昆虫食、食レポ
昆虫食に興味のある方、寄ってらっしゃい見てらっしゃい。気になる昆虫のお味とは?
まず初めに、昆虫食の基本をお伝えします。そもそもの基本として、肉類や魚などタンパク質の食材を調理する場合、内臓を食べられるものと食べられないものに分けてから調理します。理由は、全ての臓物が食べられるわけではないし、美味しいとも限らないからです。ハラミにはハラミの調理方法がありテッチャンにはテッチャンの調理方があります。内臓系はたいてい、洗って有害な物質を落としてからじゃないと無理です。動物が食べた餌によっては、人間がお腹を壊してしまう物質が含まれているかもしれないからです。
しかしながら、昆虫食にはこのような調理方が不可能であるということが前提としてあります。小さな生き物であるが故に、丸ごと食べる以外、食べる方法がありません。「サンマは苦いか塩っぱいか」という言葉のように、昆虫も内臓の味に左右されてしまいます。だから内臓を抜いて調理しないと大抵の昆虫は少し苦いと考えた方がいいです。
では昆虫は不味いのでしょうか?決してそんなことはありません。翅や細い脚などを除き、内臓を抜いてしまえば、こんなに美味しいタンパク源が手に入るのが奇跡のように感じるでしょう。ほとんどの昆虫はとても上品なあっさりしたエビやカニの味がします。
では独断と偏見で食レポ、ランキングいってみましょう。
1番美味しい昆虫は、蜂の子です。蜂の幼虫です。蜂の親は羽ばたく昆虫ですが、幼虫は脚のない丸みを帯びた白い豆のような外見をしています。可愛いので食べるのが申し訳なく感じます。長野県などで多く食べられています。採取が大変難しく、そのへんの知識や技術を持った人じゃないと蜂に刺されて命を落としてしまいます。しかしその味は絶品です。ちなみに蜂のサナギの方が美味しいと言う人もいます。しかし成虫になりかけのやつは固くて食べれません。
おっと伝え忘れていました。昆虫食の基本、No.2、昆虫は幼虫ほど柔らかく、さらに成虫になる直前に脱皮したてのものが美味しい。
その代表格はセミです。皆さんご存知のセミは、数年から十数年を木の根っこの汁を吸いながら土の中で過ごし、幼虫が土から出てきて脱皮して成虫になります。セミは種類によって味が変わります。私が食したのはアブラゼミとクマゼミの成虫になる直前でした。アブラゼミは美味しいのですが、クマゼミはどうも固くて美味しくなかったです。エビの頭の近くの味がします。セミは不完全変態と言って、サナギにはなりません。幼虫が脱皮してすぐに成虫になります。
その一方で蚕という蛾の仲間はいったんサナギになります。蚕の蛹は昔から養蚕をしている農村でおやつとして食べられていました。とても上品でありながら濃厚なタンパク質と脂質がいい感じにハーモニーを奏でています。
養蚕とは蚕がサナギになる前に吐き出す糸をとって着物などの原料にすることです。富岡製糸場が有名なようにかつての日本は養蚕大国でしたが、現在は化学繊維の登場やコストの面で他の繊維製品に負けて、中国や物価の安い発展途上国に主要な生産の場が移てっいます。日本ではすっかり贅沢品です。しかし蚕はその利用価値の多様さから、好んで飼育する人もいます。私もその1人です。蚕の幼虫がする糞は天日で乾燥させてフライパンで煎ると、香ばしい香りがします。お茶としてお湯を注いで飲めます。美味しいです。サナギになった直後は美味しい食材になりますし、繭からは服が作れるので蚕は本当にすごいです。
以下、蚕についてもっと詳しく↓
https://note.com/kawara14/n/n70d4a08ac7eb
昆虫食で欠かせないと言っても過言ではないバッタ類。イナゴの佃煮は代表格ですが、イナゴの佃煮が他のバッタ類ではなくイナゴでなくてはいけない理由がなんとなくわかります。いろいろ比べてみましたが、イナゴはバッタの中でも美味しいです。クセがなくて上品な味です。ツチイナゴ、ヒナバッタはおすすめしません。変な味がします。おそらく食べている草がよくないのでしょう。バッタは内臓をぬかなければ美味しくありません。佃煮という選択肢は理にかなっていますね。
