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7章のスカラビアについての疑問点

7章のスカラビアの進展が個人的にあまりしっくりこなかったんですが、その理由の自己分析になります。
ひたすら混乱しているのであんまりまとまっていない。


ツイステ本編に対するネガティブな感想が含まれますので注意してください。

1.「前提」と「これから」が見えない

結論から言うと、例えばアジーム家とバイパー家の関係のような、2人の根本的な環境の設定についてわからない部分が多いからよくわからなくなったのかな、というのが原因の一つにあるんじゃないかと思った。

ジャミルは自由になると言うが、彼が言う自由とはつまりどうなることなのか?
そのためには今は何が障害で、何をどの程度クリアできれば達成できるのか?
それは今のジャミルにとって、どのくらい大変な事なのか?

そういう部分の具体性がずっと見えてこない。
ジャミルの回想や熱砂イベントや2人の発言からある程度はわかっているのだが、実態がわからない。
たとえば、仮にジャミルがアジーム家辞めようとしたらどうなるの?とか、そういったところもすべて想像でしか語れない。

なので、例えばこのジャミルの「どれだけ時間がかかろうが」という発言。

文字通り受け取ると「ジャミルがやろうとしている事は、時間がかかる大変な事なんだな」となるが、じゃあそのどれだけってどのくらいなのか?を想定しようとすると、それを考えるための根拠がユーザーに全くない。
だからこの台詞は見方によってはただの定型句という受け取り方もできるし、あるいはかなり穿って「ジャミルは在学中には自由になれないので、このゲームではそこまでは描きませんよ」という公式の遠回しな宣言なのでは?と思うことすらできる。

なるほどジャミルが自由になるには確かに時間がいるね少なくとも数年は要りそう、とか、下手すると壮年や老年にならないと達成できないのでは、とか、いやさすがにそんなじゃないはず在学中にできるだろう、とか、言い切れるだけの根拠を誰も持っていない。

環境という前提が、ユーザーには共有されていない。
現状というスタート地点が確定しないから、未来に向かう道筋が想像できない。
だからいまいちわからなくて、置いてきぼりにされた気がしてついていけなかったんだと思う。

とくにジャミルの性格についての描写は気の持ちようとか自己責任論に終始してしまって、物理的な障害であるはずの環境をどうするかについての言及が排除されているように見えたのだが、それも多分このせいだと思う。
示唆されているのに、そしてある程度は提示されているのに、そのわりにしっかり言及はされず解説もされない。だから具体的なストーリーが、ドラマが見えてこない。

また、現状だけではなく未来、つまりジャミルが目指すべき自由について。
ジャミルはつまり、これからどうなりたいのか?
これも同じく具体的なはなしは何もない。

「それはジャミルもまだわかっていないじゃないの?」と思う人もいるだろう。
「ジャミルも、自由がなんなのかについて、自分が何を目指すべきかについては、まだあまりよくわかっていなくて、その話はこれからなのでは?」

確かに4〜6章あたりのジャミルは、これからのヴィジョンがあるんだか無いんだか、曖昧な感がある。
4章時点ではたぶん、
自由
=だれからも命令や支配をされない
=他の奴らを追いやって自分こそがいちばん偉い支配者になれば自由になれる

みたいな捉え方をしてホリデーの計画を立てていて、
それは7章のif描写の、カリムを追い出すに留まらず寮長を全員排除して学園長も排除して学園まで乗っ取ろうとするというあまりに無謀で果てしない支配欲の拡大っぷりが補足情報になると思う。

まあ7章のあれは思考が闇に呑まれていたらしいので正常な思考回路ではなさそうだが、つまるところジャミルが他人を支配したがる根源はここなんだと思う。
自分が支配すれば、他人に支配されずに済むと思っていた。
悪役の造形としてまま見られるタイプであり、元ネタの踏襲だと思うのでここに特に疑問はない。

