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あなたがマジックザギャザリングで勝てない理由

※この記事は無料記事です。100円領域にあるのはどうでもいい程度のおまけであり、この記事に100を払うのは記事を書く猿に餌を投げる行為だと思ってください。

■始:前提


この先この記事で、あなたをたびたび不愉快にさせる可能性のある文章や表現技法があることをお詫びします。


■1:オープニング


あなたはラクドスサクリファイスを使用していました。レシピは以下です。

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その日、意気揚々と大会にやってきたあなた。睡眠は十分で、朝のテレビの占いは星座2位でした。今日はうまくいきそうだな。そんな思いでテーブルにつきます。対戦相手も礼儀正しく、当たり障りのない1回戦がはじまろうとしています。颯爽と手札を確認したあなたは以下の手札に出会います。

魔女のかまど
魔女のかまど
大釜の使い魔
波乱の悪魔


血の墓所

あなたはこの手札をキープしますか?

結論が出たら、下へスクロールしてください。

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あなたが「キープ」を判断したなら、それがあなたがマジックで勝てない理由です。

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この問題の正解は「もう他に情報はないか私に尋ねること」でした。そうしたら私は、これが5月に開催された大会であり、相手が相棒にガイガンこと、深海の破滅ジャイルーダを相棒として提示したことを語ったでしょう。そして、それを聞いて「マリガン」と判断したあなたは、おそらくこの記事を読む必要がないプレイヤーでしょう。

この問題は、先日の大会(はまチャレ。毎度お世話になっております)のフィーチャーマッチでの出来事を参考にしました。その時も同様のラクドスサクリファイスにおける完璧と言えるような手札。しかし、相手の相棒に輝くジャイルーダを確認したプレイヤーは、少し考えた後マリガンを選択しました。その時の実況のTwitchはもはや祭り状態で、コメントが一斉に流れます。「クリックミス」 見ていた誰もがそう判断しプレイヤーを笑いました。マリガン後の手札も、比較的マシな手札。しかしこれもマリガンします。もはや誰も、プレイヤーの正気を信じていませんでした。結果、プレイヤーは敗北してしまうのですが、この後に実況席へ呼ばれたプレイヤーは、冷静にこう語ります。

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「ジャイルーダとは何度も練習したが、まるで勝てなかった。唯一勝てたのは、忘れられた神々の僧侶が活躍したマッチであり、このマッチアップは、僧侶がなければマリガンをするものだと知っていた」


■2:あなたが勝てない理由は、ミスを認識していないからだ

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マジックで勝つ方法は簡単です。ミスをしなければ良いのです。しかし、様々な理由で人はミスをし、重ねます。そして、【引き運-ミス】によって計算される「勝敗指数」に、一定以上の差がついた時、勝敗が決します。では、ミスとは何でしょうか。それは、この勝利指数を下げてしまう行動であり、結果から言うのであれば、「正解ではない行動」がミスです。つまるところ、「ミスをしていないよ」という発言をして良いプレイヤーは、「すべての選択肢で正解が選べたよ」という発言が出来るプレイヤーだけであるべきなのです。

もしもあなたがオープニングの選択肢で「私に質問する」という正解以外を選んでいた場合。特に、ノータイムでキープの判断をした場合。あなたはおそらく「すべての選択肢で正解が選べた」と胸を張れないはずです。ぼんやり、漠然と、なんとなく正解だろう、でプレイを進め、ミスをしたことを気付けていないのが大半ではないでしょうか。そして「引きが悪かった」「デッキが弱かった」などと本質的には原因でないものをやり玉に上げ、マジックがクソゲーだと諦めていないでしょうか。さらに悪い可能性を言うと、それでもマジックをクソゲーだと言えず、だらだらと大会に出続け、参加費の無駄を続けてはいないでしょうか?


■3:どうすればミスを認識できるのだろうか

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マジックは、ほぼ無限と言えるようなデッキ構築というプロセスがあるため、試合における「正しさ」をすべて示すことは不可能であると言えるでしょう。麻雀の教本を書くのが難しいのと同様に、マジックの教本を書くことも不可能です。時として有名プレイヤーは、様々な記事媒体において、自分が使うデッキの「正しい使い方」を示そうとしていますが、そこにそのデッキのすべての可能性と、解答が記された記事は私は未だかつて見たことがありません。それですら、あまりにパターン数が多すぎて、書くことが不可能だからです。これは、そのプレイヤーから直々にコーチングを受けても、おそらく不可能でしょう。

