他に、知らない男とその彼女と
もう1人胸板の厚い豚鼻の男がいた。

私はギョッとした。
ああ、こういう事だったんだな。
彼のことも含めて全て、私を誘き出す為の罠か。
と大体を察したが動揺せず、
床に膝をついてお行儀よく正座した。

「久しぶりお姉さん」とK君に言われ、
「お久しぶりです」と何事もなかったかのように
ニコッと笑って返した。

「それで…、」とK君が続けて言おうとしたが、
「彼の浮気どうこうの話で呼ばれたので
話しましょうか」と
少し強気な口調で私は話を遮った。

「じゃあその後にこっちの話するわ」とK君は言い
話は私の彼氏の方に移った。

知らない男の口から詳細を説明された。

知らない男の彼女とはインスタ上で知り合い、
DMでやり取りをしているうちに
会おうということになった。それも彼女の家でだ。
ミナミで合流し、そこから2人で
ミナミから歩いて10分くらいにある彼女の家に
向かったらしい。
その場面をK君と知らない男がたまたま見ていて
こっそり跡をつけ、家の中に入ると
彼と彼女2人でいた。

こういう流れで事件は起こったらしい。

なんて馬鹿なんだ私の彼は…。
と肩が地面に着くくらいまでがっくりと
落としたかったが、背筋を正して
「申し訳ございませんでした」と深々と謝った。

彼も同じように頭を下げ
すいませんでした。と謝った。

するとK君が謝罪金として10万円を払うように
彼に言いつけた。

10万円？！
彼女も彼氏いるのに別の男を易々と
家に上げたのも悪いでしょ。
と思ったが、この状況では
何を言っても不利な状況になると察したので
余計なことは何も言わず、もう一度謝罪した。

知らない男から彼への話は一通り終わり、
今度はK君から私への話へと移った。

どうして連絡を無視したのか。
そして連絡を無視した代償とキャンセル代として
明日までに合計40万円用意しろと言われた。

え、40万円？！明日までになんて無理でしょ…！！

K君は何かと無理難題な要求をしてくるし、
優しい口調になったかと思えば怒り口調になったり
拳を振り上げる素振りをしたり
常に脅されているような感覚がしたが
表情を一切変えず、またリアクションも取らずに
ただ淡々と前を向いて聞いていた。

K君の話は何時間も続いた。
その間、私と彼のケータイは没収され、
外と一切連絡が取れない状況だった。

いくら話し合いをしても40万円払うしか方法がない
と思った私は、早くこの場所から
逃げ出したかったこともあり、
明日までに消費者金融に行って用意します！と
嘘をついて解放してもらえるよう説得した。

私の説得は通り、
明日40万円きっちり足を揃えて持ってくる事で
なんとか片がついた。

解放されたのは朝の3時。

知らない男と会ってから約4時間が経っていた。