そこからリセットされただろう段階のジャミルは、だから自由が何を指すのかという見識を明確には持っていないのでは?という見方。
最もかもしれない。

しかし考えてみてほしい。
ジャミル・バイパーの性格を。

レオナにも考えすぎて考えなしより尚悪いみたいな事言われていたが、
ジャミルは計画通りに動かすのが得意というよりは、むしろ計画がないと動き出せないみたいな部分がある。

例えばちょっと知り合いが不審な動きをしているのを見かけただけでも、とりあえず話しかけてみたりはしないで、そこらの茂みとか物陰に隠れていったん観察して出方を考えるという、1人でサバゲーでもやってんのかコイツくらい念入りにプランありきの動きをするのがジャミルだ。(フェアリーガラPSとスケアリーデュースPS)

私はジャミルについて、「最終的なゴールはここで、そのために自分はこれをする」みたいな道筋が見えていた方が動きやすいタイプなんだろうなと思っている。
4章や寮服のように自分が主体的に動く時にもまず次はあれをしてこれをしてとプランを立てるし、
誰かのやり方に従うとき(5章やガラやポトフェのような)も目標や指示が明確な方がやりやすそうだし、6章で指示の目的や意図をあらかじめ共有しないがちなところのあるレオナには不満げだった。

もちろん慎重すぎて動けないのは治すべき欠点なのかもしれないが、とはいえ「どこかわからないフワフワした行き先にとりあえず向かってみる」みたいなことをいきなりするようになるかというと、かなり疑問だ。

彼はすでに6章で一度、レオナに向けて「傅いたままでは終わらない」と決意表明をしている。
その状態からまったくのノープラン・ノーアイデアなのに、7章でなんの迷いもなく自信満々に「自分の手で自由になる」宣言が、彼の性格で出来るか?というと怪しいと思う。

そうなってるやろが、と言われたら、そうなんですね、となるしかないが、
「ジャミルのなかにはすでに何らかの目標やプランが大なり小なりあるが、それはユーザーには共有されていない」と考えた方が自然に思う。

別に、現時点でそんなに細かく具体的でなくて良い。
WBSにして出せとは言わない。
ただ最終目標とか大目標くらいはあるんじゃないか?
であれば、それをカケラでいいから見せてくれないか?と個人的には思うんだが、今のところ方向性すらわからない。

従者をやめるのか、やめずに自由になれそうなポジション(?)に心あたりがあって、そこにつくのか?
想像しようと思えばできる。
でも根拠は足りない。
だから意見は割れるし解釈は分かれる。

どんな状態から、どんな状態になろうとしているのか。
それが両方見えないし、必要以上に情報が落ちてこないので、「ちゃんとそのあたり考えてるのだろうか? 描く気はあるのだろうか? あんまり確信的なことは言わずにずっと濁しておきたいの?」と疑念が芽生えてしまったのだ。

忖度を強要されて、なんで俺だけと燻っていた時代。
そこから抜け出し、さらに殻を破っていった4章後〜6章。
そのあたりはまだいい。
真の自由は遠い場所にあるので、曖昧な、抽象的なままでもいい。
でもこれから本格的にジャミルの「自由」の話をはじめるなら、そこは提示して欲しかった。
このあとやる気なのかもしれないが、いつになるかはわからない。
ジャミルの目指している先すら分からないまま、そのわからない何かを目指し続けられても、それに何を思えば良いのかがハッキリしないので、多分ずっとモヤモヤしたままだと思う。
自由を目指すんだよね、でいったん納得できれば良かったんだけど。

2.カリムの掘り下げ

もう一つは、「カリムの掘り下げはこれで足りてるの?」という部分。

私は喧嘩のシーンを見て、おそらく大多数の人と違って
「スカラビアって喧嘩してなんかいい感じにまとまるような状態だったの?いつから?」
というちょっと冷めた感じになってしまったのだが、
たぶんその理由は、7章のカリムに「自分からジャミルをぶん殴れてよかったね」とは思っても、
その前後の心理面についてはうまく解釈できていないからなのだと思う。

私はジャミルの掘り下げと変化については、いったん6章までで区切りがついてると思っていて、その内容については概ね異論はない。
ではカリムはどうなのか。

カリムも、確かに5章でジャミルの悔しさに気づく場面はある。
7章でも、「ジャミルが自分の世話をしていたのは友達だからじゃなく従者だから」という旨の発言をしてたり、ジャミルの嫌いなところを言えるようになったりと、確実に変化があるのはわかる。

でも、それらの点の要素をなかなか線にして繋げられなかった。

カリムはどういうきっかけでそういう気持ちになったの?
いつ、そのことに気づいたの?