記事を読んだり、コーチングを受けることは確かに「0ミス」へのショートカットになります。しかし、それで完全な理解に至ることがほぼ不可能である以上、「0ミス」に至るためには、自身で「ミスを認識する」能力が、必要不可欠であると言えます。

先に「引き運-ミス=勝利指数」という方程式を提示しましたが、勝利指数という数値は数学的にXとして伏せされています。ミスがミスであるとわからないわからない数値Yである場合、見えるのは「引き」と「勝利指数の差が一定以上ついたことによる結果として現れる勝敗結果」のみです。逆に考えると、2つの値が出ている場合、連立方程式を組むことにより、この場合における数値Y、すなわち、ミスをあぶり出すことが出来ます。数学が苦手な人にさくっと説明すると、ようするに、「トライアンドエラー」です。そして、このために必要となるものが、「確実にして唯一な正解であると断言できないのである限り、負けてもいい場面において、あえて不正解かもしれないという選択肢を取ること」です。その上での比較が必要なのです。


■4:正解に気付くことでミスをしないというルート

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上のプロセスは、確実にして唯一の正解が確認できていれば問題のないプロセスです。逆に考えれば、確実にして唯一の正解を求めることも、結果的にはミスを発見することと同じです。例えば、オープニングにおけるプレイヤーは、「(相棒ルール改定前に流行った)ジャイルーダにラクドスサクリファイスで勝利するためには、2ターン目に僧侶を着地させることが確実にして唯一の正解である」と気付いていたため、最初の問題で「マリガン」という正解を選ぶことができました。

マジックの試合は引きという偶然の連続です。つまるところ、ひたすら練習だけ重ねれば、いつかは確実にして唯一の正解に至ることができます。その状況は必ずどこかで頻発するためです。しかし、時間が有限であり、また、人が所詮は趣味の1つでしかなく、生きることに直結しないマジックという「遊び」に対して集中することができるキャパシティが有限である以上、膨大な試行回数からの偶然の連続によってすべての正解を認識しミスを0にするというルートは、あまりに非現実的であると言えるでしょう。


■5:賞金がかかっていないゲームは負けてもいい

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現実的に、コロナ禍でもある現状で、練習が行える場所はオンラインになるでしょう。当たり前ですが、練習相手は強くある必要があります。スプーキー相手に無限の時間を費やしてもPTでのミスは0にならないのです。そのために、プロはプロ同士での練習合宿のようなものをよく行いますが、それに参加できないなら、もとい、それに参加するにしても、ある程度は自分1人で行える、高レベルな練習環境を用意するべきです。MTGAでいえば、ミシックになるのはこれが目的であると言えます。

しかし、MTGAでのミシックは、1200位以内をキープしなければPTへの道が途絶えるという問題点があります。その点で言えばミシックとは厳密には賞金がかかったゲームと地続きであり、負けてもいいゲームではありません。しかし、敗北を取り返せないチャンスが1回の大会と異なり、ミシックのランク戦は、時間がある限り勝率を取り戻せます。もしもミシックランク1位を目指すのなら、それこそ「舐めプ」ですが、現状ミシックランク1位と1200位の持つ意味は同列なのです。

ならばこそ、ミシックであっても、そしてもちろん、ミシック以下のランクであっても「負けていい」のです。そこであなたは、「大会でミスをしないための練習として、ミスをミスだと特定するためのミスをするべき」なのです。

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それは本当に唯一絶対の正しいプレイだと、断言できますか? 2ターン目成長のらせんは、唯一の選択肢でしたか? 他に、霊気の疾風を構える選択肢や、ショックランドをアンタップインしない選択肢はありませんでしたか? それはしっかりと試しましたか? それは本当に、試すまでもない絶対的なミスですか?


■終:それでもあなたが勝てないのはあなたの心が弱いからだ

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人は常に弱い方向へと流れます。楽な選択肢があればそれに流れてしまいます。考えることは苦痛です。その苦痛から逃げるため「もうこれでいいか」と考えることから逃げ、気付けたはずのミスに気付かない。練習を繰り返してもマジックのAIが組めない以上、最後に求められるのは精神力です。ここまでの記事の内容を完璧にこなし、十全な練習を重ねても、もしもあなたがマジックで勝てないとしたら。あなたが次に行くのは、次の大会ではなく、寺での滝行かもしれません。

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以下課金領域です。おまけに何置くかなーと書いてる途中からずっと悩んでたんですが、思いつかなかったので適当なものが置いてあります。それでも賽銭がしたい人だけ100円払ってもらえると、次の記事の投稿が早くなるかもしれません。


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