見出し画像

GP名古屋2020の赤単ファイヤーズ


 お久しぶりです。虎咲タイガです。
 今回、2月1-2日に開催されたGP名古屋2020にて、(PTの裏番組とはいえ)7位に入賞することができましたので、簡単にデッキの解説や調整の過程などを書きたいなと思い、筆を取りました。
 ベスト8で自分も対戦し、負けてしまった、石附さんのデッキほどオリジナル要素は無いのですが、良ければお付き合いください。


はじめに


 このデッキは既存の赤単ミッドレンジ、ビッグレッドの亜種で、《創案の火》が特徴です。
 既存の赤単の1~2マナ域の多さと、5マナのカードのために要求される5枚の土地が気に入らず、コンセプトは、トップデッキして弱い低マナのカードは最低限まで削り、土地4枚で4マナのカードを連打するというものです。
 5枚以上の土地が並ぶのは、赤単ゆえの豊富なバリューランドがある程度誤魔化してくれるのですが、マナスクリューなどで4マナのカードが渋滞してしまうのが目下の悩みでした。
 そこに、スタンダードで使ったことのある《創案の火》を入れてみたところ、デッキにしっかりと嵌り、調整を進めました。

デッキリスト


カワサキ ヒロタカ - 「赤単ファイアーズ」
グランプリ・名古屋2020#1 スイスラウンド7位/ パイオニア
 (2020年2月1~2日)[MO]


10 《山》
4 《エンバレス城》
4 《変わり谷》
4 《ラムナプの遺跡》
2 《屍肉あさりの地》
1 《爆発域》
-土地(25)-

2 《損魂魔道士》
3 《義賊》
4 《ゴブリンの熟練扇動者》
3 《砕骨の巨人》
4 《難題の予見者》
2 《朱地洞の族長、トーブラン》
-クリーチャー(18)-

 2 《乱撃斬》
2 《キランの真意号》
2 《稲妻の一撃》
2 《炎の侍祭、チャンドラ》
4 《反逆の先導者、チャンドラ》
2 《炎の職工、チャンドラ》
2 《創案の火》
1 《主無き者、サルカン》
 -呪文(17)-

2 《トーモッドの墓所》
1 《影槍》
2 《大歓楽の幻霊》
2 《丸焼き》
1 《ミジウムの迫撃砲》
1 《パーフォロスの介入》
1 《漸増爆弾》
2 《神々の憤怒》
1 《破滅の刻》
1 《主無き者、サルカン》
1 《エンバレスの宝剣》
 -サイドボード(15)-


カード選択


 個々のカード選択の理由について、それぞれ簡単に解説します。


・《栄光をもたらすもの》

 先述の通り、5マナ分の土地を並べるのが難しいので不採用。
 赤単や黒単など、メタゲームに少ないデッキに強いのも逆風でした。
 4点火力の枠は《反逆の先導者、チャンドラ》を増やして対応しました。


・《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》

 《朱地洞の族長、トーブラン》との相性は最高ですが、あまり存在感が無く、MOで見かけたリストに採用されていた《義賊》に差し替え。
 能力によって、先手では滅法強く、相手が手札を持っていれば後引きでもそれなりに強く、《創案の火》とも好相性とデッキに噛み合っていました。

 この選択は、結果的に信託者コンボにも強くなっており、正解でした。


・《損魂魔道士》《乱撃斬》《稲妻の一撃》

 それぞれ、1枚は引きたい相手が多いが、弱いマッチではとことん弱いカードたち。コンセプトとして、削るつもりだったので、それぞれ2枚に。
 《稲妻の一撃》だけは削った弊害が大きく、ベスト8での青赤果敢相手に大きく響きました。


・《砕骨の巨人》

 それぞれの効果は有力ですが、パイオニア相応のマナレシオは無く、アドバンテージカードとしての側面が強かったため、2枚以上引くと非常にテンポが悪いため、3枚に減らしました。


・《キランの真意号》

 実は、このデッキは(本戦で一度も決まらなかった)3枚コンボを搭載していて、そのうちの1枚が《キランの真意号》です。(残りの2枚は《炎の職工、チャンドラ》と《朱地洞の族長、トーブラン》です。詳細は後述。)

