元父のこと①
元父は私が18歳の時に家族じゃなくなった
今もどこかで生きていることは知っているし
法律上今でも父であることは変えられないのだけど
私の気持ちの中では「父」ではなく「元父」ということで
タイトルのような言い方をさせていただきます
元父は破天荒な人だった
小学四年生の娘の授業参観に
白いジーンズにライトブラウンのウエスタン風ショートブーツ
袖の部分が紺色で身ごろ部分が白色の今でいうMA-1のようなアウター
そしてミラーサングラス姿で現れた
おかげで同級生からは「カッコいいお父さん」の称号をもらった
元父は18歳で父になった
その時に生まれたのは私ではなく
3つ上の兄だ
のちに母が愚痴るのだけれど
兄が生まれたときに初めて18歳だと知ったのだとか
それまで元父は母に噓をついていたらしい
子どもが生まれてからも
元父はちょいちょい嘘をついた
小さい嘘も大きい嘘も
母にも子どもにも
きっと家族の中では
誰よりも子どもっぽいというか
子どもだった
休日、兄が近所の友だちと遊んでいると
そこに交じって一緒に遊び
誰よりも楽しんでいた
だから兄の友だちには人気だった
近所のちょい悪系の男の子も
元父の言うことは聞いていた
家では嘘つきお父さんだったのだけど
天才的に外面のいい人だった
家族じゃなかったら楽しい人だった
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