高校サッカー  完結編

高校最後の1年間は最上級生ということもあり、僕の人生の中で、とても濃い1年間になったと思う。
 
高校最後の大会で学んだこと。それは『慢心しない』ということだった。

人は失敗をして成長するというけど、僕たちはまだ若かったこともあり、1番失敗してはいけないときに、その失敗をしてしまった。

僕たちは最上学年になり、関東大会に出場。インターハイでも神奈川県勢としてベスト4という成績を残した。周囲が期待していた通りの活躍を見せたのだ。

そして迎えた高校生最後の大会。全国高校選手権大会で、僕たちは決勝で桐光学園に2-0で勝ち、見事に神奈川県2連覇を成し遂げた。
 
その頃の僕たちはまるで何もかもを手にしたかのように喜び、天狗になり、完全に慢心してしまっていた。

自分だけを良く書くつもりはないが、神奈川県予選を戦っていたときは、県大会を優勝するために、メンバーのほとんどが残って練習をしていたにもかかわらず、優勝が決まった途端、その人数が極端に減った。

それを疑問に思いつつも、行動に移せなかった自分が悔しいし、今でも後悔している。自分はしっかりやっている。それだけで、あの頃の僕は満足していたのかもしれない。

そして冒頭にも書いた、起きてはいけないことが起こってしまった。
それは選手権の対戦カードが決まったある日、ミーティングルームで次の対戦相手の試合を見るようにと監督に言われたところ、僕たちメンバーは何を思ったのか、最初の15分くらいだけ試合を見て、さらにその次の対戦相手の試合映像を見始めたのだ。
 
1試合目の相手は高松商業。そして僕たちが見ていた試合は、勝てば2試合目にやるはずだったであろう野洲高校(この年の選手権優勝高校)だった。
 
どこかで自分たちは1回戦なんかで負けるわけがないと高をくくっていたし、驕っていた。
このときのメンバーはいま振り返っても、本当にノっているときは強かったと思う。
俺たちならどこにも負けないんじゃないかと何度も思わせてくれるメンバーだった。
でも、それは諸刃の剣で。
誰か一人の調子が悪いと、嘘みたいにそれが伝染していくチームでもあった。
 
1回戦の高松商業戦でまさにその影響が出てしまったのだ。あれだけ強気だった自分たちが嘘のように思っているプレーができず、試合は1ー1でPK戦へ。
 
PK戦なんて運だからしょうがないとか、そういうことを言う人もいるけど、僕はそうは思わない。しっかりと準備をして、その試合にどれだけの情報を持って試合に臨んだかで結果は大きく変わると思うからだ。

 
僕たちはPK戦だけでなく、試合に対しても最高の準備を本当にしていたかと聞かれたら、決してそうだったとは言えない。
その結果、PK戦の末、僕たちは1回戦敗退となった。

去年あれだけ悔しい思いをし、1年間本当に頑張ってきたのにもかかわらず、僕たちは少しの油断や心の準備を怠ったせいで、この試合が最高の仲間たちとプレーする最後の試合になってしまった。

 
この高校最後の試合で経験した教訓は、今でも僕のサッカー人生の糧となっている。

どんな相手でも、どんな環境に置かれていても、いつでも最高の準備をする。
プロとして、これができることは当たり前だと思うかもしれないが、実はこれこそが1番大切なことなのかもしれない。

 
慢心しない。いつでも最高の準備をする。
 

このふたつが、僕が高校サッカーでたくさんの失敗から学んだ大切なものだった。