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【 ザ・ハーダー・ゼイ・フォール 報復の荒野 】 感想vol.059 @シネ・リーブル梅田① 21/11/3

21/米/シネスコ/監督:ジェームズ・サミュエル/脚本:ジェームズ・サミュエル、ボアズ・イェーキン/撮影:ミハイ・マライメア・Jr.

Netflix映画。であるけれども、面白そうな西部劇に目がない私は、ついつい惹かれて劇場へと足を運ぶのであった。なおNetflixには未加入であります。

ストーリーについて。20年前に両親を目の前で殺されたナット・ラヴ。荒野を生きる荒くれ者へと成長した彼は、両親殺害時にその場にいた憎き一味の一人をその手にかける。ある日、酒場へ繰り出すと、ラヴの仲間が真の仇であるルーファス・バックが間もなく釈放されるという情報を伝える。街に戻ったルーファスは仲間の悪党と共に街を牛耳る。復讐のためにラヴは、仲間と友に決戦の地へと向かうのであった。

物語としては王道そのもの。その中に血族同士の争いというものが加わり、悲壮感が生まれる。一匹狼の復讐劇で終わらず、仲間との共闘にすることで、アクションシーンも程よく盛り上がり、見ごたえがある。よく書けているではないか。観るまで知らなかったことではあるが、これを監督したのはラッパーのジェイ・Zであり、脚本も書いている。へぇ、才能のある人というのは何をやらせても上手いものだ。カットの構築も美しく、周りのスタッフの協力もあってのことだろうが、初監督作品としては上出来この上なし。西部劇の核となる銃撃戦も目を引く演出になっていたし、音楽の使い方も秀抜で、ダブ、レゲエといったものが効果的で耳に残る。帰りしなにYoutubeで曲を探したりしたし。ジェイ・Z自身が音楽を生業としているし、MVなどで培ってきた経験が生きているのだろう。とは言ったものの、私はジェイ・Zの音楽はこれまでに一度も聴いた事がないのだけれど。ヒップホップはもっぱら国産のものばかりなり。最近では舐達麻が一押し。洋楽ファンの方、ご免被る。

唯一残念に思ってしまった所は、早打ちを自称するラヴの仲間の一人が、敵ギャングの中の早打ちの男と対峙するシーンだ。何故に彼に一発も撃たせなかったのか。負けるにしても、外れるにしても、せめて引鉄を引かせてやりたかった。随分と殺生な話ではないか。

荒野の中を土埃を巻き上げて疾駆する馬。この風景は邦画では表しきれない情感。時代は進めど、今後ともこういった新しい感覚を盛り込んだ西部劇というものが作り続けられると嬉しい。ちょっとNetflixに入りたくなってみたりして。

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