時には昔の話を
子供の頃に読んだ昔話。やり取りとオチは覚えてるけど、全体の流れはぼんやりしてるのでリメイクだと思って下さい笑
むかしむかし、話のとても上手な爺様がおった。
爺様には孫がおって孫たちは爺様の語る物語が大好きやった。
爺様が野良仕事をしている時でも、爺様、爺様、なんかお話しておくれ、とせがむ。
爺様は言いました、ワシゃ今、ウシの世話しとるんや、話はようせん。
孫たちはひつこくせがみます。爺様の話聞きたい!聞きたい!聞きたい!
ウシの世話もちょうど終わったので、爺様は孫たちに話しを聞かせてやる事にしました。
爺様は、話を始めた。むか〜し、むかし、天竺(インド)で修行しはった徳のたか〜い坊さんがおったんや、その坊さんがな、ある日身の丈ほどもある大きな樽をこさえた。
その坊さんがな、樽の中にノミやシラミ、蚊をぎょーさん捕まえてな、蓋して閉じ込めおった。
これで、この話は終いや。
孫たちは狐につままれたような顔をしとった。
爺様、爺様、お話の続きは?なんでそこで終わるん?
爺様は答えました。じゃから、この話は終いや。この先はよう話せんのや。
孫たちは不満そうに、爺様なんで話してくれんの!と聞きました。
爺様は、おまえらなぁ。はなしたら(放したら)せっかく坊さんが捕まえたノミやシラミ、蚊が逃げまうやろ。そんでもって、刺されて痒なるやろ?
だからよう話せんのや。
孫たちは納得いきません。爺様、爺様、痒ぅなってもかまわん!続き話してぇな!と催促する。
爺様はワシゃ痒ぅなるのは嫌や!と孫たちに言います。孫たちは暫く考えてから、にっこりとして言いました。
爺様、爺様、話せんのはようわかった。じゃ、続きをゆうてくれ!ゆうのはかまわんやろ!とドヤ顔で爺様に続きを孫たちはせがみました。
爺様はニヤリと笑って、おまえらなぁ。ゆうにも、ゆえんのや。
坊さんには髪が無いやろ?せやからゆえん(結えん)のや!
孫たちの困った顔を見ながら、爺様はニコニコしとったそうな。
お終い。