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富山魚津、浜多屋さんを訪ねて。

地域ものがたるアンバサダー富山
立山と富山湾は、
富山という豊かな地勢を育む偉大で巨大な「山と海」。
その海の部では、とにかく海の幸と日本酒が楽しめる「変態料理人」がいると聞いていたのでずっと訪れたかった魚津の浜多屋さんまで。
料理人は利き酒氏でもある浜多雄太さんです。

おまかせコースのみなので、全てを浜多さんにゆだねて存分に楽しみます。
まずは小松菜の白和えと鱈の白子から。
鱈があがる、と聞くと北の海に来たのだなあと実感。

続いて船上締めの鯵。

食べたかった白海老は生のむき身をお刺身で。
この白海老はやばいですよ〜の言葉どおり一匹一匹の粒立ちと豊かなあまみがすごい。深海に住む、富山湾ならではの味わいですが、本当に新鮮なものを食べさせる場所は意外と少ないらしい。こちらは今朝上がったものだそうです。
そして待ちに待った富山の酒「帆波」
地元魚津の日本酒とのペアリングで。
県産雄山錦から造られた無濾過純米吟醸酒。

昔、丹波杜氏の青木卓夫さんを取材したときに、
酒造りは「作る」ではなく「造る」のほうだよ
と言われたことを思い出す。
自分一人で生み出すものではない、
土地の生きた水
土地の米
酵母との出会い、
見えない神々との共同作業。

「造る」は道を告げること。
告げる道を聴くこと。
酒も魚も人の手だけでは生み出せない、恵み。

待ちに待った鰤は藁焼きの炙りで。
これがもう、本当にびっくりするくらいの美味しさで、今まで食べていたのは別の魚か?と言わんばかりに食感も香りも違う。富山湾の真骨頂。

あんこうときのこの小鍋
鰤の味が沁みた大根だけの「鰤大根」
こちらも絶品でした。

あんこうまであがると聞いてびっくりのあとに続いた締めは、まさかの毛蟹三昧でさらにびっくり。
伊勢海老以外は富山湾からあがるのだそう。

毛蟹は一匹を丁寧にさばいてくださり、
味噌と蟹身をシンプルに合わせたもの、
味噌と蟹身と卵をご飯に乗せたもの、
味噌と蟹身を酢飯に乗せて海苔で巻いたもの
の3種になって出てきました。

蒸し器を開けたらサプライズ、毛蟹!
海の塩味だけで味わう蟹身と蟹味噌
卵かけご飯に蟹
酢飯と海苔で手巻きに


そして蟹料理に出てきたのがこちらの「富山ブレンド」。富山県のほとんどの日本酒蔵の酒を混ぜて作ったという日本酒です。
コンセプトにびっくり仰天、
ひっくり返りそうになりました。
富山県民面白いなあ。

締めは怒涛の蟹三昧でしたが、蟹のあまさや蟹ならではの風味はもちろん、
やはり驚いたのは含まれている海水の旨味が深いこと。魚、甲殻類、それぞれの個体の味わいはもちろんですが、含まれている海水の滋味こそが富山湾の海の幸の味覚ではないか。

浜多さんの手によるお料理はすべて旬の富山湾の海の幸を「素材の味そのものを活かす料理法で出す」を徹底されていました。だからこそ感じた海の味わい。
早春には蟹、山菜、蛍烏賊が一緒に味わえる
至福の時期もあるそうです。

山の幸は下から土地がやってくる、
海の幸は海洋が面ではいってくる、
森も海も全ては「水」を介して共鳴し合っている。
つながりあう、わたしたちを取り巻くコスモロジーのビジョン。

ずっと山間部を周り続ける旅だったので
ようやく富山、海の部を身体に受けとりました。

そのままで豊か、
そのままで満ちている。

富山のほとんどの蔵の酒を混ぜてつくっちゃう
日本酒のおおらかさがいい、
派手さがまるでなくて
地味に、
それでも深く土地に根ざす気質がいとおしく、

交通の便は悪いままでいいし
新しい建造物はもう要らない。

これからは、
土地と海を育むことをわたしたちが始めなければ
失われてゆくものの代償は大きすぎるのではないかと感じる旅でした。

#地域ものがたるアンバサダー
#富山
#魚津

#森羅万象を聴く

#山と海
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