見出し画像

「風」の名前

学生の頃「風の名前」と言う写真集を見ました。「風」は現象であり、風そのものを撮ることは出来ません。
今日はとても“からっかぜ”が強いですが、では、現象であること以上に、気象的で、状況的な、形のないものを、どう撮るか…

時節柄、開催を迷っている次回「Kayの写真教室」の次回の月例課題が「風」です。

「光」「風」「水」「雲」「家族の肖像」は、僕の大学時代のゼミの課題でした。その最後の課題から長島有里枝さんはパルコ賞を取りました。(2000年度の木村伊兵衛賞受賞者で2015年の選考者)

ストレートに向き合う事で「風」をどう切り取るか…或いは、別の方面から、違う形でどう切り取るか…もう同じゼミの人間で写真を撮ってる人たちが少なくなり、話をすることはなくなりましたが、これらの課題が、卒業してからもずっと頭から抜けない呪縛のような課題だと、卒業生の多くが話していました。僕も同じです。雲をどう切り取るか…水? 風?…常に頭のなかを巡っています。いまだに…です。

その課題を出した、新正卓先生は、もう84歳になりますが、70代後半にさしかかってPhotoshopを始めるほど化け物じみていた方です。70歳をすぎてなお、奥さまと二人で樹海に行き、4×5のフィールドカメラをかついで、木々の間に紐を張り、作り上げた作品を見たときは、腰が抜ける思いでした。
「年寄り夫婦が連れだって樹海に行くから、回りから声をかけられて大変だったよ」と笑いながら仰ってましたが、三脚とカメラを合わせると相当の重さになります。想像しただけで、にわかには信じがたいものがありました。

シグマDP2で、より深みのある白黒デジタル写真を仕上げるために「Photoshopを教えてくれ」と言われました。僕は、大学院を出るとき新正先生に「お前は卒業させん!」と言われて大喧嘩をしたままでした。(その時僕の肩を持ってくれたのが、今はなき平木収先生でした。)

今思えば、恥ずかしくなるくらいその僕へ向けられた怒りが分かります。とてもとても不勉強かつ身勝手な学生でした。おそらくとても手を焼かれた事かと思い、思い出すと逃げ出したくなるレベルで恥ずかしくなります。この人には一生懸命かなわない…と思った先生です。

話は写真教室に戻りますが、年末に向けて、より抽象的な課題に繋がっていきますが、その一つが「面」です。

「風」から「面」へと、どう繋がって、どう表現していくか…
面を僕も捉えていきたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?