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季節はその香りさえ変える 見えないそれは ふっとぼくらを捕まえる 濃紺の夜が垂れている空に ふと 柔らかく溶けるような さざなみを感じさせる 静かで だけど 確かな その香り 更に欲しくなって 逃げていく前に たくさんそれを吸い込んだ 触れられないのに 感じずにはいられない 檸檬の酸っぱくてほろ苦い あの味のような 太陽の眩しくて暖かい 陽だまりような いつも感じているのに 捕まえられない 帽子のツバをぐっと下げて 黒色になりきれない やさしさの夜空