5章はともかく、7章ではそういう時系列的な心の動きが、正直見えてこなかった。
私のカリムの解像度が低いせいという可能性もあるので、我こそはわかるという人がいたらむしろ教えてほしいくらいなのだが、少なくとも2,3回読んだだけではちんぷんかんだった。

例えば、時系列がはっきりと4章後であるはずのフェアリーガラのPSで、カリムはジャミルのことを友だち呼びしている。
なので私はてっきり、彼はジャミルともう(あるいはまだ)親友なのだと認識していると思っていた。

しかし、カスルサルタナートの衣装では、友達になるために頑張るような事を言っている。
つまり、今はまだジャミルと友達では無いという事を、ちゃんと理解できている。

またジャミルの性格の嫌いなところについても、その内容自体は納得できるものだ。

そもそもカリムは寛容ではあるかもしれないけども、"世間的には悪人でも俺が好きなやつならオールオッケー"的な、アライメント混沌・中庸、みたいな尖った価値観はしていない。

相手が悪いことをしてると思ったら、普通に止めるし場合によっては怒る。
5章のヴィル然り、フェロー然り。
4章のときは相手がジャミルだったせいかちょっとバグっていたが、本来べつにそこまで悪に対してぐだぐだの甘々でもない。

なのでジャミルの、裏表があって、狡猾で、必要とあらば平気で道義を無視し、シームレスに嘘つきがちな裏切り下衆野郎の部分(え、そこまでは言ってない?)と実際には全く相容れないのは、それはそうだろう、と思う。

また「細かい事ばっかり気にすんじゃねぇよ」という発言についても、楽天家で大雑把なカリムと慎重派で口うるさめのジャミルはそもそも価値観や性格があまり合ってなさそうなところは随所にあり、「そこまで準備しなくても」「そんなこと気にしなくても」というような主旨の事を、カリムはこれまでも度々ジャミルに対して口にしていた。
なので、そこにも別に違和感はない。

でも、じゃあ、いつからそれ思ってたのか?
4章後?4章前?それとも今回で改めて自分の感情に気づいたの?
そういうきっかけとか、時系列がまるでわからない。

ジャミルは従者だから自分を世話してくれているのだ、という理解も同じで、いつそれを認識したのか不明だ。
4章後すぐになのか?
それとも7章で夢から覚めたあの瞬間なのか?

それによってはカリムというキャラクターの解釈がだいぶ変わってくるのに、確かな事がわからない。
もし前まえからジャミルは友達ではない、という事を理解していたなら、「無自覚ではなくて理解していて、ずっとあの態度だったの……?」と個人的に疑問になってしまう点がちょくちょく出てくるのだが、そうではなくて今回の7章ではっきり気づいたのだろう、という人が私のTLには多いように思うし、私もそうじゃないかと思う。
しかし、はっきりとはわからない。

誰がどう見ても、「無自覚だった点をレオナに指摘されて初めて気がついて、図星をつかれたと納得したんだな」とわかる6章のジャミルのような明快さが無いように思う。

そしてジャミルがそんなカリムのどこをどう見てどんな変化を感じ取ったのかも、同じく私にはよくわからなかった。

もちろん、ジャミルがカリムに変化を感じましたよなどと明言しているシーンはない。
無いが、そうでなければ態度が多少なりとも軟化しないと思うし、
「いやあれはべつに軟化ではない。ジャミルからカリムの印象は、4章から全く変わっていない」という事なら、本編から受ける印象とちょっと温度差がありすぎなのでは……?と思う。