 コンボパーツとしての側面もありながら、カードとしても非常に強力で、《至高の評決》や《精霊龍、ウギン》に強く出られました。


・《炎の侍祭、チャンドラ》

 《キランの真意号》への擬似搭乗要員、兼コントロールへの打点。
 単体性能はそこまで高くないのですが、デッキ内の多くのカードとシナジーを形成しており、1枚から増量しました。
 《残骸の漂着》を非常に打ち辛くさせるのもGOOD。


・《難題の予見者》

 はじめはサイドボードに4枚取っていたのですが、サイドボードの枠を圧迫している上、非常に強力なのでメインボードにガン積みすることにしました。アグロ相手の後引きだけは厳しいですが、安定して強かったです。


・《主無き者、サルカン》

 もともとは4枚目の《砕骨の巨人》でしたが、速やかにゲームを畳めるカードとして採用することに。5マナとはいえ、単体で8点+ α の打点がかなり魅力的で、サイドボードに追加でもう1枚採用しました。


・《爆発域》《漸増爆弾》

 前日のPTQにて、魂込めの《幽霊火の刃》にぐちゃぐちゃにされたので急遽採用。これも結果的に大正解で、青白スピリットにX=3で睨みを利かせたり、《影槍》と合わせて、本来触れない《太陽冠のヘリオッド》を《試練に臨むギデオン》などとまとめて落としたり、間違いなくMVPでした。



戦績


 本戦の対戦戦績はこんな感じでした。

 Day 1
 R 1   bye
 R 2   bye
 R 3  先  黒単ミッドレンジ 〇〇
 R 4  後  青白スピリット 〇〇
 R 5  後  黒緑季節コン ××
 R 6  後  青白ロータス 〇〇
 R 7  先  青黒信託者コンボ 〇×〇
 R 8  先  魂込め ××
 R 9  後  青黒信託者コンボ 〇×〇

 Day2
 R10  後  バント再生 ×〇〇
 R11  先  魂込め 〇×〇
 R12  先  青黒信託者コンボ 〇〇
 R13  先  青白スピリット 〇〇
 R14  先  白単信心t緑 ×〇〇
 R15  後  青黒信託者コンボ 〇×〇
 7位抜け
 ベスト8 青赤果敢 ××


相性


 個人的に感じた相性感は以下の通りです。

 有利:青白コン、青黒信託者コンボ、黒単、青白スピリット、緑ランプ

 五分:5cニヴ、白単、ロータスコンボ、赤単

 不利:魂込め、青単信心、黒緑系、緑単t黒

 バントスピリット、青赤果敢、白黒オーラとは対戦数が少ないのでよく分かりませんが、構築の意識が向いてないのであまり有利ではないような気がします・・・
 また、青黒信託者との相性は、デッキ完成度やプレイヤーの質に依存している可能性が高いような気がします。


サイドボーディング



・5cニヴ=ミゼット

  OUT 《乱撃斬》2《稲妻の一撃》2《砕骨の巨人》3
  先手  《損魂魔道士》2
  IN  《パーフォロスの介入》1《丸焼き》2《神々の憤怒》2
      《主無き者、サルカン》1
  先手  《大歓楽の幻霊》2《エンバレスの宝剣》1
  後手  《破滅の刻》1

 当て所の無い軽量火力をサイドアウトします。4/3というサイズにあまり価値が無いので、ミッドレンジ、コントロール相手ですが《砕骨の巨人》はサイドアウト。
 《神々の憤怒》はPW盤面でマナクリを焼ける可能性があるのでサイドインします。タフネス6が多いのが気になりますが、《丸焼き》が当たらないクリーチャーはほぼいないので、除去が不足する感じではないです。《パーフォロスの介入》は唯一タフネス6を焼ける火力なので大事に扱いたいですが、《創案の火》と相性が悪い点には注意が必要です。



・黒単アグロ

  OUT 《損魂魔道士》2《朱地洞の族長、トーブラン》2
  先手  《稲妻の一撃》2
  後手  《義賊》3
  IN  《パーフォロスの介入》1《ミジウムの迫撃砲》1
      《神々の憤怒》2《主無き者、サルカン》1
      《破滅の刻》1
  後手  《漸増爆弾》1

 相手のスペルは軽量かつ強力で、クリーチャーはブロック制限があるものが多いので、先手は義賊の強みが生きるマッチです。3点火力が欲しい仮想敵は《悪ふざけの名人、ランクル》のみなので、先手は《神々の憤怒》に役割を任せて《稲妻の一撃》をサイドアウトします。
 テンポ勝負になることが多いので、序盤の2/1にも除去は打っていくのがいいと思います。


