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【番外編】紙を見つけるまで【コピー本製作記録】

イベントが無事に終わり、通販作業という名の製本作業に再び取り掛かっております。
新刊の再販作業の傍ら、今回使用した紙がとても素敵だなぁと改めて思ったので紙について書きとめたくて今回は作業記録の番外編としてみました。

理想の紙に出会うまで

先日発行したコピー本

今回出したコピー本が⬆の画像です。
前回のnote記事でご紹介した本の対となっていて、作り方の工程はほぼ同じなので割愛します。

コンセプトも前回と同じ、今回の色はグリーン×ゴールドにしようと思っていたので、そこから理想の紙の探索を始めていきます。

表紙の候補

今回の色は暗めのグリーン、深みのある色のイメージで探していきます。
当初、光沢のある紙を候補にいれてました。
それがこちらの紙⬇

リアクションfsという紙です。
お菓子のパッケージとかにも使われてる。
偏光紙なので、角度と光でこんなに表情が変わる。

実は前回の記事の本を作った段階でこの紙使いたいなぁと思ってたんですよね。
割とキラキラの光沢紙、偏光パール紙とか好きなんですが、この紙の表面の偏光がとても好みで。 
あとこの紙の推しポイントは裏面の色が違うところ。

裏面はブルーブラック。

両面仕様の紙って、ポイント高いなぁー!と思うんですよ。
偏光面を表紙裏にするのも素敵だし(インパクト強くていい)、このブルーブラック面に分かるか分からないかの感じで文や絵を載せるのもいい。色々遊べる紙だなぁと思ってます。

使わなかった理由

もうこれ一択!というくらい、この紙を使う気マンマンだったんです。
装飾金具をあわせるまでは。

使う予定の金具を合わせてみる

……うん、これじゃない。こうじゃない。

合わせてみないと分からないもんですね……。
偏光紙だからか、金具合わせたらギラギラしてて『これは違うな』となりました。
派手派手しい本ではなく重みのある本にしたいのにこんな紙も金具もキラキラしてたらあかん……。

リテイクという名の紙探し

ということで振り出しに戻りました。
さあ、どうするよ?となりますが、合わせて分かったこともありました。

キラキラした紙はダメだということ。

ということで、ここからイメージ通りの紙を求めて、ダークグリーン、そしてマット系の紙を探す旅に出ます。
探す時は手持ちの紙見本、自分の知識、画材店などの実店舗やネットショップが主です。

デザインの引き出しの付録。デザインの引き出しはいつも楽しいアイディアばかりで楽しみにしている雑誌。

ネットの方だとよく見ているのは

紙の温度
紙名手配
竹尾

竹尾さんは実店舗の方にもよく行きます。
どうしても画面と実物の色味が違うのと、手触りや厚みを自分で確かめたいので、紙の取り扱いをしている実店舗には足を運ぶようにはしています。
伊東屋とか楽しいですよね。見てるだけで時間が溶けていく瞬間です。

見つけた紙

時間を溶かしながらたどり着いたのがこちらの紙。

なかなか素敵な色味

こちらは サガンGAという紙です。
色の名前が『極・緑』。名前の通りの色です。
表面にエンボスのテクスチャがあり、本の表紙として求めている質感も個人的に好みでした。

紙を探してみた時点で、グリーンの色味って明るめの緑 かカーキ系の緑が多くてこの『極・緑』のようなダークグリーンってあまりないんだなぁ、と思いました。
そして表紙ならではの質感があるっていう要素は、どうしても外せなかった点なので、この紙と無事に出会えて良かったです。

金具や文字の金が綺麗に引き立ちます

表紙とあそび紙

当初リアクションfsで表紙を考えていたので遊び紙をこちらで考えてました。

キラキラ〜

ミランダです。
ガラスフレークのようなこの紙の光沢。好きな人も多いんじゃないでしょうか。

リアクションfsとならいいが、サガンGAとは合わない……

緑が表紙より明るいと浮いてしまっておかしな事態に。
これは同系色は難しいかなぁ、と気持ち切り替えて、表紙の金具色のゴールド系で探す事にしました。

で、たどり着いたのがこちら。

黒っぽくなってるけどゴールドです

ヴィンテージゴールドのモス
落ち着いたくすみゴールドでカーキっぽいカラー。これが思ったより相性よくて今回採用しました。

口絵

口絵は前々から使いたいと思っていた紙があったのでこちらを。

クラシコトレーシング

クラシコトレーシングfs  風の白です。星くずしの色つきがすべて廃色になってしまって、しょんぼりして、こちらを使いました。
風と見つけた霧のグリーン(廃色)と迷ったんですが、再販とか考えたらこっちかなぁ……と。

トレペ口絵を作る時はトレペがインクジェット専用用紙じゃないと家で印刷出来ないものが多くて(トレペ自体が水分に弱い為)今回はコピー機のカラーコピーです。

最近のカラーコピーも綺麗だねぇ

下に来る本文が透けると違和感を感じたのでトレペの下に黒の紙を差し込みました。
差し込んだのはこちら。

タントセレクト

衝動買いして放置してた紙なんですが、このタントセレクトの蔦柄が黒だとちょっと禍々しい感じあって今回の本にも良かった気がします。

印刷前に1度全ての紙の色を合わせます。

色を合わせた時に色味の流れが違和感ないか確認してから印刷してます。
自分の作品の質感と、紙のセレクト、色味にできるだけ差異がないようにというのが個人的なこだわりです。

専用封筒

最近の自分の本は仕様が特殊なので、保護封筒をお付けしてます。本の保護もありますが、今回のような金具があると他の本を傷つけてしまうかなと思うので。
今回は封筒も表紙と色味があっていてとても好み。

金の梟のインパクトよ…

この封筒はNTラシャのときわ。
歯車ストア様から取り寄せて使ってるんですが、カラバリも豊富で助かってます。

終わりに。

今回は紙が中々決まらなかったんですが、作り終えた今は上手く纏まったかなぁと思ってます。
今回使わなかった紙もいつか使いたいです(が、中身がないと作れない現実) 

しばらく新しい本は作らないので、note更新はこういう雑談とか、やりたい装丁や使いたい紙とかの話になるかもしれませんがまたお付き合い頂ければと思います。


今回使った紙一覧 
表紙/サガンGA(極・緑)170kg 
遊び紙/ヴィンテージゴールド(モス)107kg
口絵/クラシコトレーシング 風(白)41kg
差し込み遊び紙/タントセレクトTS-10(N-1)100kg


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