思いつくのは、
「カリムが自分に好意や理想を押し付けるのをやめて、個人的には気に食わない悪どいところもジャミルにはあると認識できた、ということを、カリムに直球の悪口を言われたことによりジャミルは理解した。そしてそれをちゃんと言って殴ってきたのが、かえって好印象だった」
くらいで、これはジャミルの性格、というかNRC性みたいなものを考えると1番納得感はある。
あるんだが、それにしてもちょっと急な展開に感じた。
6章までのジャミルの、カリムの性格に対する強い否定の姿勢を変化させるなら、せめてもう少しはっきりしたきっかけの描写が必要だったんじゃないかと思う。

カリムの気づきをシナリオ上で明確化し、カリムがジャミルに対して自覚した本音や立場の違いに気付かされた事を改めて伝えて、ジャミルがカリムについての認識を修正する。
そんなまとめの流れが、喧嘩の後でも前でもいいのであれば、引っ掛からずにすんなり飲み込めたかもしれない。

3.ジャミルの「助けを待つのをやめる」発言と2人の方向性

しかし具体的な事は分からないとしても、とりあえずジャミルについては「自らの手で自由になる」、カリムについては「ジャミルと友達になりたい」のはわかっている。

そこで思うのだが、この2人っていま足並み揃ってるんですかね?

ジャミルは、7章で「だれかに自由にしてもらうのではなく、自分で自由になる」主旨の発言をしている。

これ自体は、ジャミルの今後の方針として納得が行く発言だと思うし個人的にも好きだ。
だけどこれをカリムと組み合わせようとした時に、上手く嵌まらないような気がしたのだ。


……ちょっと話は逸れるが、オバブロしたジャミル?のランプの魔人のように誰かが自由にしてくれるのを待つしかないという発言について。


これ、じゃあこれまでのジャミルってただ手をこまねいて他人の助けを待っているだけだったのか?というと別に全然そんな事はないと思う。

確かに、大人たちにわかってくれと内心で思っても実際には何も言えなかった日もあるかもしれない。
意を決して学園長に助けを求めたのに「わかってくれますね?」で完封されて、相当不満だっただろう。

でもそれだけで終わっていない。
だって君、4章で単独で計画立てて単独で実行して、オクタに粗をつっ突かれて爆速で2時間サスペンスの犯人みたいな自滅した挙句に大爆発してたよね????

それは一般に"誰かが自由にしてくれるのを待ってるだけ"って言わねーのよ。
むしろ1人で強行突破しようとして暴走してるのよ1回。

それを思うと、この言い回しはちょっと違和感がある。
どう考えてもお前は「誰かが自由にしてくれるのを一生夢見るしかないんだ……」って感じのキャラではないよ!?!?
というか本人すら多分そう思ってない。誰かがなんとかしてくるのを待つのはごめん、という事を2回くらい言っているため。

またまたすごく穿った見方をすると、これもそこだけ「ジャミルが今まで自力で何もせず、声をあげず、内心で助けを、誰かが気づいてくれるのを待ってるだけだったのも悪い」と言っているようにも見える。
本当にそうだったならともかく、少なくともNRCに来てからは学園長に対して声をあげて訴えたり、それがダメなら(手段はだいぶ人の道を外れているが)自分で変えてやろうとして事を企てているにも関わらず。

いや、そこもわかろうと思えばわかる。
たぶん、オバブロしたジャミル?の根源にあるのは、4章よりもっと前、子供の頃とかのイメージなんじゃないか。
4章まではずっと大人にも何も言えていなかったとしたら、その「助けを待つだけ」だった期間のことを思い出しているのでは。それらが、あまり事実ベースではない振り払えない強迫観念のようなものとして表出しているだけなんだろう。
というか、もっとそもそも論でいくとこれは単にランプの魔人の立場にかけた言い回しであり、あんまりそれ以上の意味はないんだと思う。
やさしいご主人様に助けてもらうしかないランプの魔人ポジションと重ねているだけ。
でもちょっと引っかかる。今回こう、ちょっと引っかかる言葉選びとかが多かった気がする。
これが他のNRC生による発言ならそんなに気にならない。なぜならNRC生だから。彼らは時にだいぶ辛辣だし、ジャミルに公平を期してやる義理もない。
でも本人が言ってるのでちょっと気になる。セルフイメージどうなっとんのと。

