死人にどうにかして会えないだろうか。大切な人を失ってしまったことがある人なら一回は思ったことがあるだろう。その対象が大切な人じゃなくてもいい。 例えば戦国の時代を生きた織田信長に会いたい人もいれば、偉大な発明家エジソンに会いたい人もいる。婚約を約束してこの世からいなくなってしまった彼女に会いたい人や、自分が小さい時に可愛がってくれたおばあちゃんに会いたい人もいる。 今回その対象になるのはおれの親友だ。 俺には親友(たかと)が居た。 居たということはこの世にはも
これがたかとが送ったみおちゃんへの最後のメッセージだった。 漫画か何かかと思った。 たかと本人もまさか本当に自分が死ぬとは思っていなくて、冗談で言ったのだろうか? それとも本当に自分はもう死んでしまうかもしれないと思ったのだろうか? 後者だった場合、普通は感謝のメッセージを送ると思う。 「ありがとう」や「好きだ」とか俺がたかとの立場だったら彼女に対してそう送ると思う。 俺とたかとの思考はよく似ていた。だからたかともきっと感謝のメッセージを送ると思っていた。 しかし
見慣れた団地に着くと二階に登り、201号室のインターホンを鳴らした。 インターホンを鳴らして出てきてくれたのは中学2年生の弟だった。たかとにはもう1人、小学校3年生の弟がいる。 小学三年生の弟はもさっきまで泣いていたのか、目が少し赤い。たかとの部屋に行くとたかとが寝ていた。 みおちゃんはたかとの横にぴったりと張り付いて泣いていたが、俺が来たことを確認すると軽く会釈して俺にそこのポジションを譲ってくれた。 俺は生まれて初めて死体を見た。死体は体温を失って冷たく、硬かった。