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最高のロック歌手・反町隆史全曲レビューPart3(最終回)

いや、わかってんのよ。

この企画がウケてないってことは!!!

でもここまできたんだから最後まで走り切りたい。よそ見なんてせずに夢をつかみたい。
ほら、つかう言葉が反町(しつこいけど敬称略でいきます!!)っぽくなってきたでしょ。

これは人に歌手・反町の魅力を伝えるための文章でもありながら、自分に再度反町イズムを注入するための儀式でもあるのだ。もう一段上の男になるために。

とはいえ、泣いても笑っても今回が最後だ。ついてこい。お前の目で歩け。


3rd『SOUL』(2000)

前作から2年の月日が流れ、2000年に突入。
このアルバムが現時点では反町隆史最新作となっているが、俳優さんのアルバムなのに本人が登場していないジャケットを見て分かる通り、前2作とはかなり違う作風となっている。反町隆史、シーズン3に突入だ。
簡単にいうと、オルタナティブロックなのだ。ほぼ洋楽だ。
爆音のサウンドにエフェクト気味のヴォーカルで、リアルな歌唱で歌い上げるというよりはシャウト気味で激しく歌っている。歌のボリュームも一般的なJ-POPからするとかなり小さめにミックスされている。
リズムや音程に関しても、かつての不安定な感じはもうほとんどない。

あの"反町隆史"を期待して聴くとそのギャップに驚くかもしれないが、筆者はこのアルバムを聴いた時点で(リアルタイムじゃないのに買ってるという時点で)、かなりの信者なのでもう何でもOK状態。
このアルバムも普通にカッコいい作品として愛聴している。いや、普通にカッコいいのよ。

1.DEPRESSION COLOR
アルバムのオープニングを飾るのにふさわしいストレートなロックナンバー。
1st『メッセージ』1曲目の「Getting my way」と聴き比べると、ほんとに時代の流れを感じる。ドラムがカッコいいな~と思ってたら佐野康夫さん(aikoさんなど、数えきれない一流アーティストを支える日本一のドラマーの一人)だった。

~"何もしないために 何かをしてるようで"~


2.BLACK AND WHITE
これもだいぶヴォーカルにエフェクトがかかっており、もはやストレートに反町の声を聴かせるつもりはないと言わんばかりの大胆なミックス。
邪推だが、ある程度ここで音楽活動に区切りをつけることが制作前から決まっていたのだろうか。「最後だから好きなことやろうぜ!」というノリも感じる。
ご本人がインタビューで「前作『HIGH LIFE』までで伝えたいことは出し切った」とおっしゃってたらしく、確かに歌詞の印象は若干薄い。

~"夢を探し続けていこう 君と二人で"~


3.PIECE OF LOVE(22 JAN.2000)
タイトルの日付の意味はよく分からないが、前2曲と比べると若干メロウな楽曲。ヴォーカルも聴きやすい。
「揺るがぬ山を思うように」という歌詞では、かつて"反町隆史がキリマンジャロの山頂でキリマンジャロコーヒーを飲む"という謎の特番があったことを思い出させられる。

~"この世界でたったひとりだけ愛をくれた"~



4.TOWARD THE WIND
このアルバムにおけるベストナンバー。いや、気分によっては反町隆史の中で一番いい曲。いや、気分によっては全世界で一番いい曲かもしれない。
元WANDSの柴崎さんが作曲。オルタナティブ感とメロディーの強さが両立した、聴くたびに勇気をもらえる楽曲だ。
壮大なギターサウンドにのせて、愛する人とふたり逆境に立ち向かう様が綴られる。
この曲を聴くために『SOUL』を購入するのもアリだと断言できる。

~"そして足跡だけが まぼろしのように"~


5.WIND IS GONE
アコギをフィーチャーした優しい曲調のナンバー。ここまで突っ走ってきたので一休みといったところか。

~"なぜ世界は終わらない?"~


6.BREAK DOWN THE WALL
1分以上の長いSEの後急に始まる曲。「壁に~」という歌詞なのだが、歌い方が激しくて「ケムリ!」にしか聴こえない。
またヴォーカルのエフェクトが相当激しく、ヴォーカルの音量も低いオルタナティブナンバー。
このアルバム全体的にロックサウンドに打ち込みが加わっていて(当時「デジロック」というダサすぎる言葉もありましたね)、まさにこの辺が2000年代といった感じで懐かしい。

~"やばい焔に 迫る嵐に 拒絶に耐えている"~


7.DELIGHT
前曲に負けずとも劣らない渋いデジロックナンバー。
かつての反町の歌詞は"ラブソング"と"夢をつかめ的な応援ソング"のどちらかの方向性だったが、この曲に顕著なように、『SOUL』ではその2つが融合していて、「2人で夢をつかもうぜ」という内容が多い。
プライベートや心境の変化なのだろうか。松嶋さんだろうか。

ちなみに松嶋さんとは2001年のZEPPでのライブを終えた後に結婚されているらしい。そういう節目にするってことは、やはり反町本人の中での音楽活動の比重は大きかったのだとファンは思ってしまう。

~"寄り添い眠る動物たちのように ただ 力なく横たわる奴らのStreet"~

8.FREE
反町隆史現時点での最新シングルにして、唯一の本人作曲ナンバー。
1stの頃からは考えられないほどレベルアップした歌唱力で、吐き捨てるようにワイルドに歌われるこの曲もまた、『SOUL』のハイライト、名曲といえよう。

アレンジや演奏も最高で、Aメロが終わってベースとドラムが入ってくるところがカッコ良すぎる。ロックの興奮がここに詰まっている。

~"手を伸ばせば届くだろうか? 汗を流せば叶うだろうか?"~


9.PROMISED LAND
この終盤にきて、アルバム中最もハードな楽曲が登場。
ギターサウンドもドでかく、ヴォーカルは例のごとくだいぶ歪んでいる。
こちらも元WANDS柴崎さん作曲。柴崎さんはWANDS脱退後al.ni.coというハードでオルタナでかっこいいバンドをやっていらっしゃったが、この曲とかはだいぶそのエッセンスが入っている気がする。
歌詞は珍しくファンタジックで抽象的。

~"描かれた女神の理想を逃れて 灼熱の中へ"~


10.EVER AND EVER
作詞:反町隆史と書いてあり、きちんと歌詞カードに歌詞もあるのだが、実際は歌のないインストナンバー。謎すぎるよ。
しかしこのような大きな謎を残して音楽活動に区切りをつけるあたり、やはりアーティストという感じだ。
「どういうことかわかるか?」と問われているようだ。リリースから22年、答えは、まだ出ていない。


……終わった。
バージョン違いとかそういうのはおいといて、これで正真正銘、歌手・反町隆史が世に出した楽曲全てをレビューした。

後に残るのはなんだったのか。これをやった意味は?
答えは、まだ出ていない。
でも今、僕の中には爽やかな風が吹いている。

時代は変わった。
イエローモンキー、ナンバーガール、Stone Roses…絶対に再結成はないと思われていたバンド達も再結成を果たしたりした。

僕はまだ夢を捨てていない。
反町隆史さんが、またマイクを握ってくれる日がくると、信じている。
1番では弾いてたのに2番で飽きて全然弾かなくなるギター(LIVE DVD参照)を、手に取ってくれると、信じている。

Forever…Rock Singer…Takashi Sorimachi.

愛をこめて。





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