ザザムシ、マゴタロウムシは川の昆虫です。ザザムシとはトビケラの幼虫で綺麗な川の中の石の隙間に生息しています。砂粒を集めて、自分の吐いた糸で固めて流されないように巣を作っている、とても努力家の昆虫です。ザザムシの佃煮は郷土料理になっているほど。なんとも言えない独特な風味は、ご飯が進みます。
一方、マゴタロウムシはひどい味でした。砂糖と醤油で味付けして胡麻油で炒めて食べるのがいいです。旨味はあるんですが、それ以上に苦いしクセが強いです。好き嫌いが分かれそうです。昔の日本人は薬として利用していたそうですが、効能や用途の方はよくわかりません。
カメムシは東南アジアなどで食べられています。私も味が気になったのでカメムシを油で炒めて食べてみました。あの独特の臭い匂いが気になるかと思いきや、それをはるかに上回って、カメムシ本体が美味しかったのでびっくりしました。カメムシは草の汁などを吸って生きています。セミと食性は近いのでセミのような味がするのも納得です。カメムシはいろいろな種類がいるので全てが美味しいとは限りませんが、もっと調査が必要です。料理の新しいエッセンスにもつかえそうで可能性を感じます。
ゾウムシは植物の実や葉っぱを食べています。実にたくさんの種類がいますが、おそらくどれも美味しいです。エビやカニとは全く違うけど、ちょっぴりクリーミーでいかにも栄養がありそうな感じ。しかし体の硬さはどうしようもありません。油で揚げてカリカリにするか、茹で時間を長くすることで克服できます。
カタツムリ、ナメクジは最下位で。貝の仲間です。エスカルゴなんかはフランス料理にもありますけど、おそらく日本のカタツムリではあてはまるものがいないのではないでしょうか。エゾマイマイを冷凍してから加熱調理しました。落ち葉などを食べているため、身体中に独特の苦味があります。また、加熱すると縮んで大きさが三分の一以下になってしまうため、大きなものをとってくる必要があります。アク抜きしなければ苦いですが、アク抜きすると味がなくなります。硬いゴムのような食感です。ナメクジも同じ。ニンニクとオリーブオイル、ハオユーなどと一緒に炒めたらいいのではないでしょうか。貝は海の貝に限ります。
ザックリと昆虫食を解説してみましたが、これだけは断言できます。昆虫は肉の代わりにはなりません。肉を食べてもいいじゃないか。牛が出す二酸化炭素やメタンガスなど気にすることはありません。牛がウンコをしなければ堆肥は手に入らず、畑の作物も大きく育ちません。かといって屋内でもできる農業である水耕栽培は電気代が馬鹿にならないし、畑と畜産はセットでスタンダードとして考えるべきです。二酸化炭素排出量と畜産を結びつけるのはやめてください。
コオロギを食用にするのはそんなに実用的じゃありません。コオロギに与える飼料が結局必要になるからです。人が食べた残したゴミを飼料として与えればいいじゃないか、と思った人、私の文章最初から読みましたか?昆虫は丸ごと食べる食材です。つまり内臓、昆虫が食べた餌も一緒に食べることになるのです。アレルギーのリスクや、有害物質を摂取してしまう可能性が高くなります。結局コオロギには人が食べても大丈夫な飼料を与えるしか無くなるのです。それにコオロギだって呼吸はしますからね。飼育頭数が増えれば二酸化炭素排出量はそれなりになるでしょう。フンはその大きさゆえにカビやすいので堆肥としても利用価値は低いでしょう。
昆虫食はただのグルメです。食料問題も解決しないし環境問題も解決しません。物好きな人のためにあるグルメなのです。
今日はこの辺で。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?