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時雨の恋の唄1

丁度こんな土砂降りの日の夜だった。大学生である俺小坂悠真は自転車を漕ぎながらアルバイト終わりの夜の道を進んでいた。
「...ん?」
水滴が頬に当たる。雨だと気づいた時には既にバケツをひっくり返したような雨が降っている。
「マジかよ...、今日はついてなさ過ぎだな。」
アルバイト先でのクレーム処理に追われて気づいたら終了時刻を大幅に超えてしまったことやこの土砂降りの雨に文句を垂れ流しながらとりあえず雨を防げる場所を探す。ついでに言うとオレがいま進んでいる道はコンビニのない住宅街でさらにその奥にあるアパート群が俺の借りている部屋である。
「マジか…。」
雨が防げる場所を見つけたはいいが…、場所が場所だけに少し躊躇ってしまう。そう、だってそこはあまり人が来ないような神社なのだから。一応手入れはされているがアルバイト先に行く時や早番からの帰り、さらに進学による引越しでその土地を知るために散策した時にも誰もいなかった。普段は不気味な感じではないがやはり雨降りの夜ということもあり、不覚にも怖いと感じてしまった。雷鳴が聞こえる。
「しのごの言ってらんないな…。神さま、ここで雨宿りさせて下さい!お願いします!」
神社の作法である二礼二拍手一礼を済ませなかへと入る。中は思ったより綺麗だと思っていると
「誰?」と鈴の鳴るような美しい声が聞こえた。

続く
#小説 #恋愛物 #雨

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