北センチネル島のコロナ対策

北センチネル島のコロナ対策

入国制限と迫害

コロナウイルスの感染が確認された国からの入国制限が広がっていく中で、そうした国の人達が海外で暴行を受けている事例もあると、流れて来るニュースで知りました。

とても怖い思い、辛い思い、悲しい思いをしたのかなと思ってしまいます。そうした中で、暴行を受けた人に謝罪が行われたりと言うニュースも同時に流れて来るので少し安心したりもしています。

これらのニュースを見て、ふと北センチネル島の事を思い出しました。



北センチネル島とは

北センチネル島は、インド洋の東、インドとタイの間ぐらいにある島で、
行政区分上はインドに入るらしいのですが、北センチネル島の人達は
島外との接触を積極的に拒んでいるそうです。

北センチネル島のコロナ対策2

どれくらい拒むかと言うと、
スマトラ島地震が起きた際に安否確認の為に近付いたヘリに矢を撃ったり、
寝ている間にボートが流され、島に近づいた漁師を矢で射殺したり、
改宗目的で島に近づいた宣教師に矢を撃ち縄で首を締め殺したり等
だそうです。

「北センチネル島ヤバイ」みたいな記事で私も初めてこの島の存在を知ったクチですが、その後色々と勉強をする中で、彼らなりの理屈で島外の人間を拒んでいるのかもしれないな、と思い至りました。




接触されない権利

世界には「未接触部族」と私達が呼んでいる人達がいます。
自分達で考え、世界とつながる事をしない選択をした人達の事です。

アフリカでも南米でもオーストラリアでも、未接触部族と呼ばれる人たちの土地に外の文化圏から人が入り込む事で、その土地にはない伝染病がもたらされ多くの人が死んでしまったり、その人達が本来持つ文化が廃れたり失われたりした歴史があります。

文明を持つこちら側が、こちら側の価値観で、「もっと暮らしが良くなるぞ」と、良かれと思って彼らに近づく事が、結果彼らを苦しめ死に至らしめる事すらある訳です。

未知の脅威によってアメリカと言う国が分断されてしまった世界を描く
ゲーム「デスストランディング」でも外部との接触を拒む「プレッパーズ」と呼ばれる人達がいますが、彼らと再びつながる為には彼らの信頼を勝ち取るクエストをこなす必要があります。

つながると言う事は、双方の合意とメリットに基づいて行われるものなのかもしれません。

インド政府も、北センチネル島の住民には何度か接触を試みましたが、現在では彼らの意見を尊重し、彼らの「接触されない権利」の為に島の周りに近づく事を禁止しています。


でっかいウイルス

コロナウイルスが我々人間に、良かれと思って接触してきているのかは分かりませんが、少なくともコロナくん達は、コロナくん達の価値観、行動原理にのみ基づいて我々の意見など聞く耳持たずにやって来て、勝手に我々の身体のリソースを使って自分達の数を増やし、時にはその命を奪って行ってしまうと言う、非常に困った存在です。

そしてそれは、未接触部族と呼ばれる人達に近づいて来る自称「文明人」と呼ばれる外部の人間と接触と、そんなに大差のない事のように思えます。

つまり北センチネル島の人達から見ると、我々外部の人間と言うのは、
「同じ人間」ではなく「でっかいウイルス」に見えているのかもしれない。
そんな風に私には思えてくる訳です。

「風邪の菌が目に視えたら避けるのにな~」なんて思った事がありますが、北センチネル島の人達にはそれがハッキリ見えているから防衛行動を取っているに過ぎないのかもしれません。我々がマスク手洗いうがいを気を付けるように、彼らも射殺、投石、絞殺を欠かさないのかもしれません。

昔から濃厚接触を避けて上手に暮らして来た北センチネル島の人達ですが、もしそれで彼らだけでは対処出来ない病気や環境の変化等で死んでしまっても、彼らが助けを求めて来ない限りはどうしようもありません。傍観です。
彼らの選択は最後まで尊重されるべきでしょう。
「接触されない権利」とは同時に「絶滅する権利」も有しているものだと思うので。

北センチネル島のコロナ対策3

だからと言って決して海外で病気を理由に暴行されて良いなんて言う理由にはなりませんが、暴行を加える人間にもそれなりの理由があったのかもしれないと言うのを考える事を止めたくないな、と思いました。

自分の家に抵抗力が弱い赤ん坊や祖父母が居たりしたら。
自分の大切な人に病原菌をまき散らすかもしれない人間が近づいて来たらどうするか。暴力を働く側にも背景と理由、守りたいものがあるのかも。

単にコロナを理由に暴力を働きたい輩だった、であったとしても、
なぜ暴力を働きたいのか、その背景には貧困や虐待を受けた過去などがあるのかもしれません。「コイツはなんてクソヤロウなんだ」と言う最初に沸き上がって来た感情だけで思考を停止させる事のないよう自分に言い聞かせて日々ニュースを見て行かなければな、と思う私です。




作品へのフィードバック

主人公サイドから見たら訳の分からん論理で命を奪ってくるような連中にも
単に「主人公を引き立たせる敵役」だけではない、しっかりとした動機や背景を作り込めるかどうかで作品の厚みと言うかテーマの伝わり方も変わってくると思うので、その辺しっかりやんなよ自分、って感じです。



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