コンビニ金融道〜1発目

フランチャイズシステムは、ある意味特殊なシステムだ。

通常、商品仕入れ代金が先にないと商売はできない。
ところがコンビニは、加盟するために必要な加盟金以外の出資金を必要としない。
それ自体に問題があるわけではない。それどころか、そのシステムのお陰で誰でも手軽に商売を始められるというメリットがある。

だが、オープンアカウント制度と呼ばれるコンビニ独特な金銭システムは、時に加盟店オーナーの首をシメる。

※オープンアカウント制度
売上金管理、仕入代金管理等の金銭やり取りを一括管理することで、仕入金のやり取りやアルバイト給与の支払いなどの業務負担を減らすと同時に、自動融資とも呼べるシステムが確立されている。
開店時に必要な商品代金もこのオープンアカウントで管理される。だから、仕入代金の出資が必要ないのだ。
また、月末の仕入代金など通常の自営業では苦しむところだが、オープンアカウント制度があることで、いつも店には豊富な商品が用意できることとなる。

本日は、コンビニオーナーが借金で首が回らなくなり辞めていったケースを3回に分けて紹介する。ある面から見れば、オープンアカウント制度が引き金となっていることが分かるケースだろう。

●ケース1
オーナーは、脱サラしてコンビニ経営をスタート。子どもの養育も終わり、老後に向けての資金稼ぎとして、以前から夢見てた独立を選んだようだ。
スタート時、オーナーの財務状況に問題はなく、家は親からの財産だったので人生最大の買い物とも言える住宅ローンは抱えていなかった。そればかりか、親が農業をしていたので住宅以外の土地も持っていた。

始めた店は、地方都市ではあるが名の知れた駅前立地。朝夕の乗降客、高等学校の学生、近隣オフィス需要、地方都市のためオフィス街は狭いがその代わり駅前とは言え、住宅が立ち並んでいる。一見、商売をするにはベストな場所のように見える。商売未経験者のオーナーは、本部の薦められるがまま、その店で契約をする。
しかし、好立地に見える場所がすべてアタリとは限らない。

以前、そんな記事を書いた。
ITmedia ビジネスオンライン「コンビニを滅ぼすかもしれない、“恐怖の物件”とは

決して多いとは言えない駅の乗降客に加え、店に隣接している方の改札が使えるのは、午前8時以降。夕方こそ開いているが、閉まるのも当然早い。
中途半端な駅前立地は駐車場も狭く5台しか止められない。多くの地方都市住民の主となる足は車だ。少ない駐車場では、来店客数にも影響は少なくない。
学生客は単価も低く、通常年間最大の売上になる夏は休み。オマケに万引きは他の店の3倍はあろうかというくらい商品ロスによるマイナスだ。
好条件と思われたほとんどの前提が崩れた。

完全に本部の店舗選定ミスだと言える。しかし、本部は決して自分達の非は認めない。
オーナーは次第に金に困ることとなる。

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