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【 日本語劇場版『サンダーバード55/GOGO』 】 感想vol.073 @静岡東宝会館④ 22/1/8

21/英/スタンダード/監督:ジャスティン・T・リー、スティーブン・ラリビエー、デヴィッド・エリオット/脚本:アラン・フェネル、デヴィッド・グラハム、デスモンド・サンダース/特殊効果監督:ジャスティン・T・リー、スティーブン・ラリビエー、デレク・メディングス

この日は、静岡にやって来ていた。何の目的かといえば、将棋のタイトル戦、王将戦が翌日より開催され、その大盤解説会に参加するためであった。対局自体は掛川市で行われるのだが、前乗りして食事とサウナを楽しむつもりであった。静岡市は、意外とグルメタウンなのである。しかし、県外の住人ではなかなか予約が難しい所があり、お目当ての店には悉く入る事が出来なかった。ただ、サウナの聖地と呼ばれる「しきじ」には行けた。コロナ前の2019年に訪れたのが最初であったが、その時と比べると、現在は空前のサウナブーム。若者客がやたらと多い。なので、前回ほど楽しめなかったのが残念である。また、この日の午前中に第3村こと、天竜二俣駅を訪れたのだが、こちらは前日に車両トラブルが起きたらしく、最大の目的であった、転車台の見学が叶わなかった。なんだが、全然上手い事いかない旅である。それでも、アヤナミレイの格好をしたレイヤーさんが写真を撮っていて、邪魔にならないよう、遠くより拝むことが出来て、眼福。
そんなこんなで静岡市にやってきた私は、取り立ててやる事もなかったので、映画館へと足を運んだ。令和4年初の劇場が、地方の映画館というのも、なかなかに面白いものである。

1960年代にイギリスで制作され、世界的に大ヒットした特撮人形劇『サンダーバード』がクラウドファンディングを経て制作された、完全新作の劇場公開版。本作の中では、「サンダーバード登場」、「雪男の恐怖」、「大豪邸、襲撃」の3つのエピソードが紹介されている。

当然の如く、その当時は私は生まれてなかった訳だが、子供の頃に再放送などでテレビで放映されていたのを視た記憶はある。それほど熱中した記憶はないけれども、今でもなお熱心なコアが居続けるということには何かしらの理由があるのではないかと思い、観賞に至る。

まず、「サンダーバード登場」。
ストーリーについて。トレーシー一族が国際救助隊を設立して、運用が始動する少し前の物語。一族の長、ジェフに招待されたペネロープは、執事のパーカーと共に、太平洋に浮かぶ秘密の孤島、トレーシー・アイランドにやってくる。ペネロープとパーカーは、島に隠された最新鋭の技術と、サンダーバード1~5号の説明を受ける。驚きを隠せない二人。こうして、国際救助隊のエージェントとしてペネロープが加わったことで、いよいよ運用が本格稼働する。

続いて、「雪男の恐怖」。
ストーリーについて。エベレストで多発する雪男の目撃談。ペネロープは、その調査の為に現地へと向かう。案内役と共にスキーコプターに乗り込み、吹雪の中を向かうのだが、その案内役の正体は、国際救助隊の宿敵、フッドなのであった。彼の目的は、エベレストを訪れた人々を拉致し、山中に埋蔵するウランの採掘をすることであった。フッドの魔手にかかり、絶対絶命のピンチを迎えるペネロープとパーカー。サンダーバードは無事、救助することができるのか。

最期に、「大豪邸、襲撃」。
ストーリーについて。大邸宅に忍び込んでは、金品を奪って屋敷を爆発するという、大胆な連続強盗事件が多発していた。自身の邸宅が次のターゲットになるのではと予想していたペネロープは、わざと留守にし、犯人をおびき出す作戦を取る。王室の王冠を狙って、城へと潜入している犯人たちを追跡している途中、逆に犯人たちに捕まってしまう。彼女は無事解放されるのか。

あまり細かい設定を知らないで観たわけだが、それでも筋立ては分かりやすく、幅広い層に受け入れられるのも頷ける。今作の主役はペネロープであった訳だが、再放送を観ていた時の彼女とパーカーの存在がほとんど記憶になく、こんなに活躍してたっけなぁと思ったりもした。彼女のセリフ回しが前時代的で、何だかちょっと鼻につくのだけれど、それがいい空気感を醸し出していて、面白い。随所に人を小ばかにした様なニュアンスが含まれていて、満島ひかりの声質が見事にはまっていた様に感じられた。
この作品がいい所は、人形だからといって、超絶的な動きをしないことだろう。あくまで、人間的な動きに徹しているが故に、救助に情熱を注ぐ大人たちのドラマとして観ることが出来る。
再放送を視ていた時に思っていたことだが、やはりサンダーバードは2号が一番カッコいい。というか、一番活躍している。子供の頃は、1号の存在意義がいまいち分かっていなかったのだけれど、今にしてみると、現場にいち早く到着し、現状を視察して、後からくる2号に的確な指示を送るという役目を担っているのだという事に気付く。よく考えられた配置だったのだと納得できた。

昨秋、「庵野秀明展」を鑑賞しに国立新美術館に出かけたのだが、そこでサンダーバード1号と2号の模型が展示されていた。何の気なしに見ていたのだが、そうか、今作のものであったのか。
特撮の復権見覚ましい昨今。今度はどんなものがリメイク、リバイバルされるのでしょうか。大人の童心をくすぐるようなものを期待したい。

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