デッキ構築の基礎ロジック(お試し無料版)

 昨日、Twitterで知り合いの八十岡プロとの雑談してきたことをきっかけに、「MtGのデッキ構築の基礎ロジックをノートにまとめよう」と思い立ちました。とりあえず100円程度の値をつけて様子見してみようと考えておりますが、今回はそのサンプル版として、予め無料で公開しようと考えていた部分だけを先に執筆しましたので、公開しようと思います。

 100円で売り出す完全版の目次は以下です。

0:デッキ構築の究極的な目標
1:ビートダウンの作り方
2:コントロールの作り方
3:コンボの作り方
4:ミッドレンジの作り方
5:コンボとシナジーへの意識
6:ビートダウンのマナカーブ
7:コントロールのマナカーブ
8:カード選択の理由
9:土地選択
10:デッキ調整のやり方
11:諦めと転換
12:サイドボードの組み方
13:間違ったデッキ構築の方法
14:実践編練習問題

 この中で今回は、「0:デッキ構築の究極的な目標」と「13:間違ったデッキ構築の方法」を先んじて無料公開させていただきます。

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0:デッキ構築の究極的な目標

 デッキ構築の究極的な目標は、勝つことです。無論、友達相手に1~2勝ではなく、プロツアーの優勝デッキと同じデッキを作ることです。極めて難しい目標ですが、目標として設定し公言する分にはタダです。少なくとも、本記事の中ではそう扱いです。
 では、プロツアーで勝つデッキとは何でしょうか。これには2つの回答があります。単純に強いデッキか、環境に存在する他のデッキに相性が良いデッキです。単純に強いデッキが生まれるのは、ウィザーズの開発部の怠慢です。そんなデッキが1つしかない環境だとしたら、もしもあなたがプロプレイヤーでないなら、罵倒の1つでも吐いた上で別の環境かリミテッドを楽しむべきです。おそらく、遠くないうちに、そのデッキのキーカードは禁止されます。よってここでは、環境に存在する他のデッキに相性が良いデッキを作ることを目標とします。
 もしも既に環境が始まっているのなら、他のデッキのリストは存在しているでしょう。始まっていないのならば、そのリストすら自分で作り出します。そうして仮想敵を作り出した上で、その仮想敵に強いデッキを作っていく。そう、究極的な話をしようとした時に「デッキを構築する」とは「環境に存在する可能性のあるすべてのデッキを1人で構築し、その中で回答を得ること」になるのです。
 ここまでを読んで「そんなのは無理だ、ついていけない」と考えたあなたは、冷静であり、そして正しい考え方をしています。実際とても難解な話です。そして、現代のプロプレイヤー達は、高レベルなコミュニティの中で、この作業を分担して行っているのが常です。そんなプレイヤーが作り出したデッキに、勝てるデッキはもちろん、同じデッキすらも、作れると考える方がおかしいのです。幸いなことに、情報化の進んだ現代では、そんなプロプレイヤーのデッキが、使用された翌日にはリストとして手に届きます。単純に強いデッキが使いたいのなら、それを待てば良いのです。いえ、待つ他ないのです。故に、現代のマジックのみならず、ほとんどのTCGでは、デッキを作る必要がありません。
 ですが、デッキを作るという工程が、極めて楽しいのは事実です。また、究極的な目標を目指さないとして、最初に思いついた1つのデッキだけを作ろうと考えたのならば、単純に、この記事で語られるデッキ構築のやり方を理解した上で、1度だけ行えば良いのです。究極的な目標を実際に達成することがほぼ不可能であっても、究極的な目標を目標として掲げた上で、全力でデッキを作る、という試みは、確実にあなたに楽しさと達成感を感じさせるでしょう。
 この記事は、読むことで明日から大会で勝てるようにはなりません。あなたをプロツアーへも導きません。何故なら先に語った通り、「デッキ構築」という工程は、現代TCGにおいて必要がないからです。しかし、そんな理論を知ることは、あなたにマジックを知ったばかりの頃のわくわく感を呼び起こし、改めてマジックの楽しさを知ることになるでしょう。
 ようこそ、カードゲームの世界へ! デッキを生み出し、そして育てる楽しさを学んでいきましょう!

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13:間違ったデッキ構築の方法

 最後に、代表的な間違ったデッキ構築の手法を語ります。これらは、マジックの初心者から中級者が、必ず通る道です。もしもあなたが、ここで紹介した手法でデッキを作ろうとしていた場合、その手法を「間違った手法である」と認識し、今後同じやり方を繰り返さないようにしましょう。

1:色からデッキを作る
 初心者の中の初心者の考え方です。赤が好き、青が嫌い、今日は緑白を作ろう。そんな言葉や思想から強いデッキは生まれません。確かにマジックにはカラーパイという概念があり、打ち消しなら青、速攻なら赤、といったある程度の目安こそありますが、打ち消しを使わないコントロールを作るも、青い速攻デッキを作ることもできます。そもそもデッキとは、特定のカードやシナジー、コンボから作るものです。色から考えるものではありません。
 例:赤いデッキが作りたいです。

2:シナジーに意識が行き過ぎる
 デッキはシナジーから作るものです。しかし、そこでシナジーに目が行き過ぎるのが中級者の陥る罠です。例えば、部族デッキを作ろうとした時に、その部族のカード以外を最初から思考外に置くのは典型的な間違いです。+1カウンターに注目したデッキを作ろう、と考えた時に、+1カウンターと相性のいいカードばかりを探し、単純に強いカードを入れなかったり、シナジーはしているものの1枚では弱い、というカードを入れてしまうのも間違いです。極端な話をすると、特定のカードからデッキを作り始め、調整の結果、そのカードを抜くという思考に至らない(ないし、その思考を自然と拒絶する)ことも間違いです。視野狭窄は、どんな時でも弱いデッキを生み出します。
 例:煙突はアップキープを飛ばすと強いので、時エイトグを入れます。

3:都合のいい状況だけを考える
 例えば、環境のほとんどのデッキに物凄く強いAというカードがあるとします。Aが4枚あれば、そのデッキは強いのでしょうか? 答えはNOです。最大で4枚しか同じカードを投入できない以上、Aを1枚も引かないことはよくあることです。引いたとしても、打ち消されたり、除去されたりされてしまえば同じです。これはメタデッキを作っている時に、より顕著に現れます。Aが入っているからあのデッキには勝てる。その考えが間違いです。もしもそれが1枚のカードではなく、2枚以上のカードからのコンボだった場合、それが決まる確率はより低くなります。常に「裏目のケア」に意識を向け、都合の良い形だけを考えて思考停止しないように注意しましょう。
 例:戦争の報い、禍汰奇がメインに入っているので、親和には勝てます。

4:特定のデッキを意識しすぎる
 禁止カードが出るような偏った環境であっても、大会で1つのデッキが支配するパーセンテージはせいぜい40%です。2回に1回以上、違うデッキに当たります。往々にそういって1つのデッキだけを意識したデッキは、他のデッキに勝つことが難しくなります。親の仇のように特定のデッキをメタっても、結局のところ、大会ならば優勝しなければ意味がないのです。
 例:環境で赤単が最強なので、赤単に強いプロテクション赤や、ライフゲインカードをかき集めました。

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 いかがでしたでしょうか。少しでも、本文を読んでみたい、と感じていただけたのでしたら幸いです。残りの文章の執筆は、早くて26日中、遅くても週末までを目安に仕上げさせていただきます。もしも、質問、要望等ありましたら、コメントか、Twitterの方でお願いします。

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