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『ZERO to ONE』ピーター・ティール著

今回は書籍の御紹介です。

先日noteを書いている時にこの書籍について思い出しました。この書籍の内容って、すごく勉強になったので、読んだ当時そのサマリをメモっておいてました。今回は、そのメモ書きの御紹介です。

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これまで著者のピーター・ティールを知らなかったのですが、彼は米国ではすごい人です。ティールは、世界最大のオンライン決済システム「ペイパル」の共同創業者であり、投資家としてFacebookの最初の外部投資家(50万ドルの投資が最終的には10億ドルとなった)。

ペイパル創業グループ、俗に言う「ペイパル・マフィア」のメンバーは、その後、リンクトイン、ユーチューブ、テスラ・モーターズ、スペースX、イェルプ、キヴァなどの企業を創業しています。フォーチュン誌でも「ペイパル・マフィア」の特集を組んだほど。


そのティールがベンチャーや起業について語った書籍です。
(印象に残ったところ‥本書より)

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◆今日の「ベストプラクティス」はそのうちに行き詰まる。新しいこと、試されていないことこそ、「ベスト」なやり方なのだ。

◆進歩の未来は次の2つの形のどちらかになる。1つは水平的進歩、または拡張的進歩と言ってもいい。それは、成功例をコピーすること、つまり1からnへと向かうことだ。
もう1つは垂直的進歩、または集中的進歩とは新しい何かを行うこと、つまりゼロから1を生み出すことだ。

◆殆どの人はグローバリゼーションが世界の未来を左右すると思っているけれど、実はテクノロジーのほうがはるかに重要だ。
 
◆時代遅れの「常識」は、振り返って初めていい加減で間違っていたことが分かる。

◆ドットコムバブル後、シリコンバレーに居残った起業家は、ドットコムバブルの崩壊から4つの大きな教訓を学んだ。それがいまだにビジネスを考える時の大前提となっている。
 1.少しずつ段階的に前進すること
 2無駄なく柔軟であること:全ての企業は「リーン」でなければならず、それはすなわち「計画」しないことである。ビジネスの先行きは誰にもわからない。計画を立てるのは傲慢であり、柔軟性に欠ける。
 3.ライバルのものを改良すること:機が熟さないうちに新しい市場を創ろうとしてはならない。本当に商売になるかどうかを知るには、既存顧客のいる市場から始めるしかない。つまり、成功しているライバルの人気商品を改良することから始めるべきだ。
 4.販売でなくプロダクトに集中すること

◆むしろ正しいのは、大前提4つとは逆の原則だ
 1.小さな違いを追いかけるより大胆に賭けたほうがいい
 2.出来の悪い計画でも無いよりはいい
 3.競争の激しい市場では収益が消失する
 4.販売はプロダクトと同じくらい大切だ

◆完全競争下では長期的に利益を出す企業は存在しない。資本主義は資本の蓄積を前提に成り立つのに、完全競争下では全ての収益が消滅する。だから、起業家ならこう肝に銘じるべきだ。永続的な価値を創造してそれを取り組むためには、差別化のないコモディティ・ビジネスを行ってならない。

◆新しい何かが創造される場は、均衡とはほど遠い。経済理論の当てはまらない現実世界では、他社のできないことをどれだけできるかで、成功の度合いが決まる。
つまり、独占は異変でも例外でもない。独占は全ての成功企業の条件なのだ。

◆競争環境では、誰も得をせず、大した差別化も生まれず、皆が生き残りに苦しむことになる。それなら、なぜ人は競争を健全と思い込んでいるのだろう。
競争とはイデオロギーなのだ。社会に浸透し、僕たちの思考を歪めているのが、まさにこのイデオロギーだ。僕たちは競争を説き、その必要性を正当化し、その教義を実践する。その結果、自分自身が競争の中に囚われてしまう。

