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抜き取っている

東北出身の友達の元カレの話。仮にケイジ君と呼ぶ。

ある日、友達から元カレの話を聞いた。悪い人ではなくて、とても気の利く優しい人だったそうだ。

ただ、ケイジ君は金遣いが荒い。給料が入るとすぐにお金を使ってしまう。

実際、彼の身に付けている服・時計やアクセサリーは高価なブランドもので、安くても数万円はするであろう品物ばかり。その月の給料で買えなければ、クレジットの分割払いを使うのは当たり前。

なので給料日前になると生活はカツカツである。
友達のアパートに来ては食事をねだっていたようだ。

幸にしてケイジ君は大手設計事務所の設計士で収入は悪くなかった。それに、いくら欲しい物があっても流石に消費者金融でお金を借りない程度に欲望を理性で抑える事はできていた。

あるデートの日。よく当たると評判の占い師にふたりの相性を見てもらったそうだ。占い師とは言っても何処かのテナントで営業しているわけではなく、自宅で占うスタイル。見た目は普通のおばあちゃんだったという。

どちらかと言えば、拝み屋さん(霊能力者)かもしれない。まぁこれは私の私見です。

普通の民家で大きな仏壇がある部屋に通され、友達とケイジ君は生年月日と名前を紙に記入。

記入した紙をじっと見つめる占い師。2、3分の後、結果は出た。

占い師は、二人の相性は悪くない。ただ‥とケイジ君の顔をじっと見ながら話を続けた。

占い師は、お兄さん、お金が全然貯まらないでしょう?と、話を切り出した。もちろん金運の事については占ってもらっていない。

ケイジ君は、えぇ、そうなんですよ。全然貯金出来ないんです。借金は無いけど、給料日前は厳しいんですよ〜。などと軽い気持ちで話す。

占い師は言った。お兄さん、ちょっとアナタのお財布を見せてごらんなさい。と。

ケイジ君はこれですけど‥と、高級ブランドの長財布を占い師に見せた。

占い師は、あぁやっぱりかと言う様な顔をしている。占い師は言葉を続けた。

‥どうも、お兄さんのご先祖様に浪費家の方がいらっしゃるようだ。そのご先祖様がお兄さんの財布からお金を抜き取っているのが見える。

え?という顔をするケイジ君。う〜ん、そんなご先祖様いたかな?困惑するケイジ君。


じゃあ僕がお金貯まらないのはご先祖様の仕業?ケイジ君は占い師に聞いた。

黙って頷く占い師。ケイジ君は、じゃあどうしたらいいんですか?と占い師にアドバイスを求める。

いいかい、お兄さん。毎月◯のつく日にご先祖様の好物だった〇〇を実家の仏壇へお供えしなさい。そうすればご先祖様もお兄さんの財布からお金を抜き取るのをやめてくれるよ、と占い師は言った。  

ただし‥と占い師は続けた。面倒くさいからと言ってお供えをやめてはいけない。お供えをやめたら、またご先祖様はお兄さんの財布からお金を抜き始めるから、と言葉を結んだ。

ケイジ君は、はい!わかりました。毎月の◯のつく日に必ずお供えをします!と占い師に誓った。

その後、ケイジ君はどうしたの?と私は友達に聞いた。

友達は、今ケイジ君と付き合っていないんだから結果はわかるでしょ?と言った。

あいつ、最初の頃は占い師さんの言う通りに仏壇へお供え物してたんだ。確かに効果はあった。

無駄遣いも無くなったよ。だけど、あいつ途中からお供えするのやめちゃったんだ。お金が貯まる様になったらなったで、より高い買い物をするようになったんだよ。なんていうか、ご先祖様を使った定期預金?的な感じだよね。

そんな人と一緒に人生を歩むのはどうかと思っちゃったら、アタシ急に醒めちゃってさ。それで別れた。と友達は話を結んだ。

‥浪費癖は簡単には治らないのかもしれない。

‥まぁこれも私の私見ですが。


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