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WEB献花とメッセージ

「WEB献花」という予定が、私のスマホのカレンダーに残っている。
後にも先にももう入らないで欲しい予定だけど、これからの時代は増えていくのかな。

今年、とても悲しい出来事があった。
高校時代から大好きなバンド BUCK-TICKのボーカリスト あっちゃんがこの世から旅立ってしまった。
その大きな悲しみの中、我々ファンには暖かすぎるバンド側の諸対応があり、その中で私は人生初WEB献花というものをした。


もともとあっちゃんは美しすぎるが故にどこか異世界人のように感じていた部分はあれど、いつもイヤホンで声を聞いて、ライブにも毎ツアー参戦してお姿拝見し、まあ私の日常に現実として存在してくれていたのだ。
そんなあっちゃんが、天に旅立ってしまったと。

そんな中ファンとのお別れの機会として、もともと行う予定だったツアー会場でのイベントや、実際の献花セレモニーが企画されたのだが、私は第一子妊娠中の絶賛つわり真っ最中で、外出が厳しい状況だった。
その中でオンラインでの献花というものを開設していただいたことは、とてもありがたかった。

あっちゃんが無事にあちらにいけるように、あちらの世界で幸せに過ごしてもらえるように、ゆっくり休んでもらえるように、みたいな祈りは何度も何度も何度も何度も心で想って空に届くようにと祈った。
私は自分に”大好きな人とのお別れ”を自覚させるために、一連の何かに参加したかったのだ。


献花のページは、3つのお花の画像が用意されていて、そこから好きなものをダウンロードして、それを添付したメッセージを送れるよというもの。
そして皆が投稿したメッセージも閲覧できる構造だった。

まずはページ開設日に見に行ってみる。
ふむふむこんな感じね。何を書こうかな。
そんなことを考えながら皆さんが投稿したメッセージを眺めていたけど、いつしか涙が溢れてきてぽろぽろ泣いた。


今回のニュースに際して、私は当日の夜に初めて親族以外の訃報で涙を流し、その悲しみをTwitter上の他のファンの皆さん、また業界で関わりが深かったアーティスト達の投稿を見ては悲しみを共感し、自分でもつぶやくことで心を保っていた。

そこでは主に自分の想いを表出する場としてみんな投稿していた。私もその中の一人。
わけわからんぐちゃぐちゃな呟きを繰り返していた。
それが悲しみの共感にはとてもありがたかった。

ただ今回のWEB献花のメッセージはもれなく「あっちゃんに向けてのメッセージ」
各人が、あっちゃんに向けて言葉をかける場、伝えたいことを伝える場だった。そのひとつひとつの文章に籠った愛の尊さに、涙が出た。


文字数は限られているから、その中にありったけの想いを込める。
悲しいけど前を向いた文章を送る人。
どうしてもまだ悲しい、ごめんね、と添えている人。
ただただ感謝を伝える人。
妻が大好きでした、お世話になりましたと伝える人。

みんな、あっちゃんが読むことを想定して書いているような感じで、悲しい中でも心配させまいとしている文章がとても多いのだ。
素直に悲しみを伝えている人も多いけれど、ただ感情をぶつけるのではなく、どことなく皆”あっちゃんに伝える”ことを弁えたメッセージになっている。
そこから滲み出る愛情の大きさに、私は圧倒された。
皆、あっちゃんのことを想っているんだ。こういうことを伝えたいんだ。
どれだけの悲しみを乗り越えて、ここにみんな来たんだ。
そしてそれぞれ皆、悲しみを乗り越えてあっちゃんの分まで精一杯生きようとしているんだ。
それを知ってもらって、あっちゃんにはあちらで穏やかに過ごして欲しいよね、わかる。


人間って、こういう能力を持った生物なんだと、理性をもって表現し、仲間に手向けることができる生物なんだということを初めて強く思った出来事だった。
これが私がnoteを始めたひとつのきっかけなのだが、人の表現というのはこうも何かを伝えられるんだということをこんなことからあっちゃんに教わってしまった。
そう思いながら歌詞を読んで感じると、まあどんどんと新しい発見や新しい印象・感銘を受ける。
音楽関連じゃなくとも、人が発する言葉や文章に深みを感じるようになった。

そんなことを考えながら、ただただ安らかな眠りを祈るばかりです。
あっちゃん、またね。ありがとう。





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