見出し画像

‥こんな話を聞いたよ。①

唐突ですが、私はいわゆる怪談や不思議な話しが大好きである。

身近な人達が経験した、または聞いた話を集めていると言う程では無いが、忘れないうちにnoteに書いておこうと思った。自分自身の体験もあわせて記していこう。

第1回目は、私が病院で医療事務をしていた時に聞いた話。同じ部署だったリエコ先輩の話。

先輩が20代の頃、当時付き合っていた彼氏は車好きで、峠を攻める「走り屋」だったそう。

そんな人なので、デートはドライブがメイン。週末ともなると、決まって夜に何処かの峠を二人で攻める(とは言ってもリエコ先輩は助手席に乗っているだけだが。)

たまには違うデートもしたいなぁ、なんて先輩は思っていたけど、やはり好きな彼に合わせていたんだって苦笑してた。

ある週末の晩、彼氏から電話があり、リエコ、これからドライブ行くぞ!迎えに行くから準備して待っててと、連絡。あーまたいつものだ、先輩は支度を始める。30分程で彼氏がアパートへ到着。

時間は0時をまわっていた。何処の峠に行くの?と、先輩が聞く。すると、彼氏は今まで行った事のない峠に行く、という。場所は走り屋仲間から聞いているので、大丈夫、心配すんな峠着くまで助手席で寝てて良いから。と彼氏に言われて先輩は仕事の疲れもあり、峠まで寝ていた。

峠に着いたのは深夜2時頃。目が覚めて、随分と遠い所なんだねって先輩が彼氏に聞くと、まぁ、県外だからなってサラッと答える。

当時流行っていたJ-popを聴きながら、彼氏と先輩はその峠を攻めた。

真っ暗な峠を、車のヘッドライトのみで照らしながら彼氏はドライブテクニックを駆使し、攻めていく。ふと、先輩は山の斜面を見た。黒い塊が複数頂上を目指して連なり動いている。はじめはカモシカの群れかと思い、彼氏に声をかけた。

ねえねぇ、カモシカだよ見て!そう言って先輩はもう一度斜面の黒い塊を見た。‥よく見ると人の形をしていた。右手に杖を持ち、黒の僧衣を着て笠を被ったお坊さんの集団だった。お坊さん達は道では無い斜面を蛇行しながら頂上を目指し登って行く。人数ははっきりとは分からなかったが、20〜30人ぐらい。連なって登る姿は巨大なムカデのように見えて、鳥肌が立った。

突然の事で、彼氏も先輩もあぜんとなり、お互い顔を見合わせ、え?何でこんな時間にお坊さんいるの?おかしくない?と言い合った。車を停めるのも怖かったので、そのまま峠を進む。

お坊さん達を見てから、二人も無言。J-popだけが虚しく車内を流れる。そのまま帰路に着いた。
普段なら峠攻め後、深夜のファミレスでお喋りする流れだが、そんな気になれずその日はお開き。

その後も彼氏と付き合っていたけど、その峠には二度と行かなかった。その話題にも触れる事なく自然と別れた。

お坊さん達がきっかけで別れたわけじゃないけどね〜、リエコ先輩は笑いながら話してくれた。あたし別に峠攻めとか好きじゃなかったし。とも語った。

カヲルちゃんも、その峠行きたいなら場所教えるよ〜何て言ってくれたけど、聞けないまま先輩は部署異動、私は医療事務を辞めてしまったので場所は特定出来ず。

他にも医療事務時代に聞いた話はあるけど、また別の機会に書こうと思う。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?