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お酒を飲まないマレーシア人の謎

お酒とマレーシア


クアラルンプールと言えば、ピューター製品(すず)。かっこいいビアマグなどが売られている。でも、私の知っているマレーシア人は、ほとんどみんなお酒を飲まない。私が知っているマレーシア人は中華系がほとんどだからか、集まるとお茶ばかり飲んでいる。ちなみに、マレーシアの中国茶はとてもおいしい。

マレーシアはマレー系と、中華系と、インド系と、そこへさらに国際色豊かな人々が混ざり合う多民族国家。宗教も言葉も違うけれど、一つの国で共存している。マレー系はイスラムの人が多いので、お酒はそもそも飲まない。だからマレー系が多い地域は、コンビニへ行ってもお酒が売られていない。

でも、中華系といえば、お酒がめっぽう強いイメージ(あくまで私のイメージ)。でも、中華系マレーシア人は、飲まない。食費が極端に安いマレーシアでは、お酒は比較的高く、飲むことが経済的でないこともあるかもしれない。

知り合いのマレーシア人の青年は、日本を旅行している間は、日本酒をこよなく愛し、毎晩のように飲んでいた。ところが、マレーシアで再会した時は、一滴も飲まない。一緒に行ったレストランで、メニューにお酒があっても注文しない。不思議だなあと思っていたら、ある時私の考えをひっくりかえす事件があった。
マレーシアを旅行中の夫(と言ってもその時は結婚前、それも付き合いたての頃だった)が、日本にいる私に電話をかけてきた。なんと今結婚式に参列中だという。その夫の声が、やたら聞こえない。ときどきあがる大歓声で、夫の声がかき消されるのである。

「なんかすごい叫んでない?」

「ヤムセンしてるんだ」

「何て?」

「飲勝(ヤムセン)だよ。広東語かな。マレーシアの乾杯で、ヤ―――!ってできるだけ長く叫んでから、ムセン!といいながら乾杯して一気飲みする」

「何でこんなに何回も聞こえるの?」

「新郎新婦はヤムセンしながら各テーブルをまわらないといけないからさ」

「テーブルいくつあるの?」

「20くらいかな」

ヤ―――――ㇺセン!という叫び声を音割れする受話器越しに聞きながら、私は悟った。中華系マレーシア人って、パーティードリンカーなんだ! 

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