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【コピー本同人誌】回顧録・ひうつりの花【製作記録】

本の製作をしないと書く事がないnoteですが、たまには更新を、と筆をとってみました。

今回は以前作った過去のコピー本(約3年前)の制作記録です。 
多分、今まで作った中でも最高に面倒な製本だったんじゃないかと思います。

相変わらず長いですが、お楽しみいただければ幸いです。


本のコンセプト、テーマカラー、タイトルを決める

妓楼の妓女の本を作ると決めていて、赤色、そして、彼岸花を絡めた話、というざっくりとしたコンセプトが随分前から決まっていました。

本のタイトルはその2つのテーマから捻りあげて、【ひうつりの花】と付けました。
この本には、4つの小話(+巻末)を載せていて、タイトルの『ひうつり』という言葉に合わせた漢字(焔/燈/緋/陽/+彼(彼女))の物語構成にしていました。

本の装丁を決めていく(アイディア出し)

ぼんやり『変型本を作ってみたいな〜』…と思い、作ることに。 

今回はB5変型で。縦型の変型本。
要はB5サイズを縦半分に折った変型本です。

ちなみに、このサイズだと描く面積狭いからいつもより原稿楽なんじゃね?と思ったのですが、普通のサイズより描く場所が狭い分、私の稚拙な構成力ではいつもよりページ数が増していってるだけで、何一つ楽じゃないという事が分かりました。
ほんと舐めてました。すいません。

描ける面積が狭い分、コマ割りが上手くできずボリュームが増えただけでした…

本自体にイメージカラーの赤をどこかに使いたいと思ったのですが、赤の使う所を表紙にするか、それとも遊び紙、本文にするかと結構悩みました。

あと、どうしてもタイトルには赤をのせたくて。
ここは装丁で譲れないところだ!と悶々とメモ帳にアイディアを書き出してました。

考えた末にタイトル赤にしたら表紙は赤だと見づらいので、本文の中身とタイトルを真っ赤にする方向で決めました。

表紙用紙を決めて、試し刷り

彼岸花を合わせたイメージイラストをカラーで描いていたので、この絵を表紙にするなら光沢のある白のパール系でも良いのかな?と思ってたんですが、内容が重めなのでもっと暗い、濃い色を選んだらどうか?という結論に至りました。(そして、前から濃い色の紙であえて印刷することへの憧れがありました。)

今回選んだのは、スターカラーケントのメタリックブルー。両面に光沢のある綺麗な紙です

いつも表紙は家のインクジェットプリンターでやってますが、今回はカラーコピー機で印刷することにしました。(使われてるインクの違いなのですが、インクジェットは色が紙に沈み込んで濃い紙だと色が出なくなります。カラーコピーならトナーインクなので、ある程度インクが乗る。)

まず、買ってきたA4の用紙に原画をコピーします。
B5程度の大きさになるように縮小設定していざ印刷。

心配してた肌色もトナーはちゃんとのってくれた。

印刷したらこれを手動でB5に断裁して表紙は完成。

タイトル加工と遊び紙加工&差し込みアイテム

タイトルを赤くしたい!と思って用意したのは、スタンピングリーフというこちらのアイテムです。

箔はみんなの憧れ(多分)

箔の熱転写シートです。書いてあるとおり、コピーしたものの上にこのシートを被せて熱を上から当てると箔押しが出来るってやつです。
結構色んな種類出てて、見てるだけでもワクワクしてしまうアイテムです。

ただ、やってみて分かったんですが、慣れるまでに相当苦労しました(私は)

色々失敗しまくって分かったのはこの3つ。

①コピー機によってはこの箔が綺麗に乗らない。
②上から当てる熱は熱すぎても、低すぎてもいけない。
③ザラザラしたり、凸凹した紙には向かない。 

①に関してはご自宅にレーザープリンターある方は問題ないと思います。私は生憎所持して無いのでいつもの外部サービスに持ち込んでました。
どうやら1番綺麗に出来るのはCanonのコピー機(レーザープリンター)らしいのですが、某所は違うメーカーさんの扱いしかなかったのでいつも通りのコピー機で作ってます(出来にムラはあったけど味わいというか、許容範囲かなぁと。)

②アイロンで私は熱を加えてましたが、中温でやったとしても微妙に温度が高すぎてたり、低すぎてたりで中々コツを掴むのが大変でした。
私の場合は中温にした後、1回布にアイロンかけて熱を少し落ち着かせてからやると綺麗に箔押しすることが出来ました。
(ちなみにこのコツを掴むのに40枚くらいダメにしました)

ちなみに⬆の時はアイロン台代わりにコミケカタログ敷いてます…。めっちゃ丁度いい厚さでした…さすが。

あと、箔押しする文字や線が細かかったり細すぎると上手く乗らなかったので、私はタイトルを太く作り直ししたりしました。

③は紙とシートの圧着の問題です。
なるべく表面がツルッとしたものを選んでください。

表紙と本文を合わせる前。赤の箔押しで豪華になった。

遊び紙はわたくしお馴染みの?型抜きパンチを使って加工しています。
今回は中華風のパンチを探しまくってゲットしました。

メル⚫リありがとう!


