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寝返りファッション

さて、1週に一度のつもりで書いていたこのnoteだが、ずいぶんと間が空いてしまった。

何をしてたかと言うと、NETFLIXで『サバイバー 宿命の大統領』シーズン3を見るのに忙しかった…わけではなく、北海道でNHK・BSプレミアムの番組『骨の髄まで歌います』のロケをしていた。

7/29(月)から4日間にわたり、朝7:00から放映されるので観ていただきたい。ある職業にフォーカスをあて、人々の話を聞いて曲を作る。貴重な経験をさせてもらった。


北海道は人生で二度目だった。かつて高校の卒業間際、スキー旅行でトマムに行ったことがある。

覚えていることがある。時期は春。僕はひどい花粉症で、当時発売されたばっかりの画期的なマスクをしていた。今や全国民がつけているだろう、顔に隙間なくぴったりフィットするあのマスクだ。

従来の、ただ四角い布をあてるだけのゴム紐マスクと違い、隙間がないため当然花粉からの防護精度は高い。ただ2000年代初頭の当時は花粉グッズを求めて薬局をウロつくヘビーカフンショナー(筆者造語・重い花粉症の人)以外には知られていなかった。

その珍しい形、鼻先がとんがっていてちょっと鳥みたいということで、北海道旅行の際に同級生からの奇異の目にさらされた。「鳥人間」「カラス(多分幽遊白書の)」「マドモアゼル」「イ〇ポ野郎」などと呼ばれた。

それでも花粉を吸いこんで鼻水で溺死するよりマシだ。言われなき悪評を背に東京に帰ってきた後で、北海道ではスギ花粉の量がとても少ないことを知った。

前述のとおり、2019年現在「マスク」といえばあの鳥人間の形が主流である。逆にゴム紐マスクをして歩いている人をあまり見なくなった。

あの時僕のマスクをバカにしてきた彼らも、きっと今は鳥人間の仲間入りをしていることだろう。ところでマドモアゼルってなんだ。マスク関係ないだろう。イ〇ポ野郎はもっとなんなんだ。


こんな経験が人生に何度かある。ある時期は白い目で見られていたものが、後にスタンダードになる、という現象だ。

例えばニューバランスのスニーカー。昔から全然スタンダードだったのかもしれないが、中学生の頃「NB」のスニーカーを履いていたらこれまた同級生に「スニーカーだっせ~」と言われたことがある。

あとはスウェット地のズボンだ。今ではどの洋服屋でも手に入る、スウェット地だけどスポーツ系でもなく部屋着でもない、外に履いていけるズボン(わかるかな?)。

大学の頃あれを街中で履いている人を見て、「カッケー」と思い服屋に繰り出したが、なかった。丁度「何かお探しですか?」と声をかけてきた店員さんに「スウェットなんだけど上品な形で外に履いていけるズボンってないですか?」と聞くと彼は「スウェットで外出はちょっとないっすね」と鼻で笑った。「あとズボンじゃなくてパンツ(⤴)っすね」と、これは言われてないけど、心の中では言っていたんじゃなかろうか。


別に自分が世の中を先取るセンスマンだと言いたいわけではない。逆に、気づくと全身緑のコーディネイトで、親に「カエルですか?」と言われたこともあるほどのセンス無し男なのだ。

上記の3アイテムだって、僕の狭い世界では見なかったというだけで、どこかではバリバリ普通に使われてたんだと思う。


ではなく、人のファッションを見て批判する時は慎重になった方がいい、ということなのだ。

ファッションは移り変わるものだから?だったらなおさらだ。一周したときに軸がブレているように見えるから、その時の流行じゃないからといって人の服を安易にバカにしないほうがいい。もし「ダサい」と言うのならちゃんとその意見は変えずに持っていた方がいい。

でも残念ながら、経験上批判する人ほど流される。ある時期に「ダサい」と言っていたものを平気で着るようになる。


自分では着ないが、ケミカルウォッシュのジーパンが「オタクっぽい」と批判されていた時代を経て、いつしかオシャレアイテム(とはいえ上級者向けっぽいけど)として扱われていた時、僕は「ファッション」というものを全く信用しなくなった。

バンドの相棒エミリも、学生時代ゴン太の眉毛をからかわれて泣きながら細眉にしていたが、今やどうだろう。きっとその時からかっていた人ほど、村山富市並みにボーボーに生やしてるはずだ。


もしこれを読んでいる人で、他人にファッションを批判されて傷ついている人は、どうか自分の好きなものを曲げずにいてほしい。どうせあいつらは寝返るのだ。

というわけで、全身緑のカエルコーディネイトが流行る時代を待ってるんですが、まだですかね??

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