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終焉を迎えた第4次旅行ブーム、関連セクターには手を出さない方が賢明か? 【投資のヒント】

■30年周期の旅行ブームの絶頂からの下落だけに時間がかかる
バフェットやヘッジファンド、PEファンドなどは、このところ大きく下がった航空関連、ホテル、エンターテインメント関連に投資しているらしい。表に、主な旅行関連銘柄を並べてみたが、高値からの下落は半端ない水準だ。水準感としてもういい頃合いということなのだろう。バフェットは鉄道、航空等に相当額を投資しているので購入単価を下げるための難平(ナンピン)買いなのだろうか?

バフェットに言わせると「経験則からすれば良い投資」ということなのだろうが、個人的にはあまり食指が動かない。理由は幾つかあるが、一番大きな理由は現在の状況が「30年周期の旅行ブームの絶頂からの下落」だからである。米国の旅行ブームは30年周期と言われる。第1次(1920年代第1次大戦後復興時代の鉄道旅行ブーム)、第2次(1950年代アイゼンハワーのインフラ整備による自動車旅行ブーム)、第3次(1980年代レーガノミクス期の飛行機旅行ブーム)と来て、直近が第4次ブーム(2010年代)である。第4次ブームは、格安航空とインターネットの融合により国境超えが格安で安全になったことが背景にあったと解釈している。米国人だけでなく新興国の人たちまで巻き込んだ大旅行ブームとなり、ここ数年これが絶頂期にあったということだ。それが、コロナショックで一気に冷え込んでしまった。30年越しの絶頂期からの陥落と考えれば、底はもっと深くて回復にも長い期間を要するのではないかということだ。

■コスト増、新たなウィルスの恐怖
そして次に待っているのは、恐らく「コスト増加」だ。国境越えはそこまで気軽なものではない、と思い直させられるとすれば、旅行関連業は旅客の不安を解消する工夫が求められる。そうした工夫はコスト増や気軽さを損なうものとなりがちだ。そう考えると収益回復は簡単ではない。また、そうこう工夫しているうちに次の新型コロナウィルスが発生してもおかしくない。SARSが2003年、北米新型コロナが2009年だったこと等を考えれば、次の脅威も10年経たないうちに出てくると考えるのが普通だからだ。こうして考えると旅行関連セクターは底値がどこかもわからないうえ、戻りも限定的のような気がする。潤沢な資金のある人は下がればまた買えばいいのだろうが、資金に制約のある一般人にはもう少し効率のいい投資先がありそうだ。

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