ワンルーム

 恋人と二人で暮らすワンルーム。もう半年以上が経つ。毎朝使う自転車。たまに使う洗濯機はガタガタ煩い。冷たい水が出るシャワー。フライパンが当たって溶けた炊飯器。棚に飾ってある写真立て。無造作に置かれた二人の服。ゴミ箱の上には恋人の化粧品。天井に消えていく煙草の煙。溜まっていく吸い殻と洗い物。
 僕たちのワンルームにはかけがえのない物、時間、景色が流れている。ワンルームだからいいのかな。どこにいても恋人が目に映る。もはや眠っている間でさえ、瞼の裏にいてほしい。でも朝目覚めた時、横に恋人がいるだけでそれでいい。お互いの仕事が終わって、夜会えるのもまたいい。

 当たり前が当たり前ではなくなる時が来るのかもしれない。そう考えると今の全てが切なく、愛おしい。守るべきもの、守るものが前より分かった気がする。この一日一日を守ることで当たり前が当たり前になるのかな。
 まだ秋が残る夜空の下、恋人と二人、今日も僕たちのワンルームには輝かしい思い出が刻まれている。

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