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こんな話しを読んだ③

これも子供の頃読んだ話。なので印象が強かった部分しか覚えていないので、欠けた記憶は想像力で補います。ご了承下さいね。

第三話 Can you hear me?

ある格闘家の話。英語圏の国に遠征試合にいったときの体験談。

私の記憶だとイギリスだった気がする。格闘家の名前は失念したので、仮に「Xさん」と言う事にしよう。

Xさんは怪談話が好きで、機会があれば是非幽霊を見てみたいと思っていた。その念願叶ってか、遠征先で幽霊のでるホテルを予約する事ができた。

予約した部屋に入ったXさん。内装は古いイギリスのアンティーク調の家具で揃えられていた。どことなく、空気が重く感じる。多分気のせいだろう、そう思った。

幽霊が本当に出るホテルなんてあるのか?と疑問に思いながら、アンティークチェアに座り、ぼんやりとTVを観ていた。

そんなに英語が堪能ではないXさんは、言葉が分からないTV番組にやや飽きてきたので、試合の疲れを取る為にシャワーを浴びる事にした。

アンティークチェアから立ち上がり、バスルームに向かおうと歩き出す。不意に身体の、腰の辺りに何かが当たった。Xさんは腰の周りを見た。家具にぶつかったのかと思ったが、何も無い。

そのままバスルームに入ってシャワーを浴びる。なんだかベッドルール辺りが騒がしい気がする。
何かが走り回っているようだ。

ベッドルームが気になり出したXさん、シャワーもそこそこに、バスルームをでて、ベッドに向かった。しかし、そこには誰もいなかった。

幽霊の出る部屋って事で、少々神経質になっているに違いない、Xさんは何て自分は臆病なんだろうと自虐的に笑った。

昼間の試合の疲れもあり、今日はもう寝る事にした。ベッドに入り、消灯するXさん。ウトウトしかけたその時だった。

パタパタパタパタっと部屋の中を何かが走る音がする。

どうやらXさんのベッド周りを何かがぐるぐると走っているらしい。たまに勢い余ってXさんの身体に何かが当たる。

ははぁ、これはホテル側の演出だな。幽霊なんて出ないんだ、幽霊役のホテルスタッフがおれを驚かせる為に部屋に来ているんだ、と思った。

薄目を開けて周りを見るXさん。しかし、そこには幽霊役のスタッフなどいなかった。

だが、ベッドの周りをパタパタパタパタ走る音は聞こえる。走っている「何か」はXさんが起きている事に気づいたようで、今度はXさんの身体を突き始める。

突然の事でXさんはすっかりパニックになってしまった。必死に寝たふりを続ける。「何か」はXさんを起こそうと、突くだけではなく、Xさんの身体を揺さぶり始めた。

起きたらヤバい!起きたらヤバい!Xさんは必死に寝たふりを続けた。「何か」はついにXさんに話しかけてきた。もちろん英語で話しかけてきてるのでXさんには通じない。

Xさんは返事をしてはダメだ!返事をしてはダメだ!と必死に寝たふりを続ける。

‥‥Xさんはある事に気づいた。「何か」はずっと話しかけている。そのうち聞き取れる単語がある。どうやら幼い少女の声のようだ。

きゃん ゆー ひあみー、きゃん ゆー ひあみー キャンユーヒアミー、Can you hear me? 

‥‥あたしの声、聞こえてるんでしょ?

‥Xさんもそのくらいの英語はわかる。

すっかり怖くなってしまったXさん。必死に寝たふりを続ける。「何か」は夜が明けるまでずっとXさんにCan you hear me?  Can you hear me?  と話しかけていた。

一睡も出来ないまま、次の日を迎えたXさん。ホテルのフロントにさっそく聞きに行った。

片言の英語で話すXさん。フロント係が言うには、あの部屋は小さな女の子のゴーストが出るよと言っているようだった。そのホテルには3泊の予定だったが、残りはキャンセルして、別のホテルに泊まる事にしたと言う。

海外では「幽霊に会える部屋」を売りにしているホテルが結構あるという。ネット検索すれば結構見つかるので、興味のある方は調べみて下さい。

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