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RotolightはLEDなのに何故1/8000秒でシンクロするのか...

「Rotolightは1/8000秒でフラッシュシンクロします」
昨年2022年のPAF(フォトアクセサリーフェア)や、スタジオグラフィックスの記事でも書いた通り、最初聞いた時には意味が分からなかったんですよね。
1/8000秒は、通常の一眼カメラでも上位機種にしか搭載されていない超高速のシャッタースピードで、本来、ストロボフラッシュ撮影は、シャッター機構との兼ね合いで1/160秒だったり、1/250秒より長いシャッタースピードに設定する必要がありますよね。機種にもよりますけどほとんどのカメラはそれよりも長いシャッタースピードに設定しないと、画面の一部にシャッター幕が映り込むケラれという現象に見舞われます。SONYのα1ですら1/400秒がシンクロシャッタースピードです。
ただ、ひとつ思い当たるふしはありますね。
一部のハイアマチュアの方々には常用されてる方もいらっしゃるかもしれませんが、HSS(ハイ・スピード・シンクロ)という機能を使う事で、このシンクロ限界の呪縛から逃れることは可能です。
HSSは、各カメラメーカーが独自の展開をしているTTLシステムの一端を担う、FP発光を利用しています。
つまり、カメラ側には必ずこの各メーカー専用のTTLコマンダーを装着する必要があるわけです。FP発光は、ハイスピード撮影のものだと勘違いしてる方もいらっしゃるかもしれませんが、この機能は元々、TTL(スルーザレンズ)オート露出を得るための目に見えない超短時間に連続発光させる観測光のことです。このTTLシステムは各メーカー固有のものなので、コマンダーは必ずカメラメーカー対応のものが必要になります。
RotolightはAEOS2PROから、対応メーカーを増やした形でのLEDフラッシュ撮影を可能にしています。
では、どの程度のシャッタースピードを使えば、高性能ストロボと同等の機能に近づけるのか、そのためにはストロボの構造的なお話を経由する必要があります。一般的なストロボはコンデンサと呼ばれる一時的に電力を貯めておくパーツがありそこから一気に大電力を放出します。瞬間的にとても明るい光量で撮影する事が可能になるわけです。
一方LEDフラッシュはコンデンサに電力を貯める事はありません。チャージタイムが無く連続で撮影する事が可能な代わりに、光量自体はストロボと比べて弱いものになります。また、HSS撮影でTTL調光が難しくなるのと同様、TTL調光は出来ません。明るさ自体はマニュアルで調整しますが微細な調整は出来ません。なので、撮影露出自体はある程度限定され、開放に近い絞りと、ISO400〜1600程度の感度での環境下で撮影を行う事を前提に、撮影計画を立てることになります。
ただ、この一長一短な特性を考えても、フルカラーでのライティングが可能になった事のメリットはとても魅力的です。

ストロボとの性能比較には閃光時間を使います。
僕は今まで、「ストロボ撮影時のシャッタースピードは閃光時間だ!」と言ったような記事やセミナーを展開してきました。ストロボ撮影時は環境光の影響を抑えた形でセッティングを組み上げ、瞬間光だけで撮影を行う場合がほとんどです。つまり、光ってる瞬間が短ければ短いほど、一瞬の動きをより止めることができるようになります。
ProfotoのB10 250 AirTTLのカタログスペックだと1/4900 〜1/400秒ということになってます。最小発光と最大発光で随分閃光時間に差がある事が分かりますね。これは出力によって閃光時間が変化することを示しています。つまり、より短い閃光時間での撮影を目指すためにはフル発光させてはいけないという事です。一般的な目安としては1/1000秒〜1/1500秒程度の閃光時間があれば風になびく髪の毛を一本一本止めて撮影することは可能です。

余談ですが、他社のストロボを見てみましょう。こちらはカタログスペックではなく実測値になります。
サンスターC4
出力100(Ra97.6) 1/1180秒
出力400(Ra97.1) 1/566秒

コメット04F2
出力フル(Ra96.8) 1/699秒
出力最小(Ra95.6) 1/298秒

コメットDm360(Ra98〜99)
1/1 1/916秒
1/2 1/1080秒
1/4 1/2380秒
1/8 1/4630秒
1/16 1/9880秒
1/32 1/14800秒
1/64 1/23400秒

(実はメジャーなものではないのですがコメットDm360の性能が良いのが分かります。)
ではその辺りを踏まえて、Rotolight AEOS2PROで撮影した作品を見ていきましょう。

Nikonz7II Z50mm f/1.2S
ISO800 SS1/1000sec f2.8
Rotolight AEOS2 3灯
Nikonz7II Z50mm f/1.2S
ISO800 SS1/2000sec f2.8Rotolight
AEOS2 3灯

そしてこれが1/2000秒のシャッタースピードで、バイカラーではなく色を変化させて撮影した髪の毛です。

Nikonz7II Z50mm f/1.2S
ISO800 SS1/2000sec f2.8Rotolight AEOS2 3灯

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