オールレンジに抜けるの本当に助かる。


この遊び紙加工は今でも大満足している。

そして差し込みのポイントアイテムとして、抜き窓から覗く金色の蝶を演出してみました。
こういったペーパーアイテムはよくチェック入れていて、いつか使う!!と思っていました。

キラキラした金ではなく落ち着いたマットなシャンパンゴールドなのがとてもいい。
片羽が抜き窓から覗くように、折り曲げた蝶の胴体と黒の遊び紙をホチキスで予め留めています。
バラバラになると製本が大変なのです。

この蝶々は、ウェディング関係で使うアイテムです。グラスカード(席札)として使うやつです。
他のデザインのやつも是非今後また使っていきたいですね。

遊び紙その2?(もうここまでくるとどれが遊び紙なのやら。)

本文の手前に今回は真っ赤なトレペ(クロマティコの赤)を入れました。紙を合わせてみたら、表紙を開いた瞬間、赤箔タイトルと抜き型と蝶と赤の紙の一体感が目に入ってきて、とても素敵だなぁ!と思ってしまいました。(自画自賛)
あと、この後に続く本文に対しても仕掛けではないけどちょっとした工夫が見えるようにと思い、この色を選びました。

これは裏側の遊び紙部分。タイトルで使ったモチーフを入れました。

本文作り

本文は赤で!という非常に目に優しくない仕様を考えてしまったんですが、真紅みたいな赤ってなかなかない。さてどうする?となっておりました。

それとは別で、必ず本文の目処がたった時に全体の台割をいつも作るんですが、

台割。本の設計図、みたいなかんじ。

これ作った時に、『んん?今回、紙変え出来るじゃん?!』と思ってしまい…。ならやらねば!と、この本では2色の紙を本文に使いました。
序章のお話と終章のお話は柔らかく、間を繋ぐお話は少し暗いトーンのイメージだったので、それに合わせて紙も選びました。

序章、終章は色上質のアマリリス。 

アマリリス。オレンジ寄りのカラー

承と転の話は、ITO-YAのブリックレッドを。

ブリックレッド、朱赤のような色

紙変え出来ることって、なかなか無くて諦めることも多いんです。だから出来ると判明した時ホント嬉しかったです。

あと本文1枚目のページはコピー機とインクジェットで2色刷りしました。

コピーしてきたものを家のプリンターで赤の彼岸花をプリントしました。

何故これをやったかと言いますと、試験勉強で使う赤いシート(下敷き)みたいなことをしてみたくて。
本文と赤いトレペの遊び紙を合わせたら彼岸花が消えて見える…みたいな遊びを入れたかったんですよね。実際は少し見えてしまってるので、彼岸花の色をもっとオレンジ寄りにしたら良かったんだな〜とこれは次回ヘの反省です。

カラーページと巻末折り込み

今回は綺麗に中央で話が区切れるので、センターカラーを入れます(通常運転)

ディークラフトのフラワーを使いました。

本文の色味との兼ね合いも考えるとクラフトがしっくりくるな、と思いチョイスしています。
あと、せっかく作った表紙が勿体ないかなーと思い急遽巻末に折り込みを入れました。


巻末折り込みカラー漫画

普通にイラストを折り込むよりは、漫画を入れて、このイラストに繋げて折り込みしたら面白いかなーという考えでした。
この流れを入れたことで、本文の話を綺麗に締めくくってくれた気がしますし、この表紙はお気に入りなので上手く使えて良かったです。

大変だったこと

これだけごちゃごちゃやらかしてたら、全てにおいて大変だったんですが…特に箔押しとか確かに大変でしたけど、

製本(合わせ作業)が本当に大変でした。

なんせ、全部で52頁あるんです。
それを綴じなきゃいけないんです。
中綴じでやる枚数じゃない(笑)
分厚すぎるとズレるんですよね、紙が。

なので実はこれ、もろもろ3回に分けて綴じてます。

遊び紙の部分と巻末綴じ込みを綴じ、本文だけを綴じ、最後に表紙を合わせて綴じる。
それでもズレたり、ホチキスの針が入らなかったりで普通の製本合わせ作業よりも時間を要しました…。
今までのコピー本で、1番骨折れたよね…。

終わりに。

これは、かれこれ3年くらい前の本なんですが、今でも大事にしてくださってる方が居るのはとてもとても有難いことです。

なんでこんな面倒くさくて時間かかってコストかけてんのかな?と不思議に思われるし、私も思ってるんですけど…結局は作品をこうして創るのが楽しいっていう気持ち。ただそれだけです。

思い描いた形に出来るってワクワクしてドキドキして、辛いのは確かだけれど、完成した時は嬉しくて作って良かったなー!と思う。
手にしてくれた方へ想いが伝わった時、自分の中で作品に掛けた手間暇が、かけがえの無い宝物に変わる気がして。

だからこの作り方するのが、やめられないんだよねぇ(中毒)

この回顧録が、これから素敵な創作をされる方のヒントになれば幸いです。

今回も長くなりましたが、ここまで読んでいただき、ありがとうございました。(いるのかしら…)

また次の創作の時に、こちらは更新したいと思います。


今後の変型製本メモ…というか原寸サイズ実験中です。

何が出来るかは、また次回のお楽しみで。

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