新年初笑い•カリウスとバクトゥス

ノルウェーにはある有名な絵本がある。トールビョルン・エグネル1949年『カリウスとバクトゥス』(原題:Karius og Baktus)

この物語の主人公はなんと、虫歯の菌の兄弟だ。歯を磨かず、甘いものばかりを食べている男の子の歯の中に住んでいる。心配性のお兄さん、カリウスは、男の子が歯を磨きやしないかと心配している。(虫歯菌にとって歯を磨かれることは致命的だ。)しかし、弟のバクトゥスは楽天的な性格で、男の子が砂糖付きの甘いクッキーを食べることをいつも楽しみにしている。歯の中にもっと立派なお城を作って景色を見渡してやる!もっともっと仲間が増えたら町ができるぞ!なんて意気込んでいる。「兄さんはいつも心配性なんだから!歯磨きなんてここんところずっとしてないじゃないか!アハハハハハ!」なんて笑っている。ハンマーや掘削機で歯を削り続ける兄弟達。痛がる男の子。
それにしても立派な家、毎日のように口の中に入ってくる大量のお菓子、なんて理想的な生活なのだろうか。さて、虫歯の兄弟に待っている結末とは?

この絵本を元に、多くの劇団員が演じ、子供達を楽しませ、虫歯の恐怖を教えてきた。さらに人形劇まで作られた。ノルウェーのイヴォ・カプリノ監督、『ピンチクリフグランプリ』と共に二枚組のDVDの中に収録されている。(カプリノフェアリーテイルワールド)このDVD、現在では非常に手に入りにくい状況である。私も知り合いに見せてもらって始めて知った。YouTubeで雰囲気だけでもご覧頂こう。もしこれが話題になれば、もっとたくさんのDVDが売られるようになり、あなたのところにも手に入るかもしれない。以下は英語版

https://youtu.be/VOJo73IGpfE

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ノルウェー語はよくわからないけど、独特の笑い方がこちらの笑いをも誘ってくる。

それにしても虫歯には気をつけよう。どうやら虫歯の菌はその辺にいくらでもいる常在菌らしい。普通は病原性を示さないが、人間の免疫が弱ったり、菌が活躍しやすい状況が作り出されると暴れ出すような日和見菌もいる。

ちなみに、常在菌というものがいるなら常在ウイルスというのもいる。いずれにしても普段はほとんど無害である。
菌の大きさは1mmの1/1000の単位【μm(マイクロメートル)】という単位が用いられる。それに対してウイルスは、生物ですらない。RNAという、生物の部品であるから、自分の力だけで増えることはできない。ものを考えることはおろか、意思を持つことさえも。ここが菌との違いである。(菌も考えたりはしないか?)μmの更に1/1000の単位【nm(ナノメートル)】が用いられる。その小ささからしても、数を数えるのはもちろん、肉眼で捉えることも不可能だし、カリウスやバクトゥスのような愉快なキャラクターは豊かな想像の産物であることは言うまでも無い。通常、口の中には1000億個以上の菌がいると言われているのだから途方もない数である。もしも虫歯になったら、カリウスやバクトゥスはいったいどれほどの数になるというのか!?

私たちは膨大な数の細菌やウイルスに囲まれて、いや、体のうちに飼って生活している。歯を磨かなかったり、疲れているのに休まなかったりすると、虫歯になったり風邪をひいたりする。衛生や健康に気をつかうだけで防げる病気はたくさんある。そしてそういう病気ほど、世界中の人が罹患していたりするものだ。(努力だけで100%予防できるわけではないが)

いや、あるいは、カリウスやバクトゥスを喜ばせるためにお菓子を食べ続けるのも1つの生き方かもしれない。←

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