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【 パーフェクト・ケア 】 感想vol.063 @MOVIX八尾⑪ 21/12/4

20/米/シネスコ/監督:J・ブレイクソン/脚本:J・ブレイクソン/撮影:ダグ・エメット

邦画の比率が高くなっていると感じていたし、予告を観ていてなんだか気になったので観賞に至る。上映館が少ないのも興味がそそられる。

ストーリーについて。法定後見人のマーラの仕事は、判断力の衰えた高齢者を守り、その生活をケアすること。常に沢山の顧客を抱え、裁判所からの信頼も篤い。しかし、その実態は、医師やケアホームと結託して高齢者からその資産を搾取するという、人道を踏み外した極悪人であったのだ。いつもの様にビジネスとしての後見人をこなしていると、知り合いの医師から極上のケア案件があるとの知らせを受ける。狙った獲物を逃さない彼女は、見事、資産家の老女ジェニファーの後見人になり、その財産を絞り上げる。初めは順風満帆に見えたが、次第に歯車が狂い始める。ジェニファーの背後には、何故かロシアンマフィアの存在があったのだ。命の危機に追い詰められるマーラ。果たしてこの窮地を彼女はどうやって切り抜けて行くのか。

脚本の出来栄えが素晴らしいではないか。次の展開はどうなるんだろう、と自然と気持ちがのめり込んでいってしまった。グレーな部分で仕事をしていた女性が、ブラック極まりない世界の男と死闘を演じて、ホワイトな世界へと羽ばたいてゆく。最近サスペンスを観ていなかったのが影響しているのかもしれないが、よく出来た構成ではないか。ロザムンド・パイク演じるところのマーラがやっていることはお世辞にも褒められたことではないのだが、その豪胆さが痛快であるし、とにかくタフで頼もしい。転んでもたたでは起きないという雑草魂に惚れ惚れとする。また、ロシアンマフィアのボスを演じたピーター・ディンクレイジがとにかく渋い。劇中で小人症ということに触れることはないが、その振舞や仕草の一つ一つに品があり、表であれ裏であれ、社会で成功する人間とはこういうことですよと示されている様で、強い印象を与えられた。

監督のJ・ブレイクソンの過去作は観たことがないのだが、どんなものか気になったので、機会を見つけて観賞してみたいと思う。

こんなことは非常につまらないことではあるのだけれども、邦題が『パーフェクト・ケア』。現代は『アイ・ケア・ア・ロット』。うーん、どちらもいまいち。映画の完成度からすると、なんだか勿体ないな。この辺のセンスも大事だと痛感。観て損はなし。

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