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「タコピーの原罪」の「原罪」って結局何だったの?

※「タコピーの原罪」最終回までのネタバレありです

「タコピーの原罪」が完結した 

連載当初から「タコピーの原罪」はSNSを中心に話題になっていたが、「原罪」の意味については結局物語が完結しても良くわからなかった。
そもそも原罪とは宗教用語である。
「タコピーの罪」ではなく、わざわざ「タコピーの原罪」としたことには意味があるはずだ。

宗教的に言えば、タコピーママ=神、ハッピー星=エデンの園、タコピー=アダムもしくはイブということになる。

よくタコピー=キリストという解釈をみるがこれは理屈に合わない。
何故ならキリストは磔刑に処されることによって知恵の実を食べた人類原初の罪を贖ったわけで、キリスト自身の罪ではない。
意味が通らない。

もしかすると考察させること、そのものが目的であって原罪という単語にはそんなに意味は無いのかもしれない。

そもそも「タコピーの原罪」がなぜこんなに人気になったのか?
メタ的に言うと、習慣連載という特性を存分に活かしていたからだと思う。

身も蓋も無い言い方をするが、「タコピーの原罪」のストーリーはそんなに衝撃的と言うわけでも無いし斬新というわけでもない。
そんなに小難しい解釈が必要なわけでもない。

しかし、「いじめ」、「自殺」という題材を扱ったセンセーショナルさが受けただけだ。
ジャンププラスにはコメント欄が存在する。
人気の作品には更新直後から多種多様な感想が書き込まれる。

まどマギの場合は2chがそれだった。
放送直後からあらゆる考察スレがたち、それも含めて1つの作品だった。

なるほど、「タコピーの原罪」は最後のコメント欄やSNSの反応も含めて1つの作品なのである。
そう考えるとしっくりくる。

でないと一貫性の無い展開が多すぎる。
しずかちゃんの目的はチャッピーを探すことであり、これはこの作品におけるマクガフィンであった。
ところが、最終話の前の話で何が起こったか。何とチャッピーは見つからず、タコピーが自らを犠牲にして時間を巻き戻すという、ある意味ご都合的な不条理さで強引な解決をはかるのである。
なんだそりゃ。

結局のところ、この話は、家庭に問題を抱えたいじめっ子といじめられっ子が、問題を抱えながら仲直りし生きていくというただそれだけの話である。
タコピーも、本当に存在したのかわからず、最終話の展開は夢オチ的ですらある。何でもありなのでタイムリープものですらない。

最後、「タコピーの原罪」のタコピーの文字が消え、○○の原罪という言葉だけが残る。
謎は残るが、おそらく考察することに大した意味は無い。
深読みさせること自体が目的なのだ。
悔しいが、「タコピーの原罪」は完結するまでは面白かった。完結するまでは。


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