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強者温泉

温泉名人になるー!!!
はずなんだけども、なかなかうまくいかない。

大分県もコロナウィルスの感染者が増加し、ステージ3となった。飲食店も時短営業、不要不急の外出を控える事態となり、のんびり湯巡りという感じではなくなっていた。

地区温泉にしても普段見ない人が来るのは嫌だろうし。なんて考えてたら、また温泉へ足が向かなくなってしまっていた。

6月14日からやっと時短営業も解除。県内の不要不急の外出禁止も解除された!

さあ。リスタートだー!と思っているところに、別府市で温泉ソムリエ認定セミナーが開かれるという情報を得た。講座を受けると、温泉ソムリエの称号が得られるとのこと。
これは、良い機会だから温泉ソムリエになろう♫と思い立ち、赤富士先輩と一緒に講座を受けることにした。

先輩は、すでに88湯を達成し、名人のみに与えられる黒字に金の文字で書かれた名人タオルも授与されていた。そして、2巡目に入ったというではないか。
賞賛と羨望の眼差しを先輩に送った。

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会場に入ると、若い人が多くてびっくりした。

みんなどんな動機で温泉ソムリエになるんだろう?

ちょっと聞いてみたくなったが、自分の周りを見渡すと、やたら温泉マークの入ったものを所持している人が多い。

そうか。温泉愛。ソムリエになろうというほどの温泉愛に違いない。

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机の上には、分厚い温泉ソムリエテキスト。その上にたくさんのノベルティやパンフレットが置かれていた。

ずっと気になっていた好きな温泉水と天然オイルで作る保湿ミストキッドも含まれていて、スタートする前からわくわくした。

講義は、途中休憩含む4時間で構成されていて、温泉分析表の見方や温泉の入り方など、泉質豊富な温泉地に住む別府市民としては、これからの温泉生活が楽しくなる情報が満載で、うんちくを語る自分を想像しながら、楽しく受講できた。

セミナーは、88湯巡りの対象となっている立ち寄り湯のある豊泉荘という宿泊施設で開催され、受講者は、温泉無料券をいただいた。当日しか使えないとのことだったので、無事に温泉ソムリエとなった私達は講義終わりに温泉へ向かった。

勉強したての温泉分析表を見て、今日習った内容を楽しく復習してみる。なるほどーと納得するものの、今日の学習内容やあの分厚い本を理解して、自分のものとするまでは、まだまだ時間がかかりそうだ。

脱衣所は温泉ソムリエ達で混み合っていた。浴室内も密まではないのだが、人が多い。

そして、いつもの温泉とは違う雰囲気を察した。

あたりを見渡せば、頭に被っているのは、温泉ソムリエタオル!そして、あちらの体を拭く方は、黒字に金の刺繍!名人タオルだ!

こっ。ここは温泉プロの集まりだ。温泉を熟知するものの。温泉入浴の手際の良さが半端ない。その道のものの動きだ。

ここは強者達の集う場所!!!!

赤富士先輩に、なぜ名人タオルを持ってこなかったのかと詰め寄ると、先輩もしまった!と後悔していた。

きっとみんなプロ意識を持ってこの温泉を味わっているに違いない!誰も喋らない、静かな沈黙の浴室が私の妄想力を掻き立てた。
こんな緊張感のある温泉には初めて入った。

本当は、入浴方法も赤富士先輩と講義内容を確認しながら楽しく入りたかったのだが、私達の会話が稚拙なものにとられるような気がして、緊張感が言葉を飲み込ませた。

強者温泉をあとにして、外に出るとなんともいえない開放感に包まれた。

また、ゆっくり温泉に行こう。

帰って振り返れば、人も多かったし、ベラベラ喋らなくて良かった。と思ったのと同時に、黒タオルが早く欲しくなった。

来年私は強者温泉で、黒タオルを振りかざし、猛烈にアピールしているかもしれない。





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