自己肯定感を高める方法

この手のタイトルで人を釣り、信者を増やしていく人々がネット上に多く見られる。YouTubeやアメブロなど媒体は様々であるが、自分に自信を持ちたい、素直に生きたい、そう望む人をターゲットにしている。いかがわしい。
SNS上の世渡り術や他人と比べない方法、あるいは催眠術に近いものもあったりする。「本当のあなたを出して!偽物のあなたはもう死んだのよ!」などと繰り返したり。はっきり言って胡散臭い。
じゃあ、そういうお前はなぜそんなあやしいものを見てるのか、そう言われそうであるが、観察の為だ。そのような発信者達のやり方は効果がないどころか、危険性を感じた。

では私自身、人に騙されていた経験を通して何が危険なのかを説明する。そして正しい問題解決の方法を自分の頭で考えて欲しい。そのヒントも書いておく。諦めること無かれ。あなたの問題はきっと解決するはずだ。

数年前、私はバイトを通して知り合ったカフェのマスターに人生の相談に乗ってもらった。彼は親身になって聞いてくれたので私は胸のうちを打ち明けた。その結果、数ヶ月経ち、私は無給でカフェの仕事をしたりイベントを企画して客を呼び込む人間になっていた。マスターの知り合いの町おこしを手伝い、廃屋の内装を解体したり時に激しい肉体労働もした。気がついたら私は、私の人生の問題を解決してくれると申し出てきたマスターの為に多くの時間を割き、心身をすり減らしていた。無理難題をふっかけられ、怒鳴られ、自尊心を傷つけられることもあった。最初は柔和で友達のように話していたのに、少しの反抗も、反論も許されなくなっていた。もう限界に達していたある日、無理難題をふっかけられて私は自分の無能さを痛感し、罪悪感から死のうと思った。結局、飛び込もうと思って海まで歩いたが、海の水に浸かって冷静さを取り戻した。水は冷たかった。で、今私はこの通り生きている。

私の身に起きたことはあなたにも起こりうる。本来の正常な自分なら決してしないような判断をするようになっていることがある。自分を不幸せにするはずのものが自分を幸せにすると思い込んでいることがある。それは、そのように思い込まされたからだ。

マインドコントロールとか洗脳とか言ったりする。オカルトやフィクションのものではないし、自分の考えと合わない政治的な主張を退ける罵り言葉でもない。その方法は実在する。

メカニズムは単純だ。人の心の働きは自分で意識して変えられる部分と、自分の本心とか気持ち、つまり意識して変えることができない部分がある。ターゲットに対してはこの、意識して変えられない部分に蓋をして、意識して考えて行動する自分を本当の自分だと思わせる。自分の気持ちに蓋をさせるのだ。演じている自分が主役となり、蓋をした自分が忘れ去られれば洗脳は成功となる。人格が2つに分断された状態に近い。吹き込まれた現実を信じて、最初から自分の考えだったと思い込む。

ここが問題だ。
仮に自己肯定感の低い自分から、自己肯定感の高い自分になろうと試みるとしよう。世の中の自己啓発や精神論、催眠タイプの人達のやり方で、「意識して作り上げる自分」というものができてしまう。それは自分で自分を洗脳するようなものだ。良い洗脳と悪い洗脳は確かにあるかも知れない。しかし、自分の気持ちに蓋をしたまま、あるべき、こうありたい自分になることは健全だろうか?
その答えはNoである。
人生に行き詰まり、自己洗脳を繰り返した人ほど暗示や洗脳にかかりやすくなる。危ない人に操られやすくなる。自分の気持ちや直感を無視して、その時々に正しいと思ったロジック、過去の成功体験を元に行動するからだ。つまり危うい。直感とか好き嫌いは馬鹿に出来ない。時に頭で考えるよりも良い結果を生む。
直感の声を無視したばかりにヤバい人間の罠にかかり、逃げられなくなってしまうことがある。ヤバい人間だという証拠を掴むまで話を聞いているということは、あなたが実際にヤバい目に合わされるということだ。これ以上の証拠はない。
つまり、判断に証拠は必要ない。ヤバいと思ったら逃げていいし、好きだと思ったら声をかけて良い。

直感は大切だし、自分の気持ちは大事にしたい。だけど自分を変えたい。自信を持ちたい。そういう時に気持ちの持ちようを変えようとしてはいけない。

例えるならお金だ。
あなたはギャンブルをしてスッてしまった。お金がなくなった。さあどうする?
・他人から盗む
・お金を借りる
・仕事をする
・ギャンブル以外の趣味をやってみる

最初の2つは論外だ。お金の問題をお金で解決しようとしてはいけない!借金地獄に落ちて手がつけられなくなるか、犯罪に手を染めるのが落ちだ。つまりは仕事をする、ギャンブル以外の趣味をやってみる、この2つの行動があなたにお金をもたらすのである。お金によってではなく、仕事、という行動によってお金を得る。考えてみれば当たり前のことだが。