◆独占企業の特徴は4つ
 1.独占的かつ非公開のキーテクノロジー
 2.ネットワーク効果
 3.規模の経済
 4.ブランディング

◆独占を築くためには、「テクノロジー」「ネットワーク効果」「規模の経済」「ブランディング」の4つを組み合わせることが独占につながる。
どんなスタートアップも非常に小さな市場から始めるべきだ。失敗するなら小さ過ぎて失敗するほうがいい。大きな市場よりも小さな市場のほうが支配しやすい。
スタートアップが狙うべき理想の市場は、少数の特定ユーザーが集中していながら、ライバルが殆どあるいは全くいない市場だ。


◆規模の拡大:ニッチ市場を創造し支配したら、次は関連する少し大きな市場に徐々に拡大してゆくべきだ。
大成功している企業はいずれも、まず特定のニッチを支配し、次に周辺市場に拡大するという進化の過程を創業時から描いている。例)Amazon
 
◆破壊しない:本当に新しいものを作りたいなら、古い業界を意識するより、創造に力を注ぐほうがはるかに有益だ。
実際、既存企業との対比で語られるような会社は全く新しいとは言えないし、恐らく独占企業にはなれないだろう。
 
◆ラストムーバ―になる:特定の市場で一番最後に大きく発展して、その後何年、何十年と独占利益を享受するほうが良いということだ。
そのためには、小さなニッチを支配し、そこから大胆な長期目標に向けて規模を拡大しなければならない。
 
◆未来は明確だという考え方が立てば、確固たる信念を持つほうがいいはずだ。あれもこれも中途半端に追いかけて「万能選手」になるより、一番いいと思うことを決め、それを実行すべきだ。必死に皆と同じことをするより、本当に実のあること、自分が一番になれるこっとことに力を注ぐ方がいい。

◆エンジニア主導のシリコンバレーでさえ、今流行りの戦略と言えば、変わり続ける環境に「適応」し「進化」する「リーン・スタートアップ」だ。起業家予備軍は、先のことは何も分からないのだと教えられる。顧客の欲求に耳を傾け、実用最小限の製品以外は作らず、上手く行ったやり方を反復すべきだと言われる。
大胆な計画の無い単なる反復は、ゼロから1を生み出さない。成功を実現するための計画が無いのに、どうして成功するのだろう。
スタートアップにおいてインテリジェント・デザイン(偶然生まれたものではなく、意図や目的を持つ偉大な知性によってデザインされたとする理論)こそが最適だ。

◆起業は、君が確実にコントロールできる、何よりも大きな試みだ。起業家は人生の手綱を握るだけでなく、小さくても大切な世界の一部を支配することができる。それは「偶然」という不公平な暴君を拒絶することから始まる。人生は宝くじじゃない。

◆アインシュタインが言ったかどうかは定かではないけれど、分散に極端な偏りがでる「べき乗則」は万物の法則だ。それは僕らの周囲のあらゆる現象を支配しているために、僕らは普段それに気づかない。
僕たちが住んでいるのは正規分布の世界じゃない。僕たちは「べき乗則」のもとに生きているのだ。

◆ベンチャーキャピタルにとっての何よりも大きな隠れた真実は、ファンド中最も成功した投資案件のリターンが、その他全ての案件の合計リターンに匹敵するか、それを超えることだ。

◆最高のベンチャーキャピタル・ファームでさえ、「ポートフォリオ」を組んでいる。それでも、大規模に成功できる可能性があるスタートアップだけを組み入れるのが、良質のベンチャーポートフォリオだ。

◆全ての人は投資家にならざるを得ない。君が仕事を選ぶとしたら、それが数十年後に価値のあるものになると信じて選ぶはずだ。
人生はポートフォリオじゃない。スタートアップの創業者だろうと、誰であろうと。起業家は自分自身を「分散」できない。

◆重要なのは「何をするか」だ。自分の得意なことにあくまでも集中すべきだし、その前は、それが将来価値を持つかどうかを真剣に考えたほうがいい。

◆敢えて起業するなら、必ず「べき乗則」を心にとめて経営しなければならない。一番大切なのは、「ひとつのもの、ひとつのことが他の全てに勝る」ということだ。

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以上です。年末に良かったらご一読ください!

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