話を戻して、ジャミル?がわざわざそんな他人の助けがどうのみたいな台詞を言ったのは、そのあとで「誰かにやってもらうのではなく、自分の手で成し遂げる」という旨の発言をさせるためのレシーブである。

そう、ジャミルは「自分の力で」やる、とはっきり宣言している。

何度も言うがこの宣言自体は好きだし、ジャミルらしいし納得している。
解釈通りだし、なんならこういう方向は想定通りでもあった。

でも7章のスカラビアの喧嘩を踏まえて、改めてこの発言を見ると、これジャミル側のストーリーにカリムを差し込む余地が全然なくないか?というところが気になってしまう。

ジャミルの性格とか、わたしの好みとか、ツイステの在り方とかをいったん考慮しないとして、お話として綺麗な動線が引けるのはどんな流れか。
たとえば、

"6章でレオナさんに他人をもっとよく見ろ的な事をいわれたので、他人をちゃんと見るようになったジャミルが、7章以降他人を頼りながら、つまりカリムとも協力しながら、自由を目指す。"

これならまあ割と綺麗な流れなんじゃないかと思う。
しかし、この場合どうしても
でもジャミルはわざわざ「自分の力で」っつってんだよなー。
というところが引っ掛かってしまう。

あるいはカリムの願望を起点に繋げようとするなら、

"ジャミルと友達になりたいカリムが、そのためにはどうすればいいか考えた結果、まず現実でも環境を変えて対等な立場にならなければならないという結論に達し、頑張ってそれを実現しようとする。"

これもカリム単体の動きとしては違和感ないんじゃないかと思うが、しかしここにジャミルを混ぜようとすると、

でもジャミルは誰かに与えられる自由はいらないっつってんだよな。
NO THANK YOUって思ってるんだよな、ジャミル側はそれ。
になってしまう。

もちろん、「自分の力で」と「他人の力を借りない」はイコールではない。

むしろ逆で、他人をうまく頼る(使う)ことをしなければ何かを成し遂げる事はできないと思うし、それは6章レオナさんの教えにも通じると思う。

しかしスカラビアの場合、現状どうしてもカリムの方が立場が「上」なので、"与えてあげる感"を全く出さずに協力って可能なのだろうか?と思う。

主従関係に関わりがないような事なら可能だと思う。
パスタとってきて、とか。
皿だし手伝ってくれ、とか。
あるいは寮に関連する仕事とか。

でもよりによって「ジャミルの自由について」というトピックでそれをやってしまうと、ふたりの立場上、
どう頑張ってもジャミルを自由にして"あげる"カリムの構図は避けられないんじゃないか
と思うし、それはジャミルの宣言と矛盾しないか?となる。
だから、それはやらないつもりなのだ、という受け取り方をするべきという結論になる……んですか??(混乱)

そして言わずもがな、ジャミルがカリムの方の目標"友達"に協力する理由は今のところ無い。
見返りも利害関係もなしに素直に友達になろう作戦に協力してたら、それすでに友達でいいよという話であり意味がわからない。ので無い。

ジャミルは自分が自由になるためカリムと協力し、カリムは友達になるスタートラインに立つためにジャミルが自由になる協力をする。
これなら利害が一致していて良さそうに見えるが、でも前述の通りそれはやらなさそうな流れに見える。

つまりスカラビアはこれから、個々の願いについては、お互いにがっつりした協力とかはせずに各々でやっていくんですよ、という事なのか。
関係性を改善したっぽくみせておいて?
そんな事ある?
このあたりにけっこう混乱している。

ジャミルは自由になりたい。
カリムはジャミルと友達になりたい。

ここから連想するのはアラジンの願いで自由になったジーニーと、ランプの魔人であるジーニーを解放して真の友だちであるジーニーを得たアラジンだ。

でもこっちのジーニーはアラジンに解放されるのは嫌ですゴメンですと言っているし、
アラジンはアラジンでまだ友達じゃない認識はあるにせよ、「ランプの魔人にしたままでは本当のフレンドにはなれないよね」にまで至っているのかは怪しい。

この状態でとりあえず本音をぶつけ合ってすっきりして……それでどうなるんだ、これ?