……ではどうしてあなたは気持ちの持ち方を精神論によって変えようとしているのかを問いたい。自己啓発や自分に暗示をかける方法は一時的にはあなたの自己肯定感を高めてくれるかも知れない。しかし、それは誤魔化しだ。他人に対する不安や嫉妬、認めてもらいたい気持ちには蓋がされたままだし、根本的には何も解決していない。それに他人のロジックや精神論を自分に言い聞かせることはその人の奴隷になるのと一緒だ。一時的な高揚感を得る代わりに自分の気持ちに蓋をして、他人の考え方の奴隷になっている。精神的な負債を抱える。それは倍になってリバウンドする。

……というわけで、ギャンブルの例えは悪いが、的確だと思う。お金で困ったらお金以外の要因、例えば自分の行動を変えよ。そういうことだ。

あなたは自己肯定感が不足していると感じている。そのときにするべきことは精神論ではない。精神面で困っているのだから、精神面の負債を作ってはいけない。それ以外の要因に手をつけなければ解決しない。

その要因は何か?
私ごときが知るはずがない!自分の頭で考えて!

言葉は悪いが、まともな人間(私がそうかはわからないが)は他人の人生に責任を持とうとしない。やたら介入しない。
胡散臭い人間というのはここで人間の心の奥底までを知っているかのように話す。あまりに言葉巧みなので引き込まれてしまう。

さて、問題解決の手がかりとして、なぜ自己肯定感が低いのか、理由を探さねばならない。蓋をしていた自分の気持ちを恐る恐る開いて確認する。

毎日怒鳴られているとか、苦手な仕事ばかりさせられてるとか、周りに有能な人ばかりで疲れるとか、様々な要因があるはずだ。親が後ろについて居ないと心細いだけだったとか、誰かに誉められないと自分がうまくやったのかそうでないのか自分自身で判断できないとか。理由がある。
まずはそれを特定すること。

それができたなら、変えるべきは原因を作っている環境や行動を変えることだ。気持ちの持ちようではどうにもならないからこうして困っている。だから行動する。

環境を変えること、これが最優先事項だし、一番効果のあることだが、できないならば次は行動だ。

行動は小さなことから始めるのが良い。難しいことをすれば自己肯定感を下げる。
歯を磨いたり顔を洗ったり、簡単にできて、あまり失敗したり、めげないことから。いつもより丁寧にやれば、少しは自分自身がよりよく見えるはずだ。これは、他人からは判別がつかないこと。良し悪しが自分にしかわからないことほど効果がある。つまりは他人の称賛を得ようとして精神的な負債を作ってきたのだから、他人の目につく場所で頑張っても逆効果だ。人知れず、自分で自分に満足できるコンディションを作るのが重要だ。
夜、早く寝て十分な睡眠を取る、ゆっくり風呂に入って疲れを取る、休みの日はいっぱい遊んで美味しいものを食べて気持ち良くなっておく。これだけでも翌日の仕事のパフォーマンスは激上がりである。また怒鳴られるかも知れない。しかし、自分で自分のパフォーマンスが上昇しているのが実感できることが目的なのでオールオーケーだ。

自分の行動が自分の快感を作り、その快感が自分を高めてくれる。当たり前のことだが、無理をしたり自分を罰する気持ちで自分を大切にすることをやめてしまうと、かえって自己肯定感は下がるものだ。

自分を自分で大切にする、その行動とは自分の体が心地よいと思うものを積極的に取り入れることだ。健全な精神は健全な肉体に宿る、私の経験から言えば、そういうことだ。十分な休息や体のメンテナンスは最重要項目である。体の声を聞く。

しんどい時は無理をして他人からの評価を求めないこと。(主に肉体的に)最も簡単で単純な方法を使い、自分で自分を気持ち良くさせること。それができて初めて、自分自身のスキルアップや努力、他人へのアピール方法について考え始めるのが良い。逆は無い。体の動き一つ、姿勢一つ、歩き方一つ、呼吸一つで心の状態は全く変わってくる。
卑屈になっている時、人目を気にして不自然な呼吸がくせになっている。プレッシャーを感じて体が強ばる。肩を上下するような浅い呼吸では酸素が回らない。
そういう時は下腹部、体の中心の下の方、臍下丹田(せいかたんでん)をしっかり使って体の奥から呼吸することが大切だ。

心を変えたいなら体の状態を変えよ。

私から言えることはそのぐらいだ。

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クラスターデモについて書いた記事もあるので長いですがそちらもぜひご一読ください。
河原Chariというアカウント名でYouTubeにも投稿しております。

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