・魂込め

  OUT 《義賊》3《難題の予見者》4《炎の侍祭、チャンドラ》2
  IN  《パーフォロスの介入》1《ミジウムの迫撃砲》1
      《主無き者、サルカン》1《影槍》1
      《破滅の刻》1《漸増爆弾》1《エンバレスの宝剣》1
  先手  《大歓楽の幻霊》2
  後手  《神々の憤怒》2 

 相手のカードはほとんど3マナ以下なので、先手は《大歓楽の幻霊》を勇気のサイドインです。勝負を決めるカードは除去を無意味にする《幽霊火の刃》で、5/5とは何とかライフレースが成立する展開が多いです。
 大きい《石とぐろの海蛇》を5/5にされると《漸増爆弾》しか打つ手がありませんし、基本的には0で置いておくのが良いと思います。


・青黒信託者コンボ

  OUT 《乱撃斬》2《損魂魔道士》2《砕骨の巨人》3
      《炎の職工、チャンドラ》1
  IN  《大歓楽の幻霊》2《トーモッドの墓所》2
      《主無き者、サルカン》1《エンバレスの宝剣》1
      《丸焼き》2 

 《トーモッドの墓所》は、前もって置いておけば、6マナまで《真実を覆すもの》を睨めるのでサイドインします。
 《丸焼き》は《神秘を操る者、ジェイス》に当てたいですが、《タッサの信託者》でゴブリントークンが止まっている場合は、打っていいと思います。同様に、《反逆の先導者、チャンドラ》も-3起動は積極的に。
 覆された相手のデッキを《義賊》で削る小技で勝ちを掴めるときもあるので、後引きの《義賊》は手札に温存するのもいいと思います。

 《予期の力戦》青信心型は、墓地対策の効き目が薄いのですが、結局同じサイドボードをするしかないと思います。


・青白スピリット

  OUT 《損魂魔道士》2《炎の侍祭、チャンドラ》2
      《炎の職工、チャンドラ》2《朱地洞の族長、トーブラン》2
      《砕骨の巨人》1
  IN  《丸焼き》2《神々の憤怒》2《破滅の刻》1《漸増爆弾》1
      《主無き者、サルカン》1《影槍》1《ミジウムの迫撃砲》1
       

 《影槍》は《鎖鳴らし》と《無私の霊魂》を1マナで睨めて、装備能力も強く使えるマッチです。また《呪文捕らえ》が重いので、4マナで影響度の少ないカードをサイドアウトします。
 《義賊》の到達が強いマッチアップで、先手はアドバンテージを取れるアタッカーとして、後手は到達のブロッカーとして運用します。
 《難題の予見者》を上手く通せれば、相手のプランが丸裸になるので、非常に戦いやすいです。


・白単

  OUT 《損魂魔道士》2《義賊》3《砕骨の巨人》1
      《炎の侍祭、チャンドラ》2《難題の予見者》1
  IN  《丸焼き》2《神々の憤怒》2《破滅の刻》1《漸増爆弾》1
      《主無き者、サルカン》1《影槍》1《ミジウムの迫撃砲》1

 《歩行バリスタ》《太陽冠のヘリオッド》系のサイドボードです。
 《漸増爆弾》《爆発域》はX=3を目指しましょう。
 相手の手札が枯れがちなマッチなので《難題の予見者》がデメリットクリーチャーになってしまうことがありますが、《歩行バリスタ》を抜けるので、3枚ほど残しています。

 当初の予定では、先手ではさらに《義賊》を残す予定でしたが、《魅力的な王子》に義賊が攫った《ベナリアの軍指令》というお姫様を取り返されたので爆発しました。


・赤単

  OUT 《損魂魔道士》2《炎の侍祭、チャンドラ》2
  後手  《義賊》3
  IN  《パーフォロスの介入》1《主無き者、サルカン》1
      《影槍》1《ミジウムの迫撃砲》1
  後手  《神々の憤怒》2《破滅の刻》1

 入っているカードはほとんど同じなのですが、サイド後はこちらだけ全体除去があるので気持ちが楽です。
 このマッチは、とにかく《主無き者、サルカン》が強く、《栄光をもたらすもの》の督励に焼かれず、アドバンテージを取れるフィニッシャーです。《再燃するフェニックス》を多く見た場合は、先手でも《神々の憤怒》をサイドインします。

