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明治のメディア王 小川一眞と写真製版in印刷博物館

印刷博物館で2月12日まで開催している「明治のメディア王 小川一眞と写真製版」
に行ってきました。

初めて行った場所でしたが、TOPPANの本社ビルの中にあるんですね。
コンサートホールやカフェもあって、大きな企業はやはり違う!と思いました。

常設展について

企画展の前に常設展。ここが中々見応えがあります。

常設展の展示室近くで、写真凸版印刷とコロタイプ印刷の説明動画が流れていました。
本当、とても手間がかかるし職人技だし、すごい。
実用にはほとんど使われていないだろう道具や施設が、現存していることが素晴らしいと思う。
こういうものを後世に伝えていくのが博物館の役目なんだなあ。

印刷の5要素は原稿・版・紙・墨・圧力

日本の印刷史は「百万塔陀羅尼」から始まるそうです。

現存する中で、印刷された年代が明確なものでは世界最古だそう。

西洋では聖書のために印刷文化が普及されたことを考えると、
宗教のおかげで印刷文化が進んだと言えるかもしれないですね。

最近も大河で徳川家康がテーマとなっていましたが、日本で最初の銅活字を行ったのは彼だそう。
印刷史的にも重要人物だったんですね。
25年の大河は、浮世絵などの出版で有名でありTSUTAYAの由来でもある蔦屋重三郎。
今年は「源氏物語」の紫式部だし、出版や印刷史ゆかりの方が大河になりやすい昨今ですね。
印刷を行う行為自体、人々に与える影響が大きいということなのでしょうが。

日本語はひらがな等は崩して書くので、活字より木版(整版印刷)が広まったという。

ハングルの活字も展示されてました。
ハングルは発音する際の口の形を元に文字の形が決まったと聞いたことがあります。
それと同時に、活字にもしやすい形なんじゃないかなかと実物を見て感じました。

色々見て気になり調べてみたのですが、
世界で最も大きい本はブラジルで出版された高さ2.01m、幅3.08mの
『星の王子さま』(サン・テグジュペリ)だそうです。

ちなみに最小の本は2013年に更新されてました。
なんと印刷博物館で実物を見ることができます。

世界一大きな漫画本は「進撃の巨人」なんですね。

ところで、ここには現存する世界最古の木製ねじ式手引き印刷機のレプリカがあります。

印刷工房インストラクターさんによる印刷実演を見ることができました。
グーテンベルクがワイン絞り機から着想を得て作ったそうです。
でっかいスタンプ台みたいな感じだな、と思いました。
これで本作るとか気が遠くなるぜ。

明治のメディア王 小川一眞と写真製版

もう既に興味深いことをたくさん知ることができて、満足してしまったところはありますが
ここから企画展です。

写真師であった小川一眞ですが
写真撮るだけで終わらず、印刷し出版したことで、明治のメディアの中心人物になった。
旧千円札の夏目漱石を撮影したのは彼だそう。

私は写真専門学校に通ってましたので、当時はモノクロ写真を暗室で現像することもやっていました。印画紙で写真集を作ったこともあります。そのことを懐かしく思い出しました。

アンケートに答えてもらえるコインでガチャガチャができる。
シールが当たります。

鎌倉の大仏様でした。
良き。

世界のブックデザイン

併設するギャラリーでは世界のブックデザインを開催していました。
こちらは3月3日まで。
個性的なデザインの本がたくさんで面白い。
製本についても知りたくなる。
電子書籍はデバイスで紙面サイズが決まってしまうということを
改めて考えさせられました。

感想

すごい見応えありました。
特に常設展では、昔の職人たちの、手仕事の技術の高さに感服しました。
昔の人の方が、身体的にはずっと洗練されている。

昨今急成長してきているAI。AIは、物体化することはできない。
身体が存在することは人間の強み。手仕事、何かしてみたくなります。

現代は、アナログがどんどん廃されて、場所が重要ではなくなっていく。
でも物を目の前にしたからこそ、実感できることの重要さにはむしろ気付かされる。

みんなスマホで写真を撮りますが、撮った写真はどうしているでしょうか。
TwitterやInstagramに載せることで、それは写真から情報へと姿を変えます。
インターネットに流すことで誰の目にも触れることができるようになりますが
ネットの海はあまりにも広大。
印刷して展示会に出したり、本としてまとめて同人即売会に参加してみたり
そうした方が、誰かの心に何かを残せるのかもしれない。






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