この段階においてもまだ絶対に噛み合わない永遠のすれ違い主従をやりたいなら、もうそれはそれでいいから好きにやられるべし、という感じなのだが多分違うと思う。

このあたりも私が7章で急にスカラビアがよく分からなくなった一因で、今までならとりあえず保留できていたのだろうが、ちょっと今の状態だと「どうにかなるんですよね?というか、するつもりあるんですよね?」みたいな気持ちになってしまった。

まとめ

まとめると

  1. 2人が置かれた環境という前提やジャミルが想定している未来がよくわからないかつ、

  2. カリムの心の動きもよくわからない状態で、

  3. まとまったふうになってはいるけどよく見ると足並み揃ってないしここから協調するルートはむしろ潰されてないか?となる

という疑問から、スカラビアでこれから何がやりたいのかイマイチよく分からないという、先行き不透明感がどうしても展開を飲み下せなかった理由だと思った。

なので、みんなが何をもってしてスカラビアはもう大丈夫だと確信しているのかもよくわかってない。こいつら本当に大丈夫か……?いや、大丈夫じゃないよ!とも言い切れないのだが。言い切る根拠がないので。

とくに今回は4〜6章のまとめ、総決算みたいな回だったと思っているので、そこで不明部分が多すぎることに肩透かしをくらったというか、全体的に「つまりどういう事だってばよ」になったのだと思う。

確かに4章然り、今までにもちょっとわかりにくかったり、解釈が割れる部分はあった。
でも、それらは起承転結の起・承くらいだったのでそんなもんだろうと気にならなかったし、むしろ楽しんでいた。

転の段階で何がどう転じたのかよくわからないとなればそれは問題視したと思うが、ジャミルにとっての転にあたるだろう6章は、レオナに指摘されて実力を見せられてジャミルがそれを受け入れるという流れはわかりやすかったので、これも気にならなかった。

しかしそれらの総決算みたいな7章で謎が謎を呼んでしまったので、「これは謎とか不明部分とか後の課題として残してるんじゃなくて、公式的にはいったん書ききったつもりでやっていてこれなのではないか……?」と不安になったんだと思う。

今後

という事でいったんにはなりますが引退しました。

「今の時点で、そこまで先を見て見切りつけるのは判断が早すぎない?」と言われればそうかもしれない。
ここまで書いといてなんだが「これちょっと職業病入った思考になってたかもな」とはなった。

ただ、7章どうのというより、ずっと開示しきれていない情報があるなというのは感じていて、今回それが限界になってしまったせいなのだと思う。

私の疑問点も、いまはまだ全然途中なのでこれから解決編をやっていくんですよ、と言われれば、さすがにそうですよねー、となるようなものではあるんだが、メンタル面の問題というか。
シナリオに巨大なハテナマークが生じてしまった……というより、ずっとあったけどとりあえず無視していた空白部分にいよいよ「ここずっと穴空いたままですよね」というしかなくなった今の状態で、またスカラビアが関係を進めるターンや、ジャミルが自由になりたいので頑張るターンを月単位・年単位で待つ事になるのはだいぶキツイな……となり、いったん引退した。

戻ってくるつもりがないわけではなく、私の疑念が間違いだったとか早とちりだったと確信できたら、あるいは疑問点が自然と解消され納得がいったら普通に再開したいし、そのためにアプリもXのアカウントも残してある。
新規カード引いてみるくらいはするかもしれないので、正確には仮引退みたいな感じなのだが、少なくとも今までのように毎日ログインして更新のたびにXで感想戦して〜みたいな感じではなくなると思う。
あといい機会なので課金の仕方とかグッズの購入基準とか色々見直そうくらいの気持ちでいる。

そんな感じで。

(終わり)