インドの神の子
私は今インドのデリーにいる。
私が数日前にバラナシにいた時の話。
是非はともかくインドには職業としての物乞いがいる
バラナシで毎日4歳くらいの女の子と6歳くらいの男の子が物乞いに来る。私の子供達とあまり変わらない年齢。すごく汚れている。何度会っても胸の奥がうずく、胸が熱くなる
毎日いくらか渡すがこのお金は親に取られてしまう。そこで友達になったバラナシ人のムケシにどんなお菓子が人気か聞いた。お菓子なら親に取られない。ただ飴だとありきたりだ
そうするとキットカットが彼の家族の子供たちにも人気だという
そこで女の子が来た時に買っておいたキットカットを差し出した。受け取らない。見たこともないのだろう。包装紙を破って渡す。やはり食べない。食べる仕草をして促す。これは君のだよ。食べていいんだよ。だが食べない。そのままお盆にのせて持って帰ってしまった。
これも親に渡すのか。。私はこの子が微笑んだ顔をついに一度も見れなかった。
あるお祭りの日ガンジス川に座っていると別の物乞いの子たちがやってきた。いくらか渡そうとして財布を探る
するとインド人の男が近づいてきて大声で子供を追い払おうとする。でも子供達も頑張る。すると男は子供の肩を強く叩いた。子供達は全速力で逃げていった
何するんだ?相手は子供じゃないか!私は思わず大声をあげた。相手がブツブツとヒンドゥ語で言ってる。大人には弱い。弱いものイジメ野郎だ。私は言った。この子が何をした!親がやらせてるんじゃないか!
男は肩をすくめ、ぶつぶつ言いながらあっちに行ってしまった。私の大声に皆一様にこちらを振り向く。だがその後は誰も気に留める様子もない。慣れっこなのだ。だが慣れたくない。そう思った
そして目を合わせてくれるインド人も中にはいる。何も言わないが共感してくれていることは目で分かる
物乞いの子は目に光がない。全てを諦念したような、悟ったような、虚無のような、形容しずらい表情をしている
仏陀が悟った時こんな顔をして
カーストを縦に物乞いしかさせないくせに物乞いに来たら来たで暴力を振るう。しかも年端もいかない子供に。
ここにずっといたら慣れるのだろうか。誰も気に留める様子もない。だが慣れたくない。そう思った
そして目を合わせてくれるインド人も中にはいる。何も言わないが共感してくれていることは目で分かる
物乞いの子は目に光がない。全てを諦念したような、悟ったような、虚無のような、形容しずらい表情をしている。仏陀が悟った時、あるいはこんな顔をしていただろうか。無の表情をした子供たち。仏陀は全ては空(無)だと言った
この子たちが私の子供でもしインドに生まれていたら、またはその逆だったら。そう考えずにはいられない
数日前友人のムケスの母親の葬式に出た時、彼の姪っ子にキットカットを渡した。屈託のない笑顔で受け取り美味しそうに頬張る。そうこれが本来の子供の表情だ。うちの子と何も変わらない
だかあの子たちはこんな顔で笑うことはない
あの物乞いの神の子たち(マザーテレサはこの子たちをそう呼んだ)の子供らしい笑顔をいつか見たい
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