 バーン型の赤単の場合には、先手でも後手サイドボードを行います。


・ロータスコンボ

  OUT 《損魂魔道士》2《乱撃斬》2《砕骨の巨人》3
  IN  《トーモッドの墓所》2《大歓楽の幻霊》2
      《主無き者、サルカン》1《ミジウムの迫撃砲》1
      《エンバレスの宝剣》1

 致命的なサイドカードは《大歓楽の幻霊》だけなので、クロックで押していく形になりますが、《難題の予見者》はそれなりに間に合う印象です。
 《樹上の草食獣》が出てくるとかなり時間を稼がれてしまうので、《稲妻の一撃》を《砕骨の巨人》より優先して残します。 


・緑単t黒

  OUT 《炎の侍祭、チャンドラ》2《損魂魔道士》2《砕骨の巨人》1
  後手  《義賊》3
  IN  《パーフォロスの介入》1《漸増爆弾》1
      《主無き者、サルカン》1《ミジウムの迫撃砲》1
      《エンバレスの宝剣》1
  後手  《神々の憤怒》2《破滅の刻》1

 《焙り焼き》を諦めたので、大変きついマッチアップです。
 《朽ちゆくレギサウルス》だけでなく、《恋煩いの野獣》すら除去できるカードがほとんどなく、あまり本体性能は強くないのですが、能力目当てで《損魂魔道士》も残さざるを得ません。

 マナクリを焼きながら、《漸増爆弾》《爆発域》をX=3にできればかなり余裕は出てきます。
 また、飛行クロックはかなり通りがいいので、《主無き者、サルカン》が主な勝ち手段です。



テクニック

最後に、このデッキを使う上で憶えておいて欲しいことをまとめました。
これからオフシーズンのパイオニアですが、良ければ是非、このデッキを使ってみてください。


・《変わり谷》のシナジー

 《変わり谷》は[ならず者]なので、《義賊》が奪ったカードを唱えるためのトリガーになります。
 《変わり谷》は[ゴブリン]なので、《ゴブリンの熟練扇動者》のパワーを上げることができます。
 《変わり谷》は[ドラゴン]なので、相手の攻撃前にクリーチャー化しておくと、《主無き者、サルカン》で攻撃クリーチャーに1点飛ばすことができます。


・《ゴブリンの熟練扇動者》

 《ゴブリンの熟練扇動者》の出したトークンと、本体で《キランの真意号》の搭乗コストを支払い、強制攻撃のデメリットを軽減できます。
 パワーの合計が4や5でも、搭乗コストとして余計にクリーチャーをタップできます。


・《創案の火》絡み

 《反逆の先導者、チャンドラ》《炎の職工、チャンドラ》でめくったカード、《炎の侍祭、チャンドラ》のー2で選んだカード、《義賊》で奪ったカードも、0マナでキャストできます。

 《呪文捕らえ》から取り返した呪文も唱えているので、《創案の火》の制限に引っかかってしまいます。


・(決まらない)3枚コンボ

 《キランの真意号》の擬似搭乗を、《炎の職工、チャンドラ》の忠誠度カウンターで起動した際に、《朱地洞の族長、トーブラン》がいると、1回につき3点プレイヤーに飛びます。忠誠度5で15点、6で18点飛ぶので概ね致死圏内です。


・《炎の侍祭、チャンドラ》

 《炎の侍祭、チャンドラ》と《反逆の先導者、チャンドラ》を並べることで、2ターンで奥義を打つことができます。


・土地絡み

 《変わり谷》をクリーチャー化したあとに、《エンバレス城》を起動することで、パワー3となるので、《キランの真意号》に搭乗できます。



おわりに


 最後までお読みいただいて、誠にありがとうございます。

 また、この場を借りて、このデッキをシェアして、構築とプレイングに多くのアドバイスをくれた友人と、練習場所とクリティカルなアドバイスをくれたジョニーのお店、イエローサブマリン広島店に、心より感謝します。

 トップ8に残れたのは望外の結果ではありますが、次回のプレイヤーズツアーで良い成績を残すことを目指して頑張ります。

 誤字、脱字、質問等ございましたら、気軽にツイッターまでよろしくお願いいたします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?