【コピー本同人誌】 RE 【製作記録】
長い?ようなそうでもないような。
いつも通りの製作記録日記です。お好きなところからご覧下さい。
はじめに。
こちらは現行ジャンルで1番最初に作った同人誌の製作記録です。
この本は衝動的に『どうしても作りたくなって作った』本でした。
自分にしては ごちゃごちゃとした手を掛けずに製本した本です。
ただ、ひたすらシンプル。
だけど、色や本の持つ雰囲気が好きな作品です。
実際に発行してお手にしていただいた時にも『コピー本?』というお声を頂くことが多かった気がします。
手はさほど掛けてない、でも他のコピー誌とはちょっと違う。
道具が少しあれば簡単に作れるので、気持ち凝ったものやってみたい…なんて方にはオススメしたい。
今回はそんな製作記録です。
イメージ固めと表紙決め
初めてのジャンルでの同人誌。
新天地での初めての本。
毎回ではありますが、正直これ1冊で満足してもう本を出すことはないかもしれない。
最初で最後になるかもしれない。
自分にとっても、手に取っていただく人達にとっても素敵な本になるように、いつもそんな思いが『初めての本』には詰まっています(だからこその特別感がある。)
前ジャンルではカラー表紙が多かったのですが、 今回のジャンル的にあまりカラフルなイメージがありませんでした。(元作品全体の彩度が低い為)
描こうとしているキャラや物語と合わせると 落ち着いた、どこか品のあるような、そんなざっくりした装丁のイメージで紙を合わせようと思いました。
重厚感のある色味、重すぎない色味ってなんだろう?
ブルー、グリーン、グレー……。
色々な紙色を見たり、テクスチャ感のある紙を考えてみたり。
描きたい話の内容、作品イメージとどうしたら合うんだろう?
明るい色や派手な色(ビビッドカラー)は違う、落ち着いていても寒色は避けたい、でも暖色も違う気がする。グレーは雰囲気合いそうだけど表紙には違う気がする。
黒じゃない、白じゃない……。
そこから導き出されたのが、この色でした。
『大切にしていた記憶』を描く、と決めていました。
この色を見た時に自分の作品とのピントがあった感じで。
モノクロではない色。
懐かしさ、記憶を思い起こさせる色。
セピアほど薄くなく、少し濃いめで程良く重厚感のある色。
表紙イラストも色味に合わせて、キャラではなくモチーフ的なものが良さそう…。
記憶を繋げるもの、作中の『武器』のイラストで墨刷りなら落ち着いていて雰囲気合うんじゃないか?
そうして作られたのがこの表紙でした。
この形(色紙×黒インク)が自分の中でハマってくれたおかげで、2冊目以降の『ensorceler』『歪んだ王国』などにこのテイストが引き継がれていきます。(余談ですが、イベントへ参加した時に自分のサークルだけ本の表紙が単色で目を引くかも?…と思ってたりします。)
この本が一番最初の本の為、再版回数が多いのですが紙を扱っていたお店がこの色の取り扱いやめてしまいまして、今はマーメイドで代用しています。マーメイドは色が豊富で紙の質感も好きです。厚さが程良くあるから表紙にピッタリで使い勝手いいですよね。
遊び紙
表紙のイメージを違和感なく本文に繋げるようにしたくて同系色の紙を選びました。
あまり考えずに選んだ紙でしたが、合わせてみたらとてもシックで素敵な仕上がりになって、この併せを褒めてくれた方もいて嬉しかったです。
口絵
表紙がモノクロや単色、2色刷りの時は、できるだけ中にカラーイラストを入れるようにしてます。
この本は初版から2版目くらいはトレーシングペーパーを使ってました。こちらのトレーシングペーパーはインクジェット対応なので非常に重宝してたのですが(普通のトレーシングペーパーにインクジェットで刷ると滲んでしまう)こちらが廃番になってしまい、手持ち在庫無くなった今は色々な特殊紙で作ってます。
廃番は毎回刷る度にぶち当たる問題なのですが、癖の強いものは特に廃番率が高い気がしてます…。
本文用紙
本文用紙は表紙の色を決める時に悩んだグレーにすることにしました。
グレーもメーカーによって色が違うのですが、ウォームグレーっぽい濃いめのイメージだったのでこちらを選びました。
普段ITO-YAの紙を使うことが多いのですが、明るいグレーだったので断念。
こちらは落ち着いた紙色なので、お話の雰囲気にあってとてもよかったです。
お話の内容によって紙色は変えたいと思ってるので、シリアスめなお話の時はこちらを愛用して使ってます。(2冊目、4冊目に出した本ではこれを使いました。)
表紙の加工をする道具
表紙の加工をしていきます。
使うものはスタンプとスタンプ用インクとエンボスパウダーとエンボスヒーター。
ほぼ毎回このアイテム達を使って私は同人誌を作っています。
スタンプを使い始めたのは、イベントで配布してたペーパーに押してたのが最初で、そこからコピー本をつくるのに モチーフやテーマ合わせで雑多に集めてしまって結構な量になってます。エンボスパウダーもしかり。海外のメーカーだと色の種類がたくさんあって、つい手を出してしまいます。(使ってないものも多い…)
今回の本には表紙1箇所、裏表紙2箇所にポイントを置いて加工していきます。
エンボスパウダーでエンボス加工をする
コピー本で少し手間をかけるのであれば、エンボス加工するのが1番手軽で、触れた時に面白さもあるので個人的にはオススメです。
インクやパウダーに使う紙との組み合わせで色々変化が楽しめるし、金や銀のメタリックな加工が手軽にできます。
私は同系色の併せが好きです。黒に黒や白に白、赤に赤のエンボスなどの併せはとてもトキメキますね。あと無色のパールのエンボスパウダーは単体でもインクと合わせても使い勝手が良いのと色の見え方が面白くて最近はお気に入りです。
スタンプ×メタリックカラー
今回はアクセントとして、鳥かごを金色で押しました。
箔?と言われる事がありましたが、箔ではなく……ただの金色のスタンプインクです。
こちらのスタンプはパッドにインクを垂らして染み込ませてから使うタイプ。色鮮やかでメタリックもハッキリしていて、とても綺麗です。速乾性もあるので扱いもし易い。
ビニールとか、プラスチックやガラスにも使えるので色々な使い方が出来るのも魅力ですね。
トレーシングペーパーとかにこのシリーズの白インク押すのが好きです。毎回押す度に この併せがかわいいんだよ!と言ってる気がします。
そこまで【凝った】ことはしていない。
やったことはシンプル。何かを切り抜いた訳でもないし、金具で装飾したわけでもない。
表紙特殊紙、本文用紙は色上質、口絵を付けて表紙にスタンプ&エンボス加工という本当にこの本は単純な作業なんですが、『好き』と言ってくださる方が意外に多かったです。
作品のイメージだったり世界観だったり、そこは大事にしているつもりで全てのアイテムを選んで作ったので、その気持ちが伝わったのかな、と思ってます。
ほんのちょっとだけ違うことしてみたいとか、少しだけ手間をかけてみようかななんて思った方の参考になれば幸いです。
では、また次の製本記録で。
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今回使ったものたち
【RE】(初版から2版目)
表紙/キャンソン・ミ・タント(タバコ)
遊び紙/エスケント スターライト(ブロンズ)
口絵/トレーシングペーパー(インクジェット対応紙)本文/サカエテクニカルぺーパー(グレー)
(3版目以降変更した紙たち)
表紙/マーメイド(コーヒービーンズ)
口絵/タントセレクト(TS10)、岩はだ、新草木染…etc