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【 プリズナーズ・オブ・ゴーストランド 】 感想vol.057 @TOHOシネマズ梅田⑤ 21/10/15

21/米/シネスコ/監督:園子温/脚本:アーロン・ヘンドリー、レザ・シクソ・サファイ/撮影:谷川創平

我らが園子温のハリウッドデビュー作。これは観ない訳にはいくまい。前評判が芳しくないが、そんなものはお構いなし。観たいという欲望は消せないのだ。

ストーリーについて。悪名高き銀行強盗のヒーローは、相棒のサイコとともにサムライタウンの銀行を襲撃するも、その場に居合わせた少年に気を取られたことにより捕まり、投獄される。サムライタウンを納めるガバナーは全ての権力を支配し、常に女を侍らせ、人々を意のままに操っていた。傍らには用心棒のヤスジロウとスージーを従えている。そんなガバナーの前に手錠をかけられ、褌一丁の姿で連れ出されるヒーロー。5日以内にお気に入りのバーニーを連れ戻すことが出来れば、自由を与えると提案される。その条件は飲むしかなく、爆弾をしかけられたボディースーツを着させられたヒーローは、バーニスを探すために入ったら二度とは出てこられない街、ゴーストランドへと足を踏み入れて行く。そこには、多彩な言語が飛び交い、洋の東西を問わぬ街並みが広がり、特徴のある人々が生活していた。しかし、彼らが口にする事は同じ。「ガバナーが居る限り、我々は時計を止めなければならない。そうしないと世界は爆発する」。紆余曲折を経て、バーニスを見つけ出すヒーロー。真の解放の得るために、ガバナー討伐へと向かうのであった。

エッセンスとしては、園子温のまさにそれ。しかしながら、今一つに感じてしまったのは、「西洋人が見た東洋文化」という表現に寄り過ぎてしまったきらいがあるのではないだろうか。そのノリに日本人みずから乗ってみるという。外国人俳優がいるのに、純和風で描くのも面白かったと思うし、日本人俳優も多数出演していたので、ウェスタン的なアプローチでもよかったのかと思う。どっちつかずになってしまい、表面的な印象で終わってしまったことが勿体ない様に感じられる。それと、どの程度園子温監督は脚本に関わっているのだろうか、クレジット上はその名前は記されていないが、随所でみられた演劇的なシークエンスなどは、外国人の感覚ではないようにも思われた。でもまあ、郷に入りては郷に従えなのだろうか。ポン・ジュノの外国語映画一作目である『スノー・ピアさー』も、お世辞にも褒められてものではなかったし。継続は力なり。次に期待したい。

特筆すべきは坂口拓のアクションであろうか。引退するとかしないとかあったけれども、結局は日本人アクションスターは彼であろうし、一級品であることは間違いない。かつて引退興行の中で『狂武蔵』が上映されたのを観に行ったが、あれはタフで面白かった。20年公開版は観れていないのだが、ちょっと中身が違うような?

残念に思う所も多かったが、エモーショナルなセリフ回しやカットの運び方などは、従来の映画とさほど変わらなかったことが嬉しい。観る価値はありや。

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