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父を亡くし仕事も無くし、どん底にいた自分に寄り添い背中を押してくれた春日一番と『龍が如く7』【俺GOTY2020】

 ゲームライターマガジン、2021年1月のテーマは【俺GOTY(ゲーム・オブ・ザ・イヤー)】です。

まず、昨年から振り返ると自分は『新サクラ大戦』を選びました。

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 昨年は心の整理がつかないなかで書き上げたこともあり、かなり濁して書きましたが、『新サクラ大戦』は父に癌が見つかり余命みじかいことがわかっているなかで仕事のためにクリアしたタイトルでした。

 ゲーム発売後のインタビュー案件であるためクリアする必要があったのですが、ほかのライターさんに任せて父に付き添い続けることも考えました。ただ、恩師に“親の死に目よりも仕事を優先しろ”と教えられていたこともあり、仕事を全うすることにしました。

 ただ、やはり編集部で『新サクラ大戦』をプレイしているときは「自分の仕事とはなんなんだろう。エンタメなんて本当に大事なときはなにも役に立たないのでは」と悩みました。

 ただ、大神やさくらたちが別の場所でいまだに戦い続けている可能があること、そして、すみれがそんなかつての仲間たちを信じて自分も違う場所で戦い続けることを力強く語ったシーンをみて、自分のネガティブな心は吹っ飛びました。人はエンタメの力があるから人として生きていけるのだとこのゲームが教えてくれました。

 インタビューは諸事情で無くなったものの、自分は『新サクラ大戦』をクリアしたことを後悔していません。タイミングも合い、父にもしっかりお別れできましたしね。

 そして2020年。『新サクラ大戦』で前を向いて生きていくことを決意したものの、父を失った悲しみは消えるわけではありません。

 さらにタイミングが悪いことに2月には長年ずっと関わっていた雑誌が無くなることになりました。フリーランスとはいえ20年近くレギュラーでやっていた仕事がなくなることは心に重くのしかかりました。

 そしてコロナ禍。新作発表会などの取材の仕事はどんどん無くなっていきました。“おうち時間”などという言葉もありますが、我々フリーランスは固定給があるわけでもなく、なにかしらの仕事をしなければ飢えて死んでしまいます。実家が頼れないのならばなおさら。

 “今はインプットする時間”などと気持ちを切り替えることもできず、小説やコミック、ゲームなどにお金を使う気持ちにはなれませんでした。白米に調味料をかけて食べるという生きているだけの生活。

 ただ、そんなときでも、たまにはゲームを遊んでもいいだろうと気まぐれで買ったのがセール中だった『龍が如く7 光と闇の行方』でした。

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 親と慕う荒川真澄と別れ、仕事を失い、ホームレスとして生活する主人公・春日一番を操作し、思いました。「これ、俺じゃん」と。

 俺と春日で違うのは俺が何も無くなって虚無になっているのに対して春日は仲間たちに慕われて楽しそうに過ごしているところでした。

 そんな春日の姿をみて、なにもなくなったと思ったのは俺だけだったのかなー。別にこれまで付き合っていた人間関係が無くなったわけではないし、これから新しい道も作っていけるんじゃないかな―と前向きにさせてもらいました。とくに春日のラストのセリフには背中を押されました。

 ということで、2019年は神崎すみれの覚悟で生きる決意をもらいましたが、2020年は春日一番に生きる道標をもらいました。

やはりエンタメは素晴らしい。今年もたくさんのエンタメとともに希望を持って前に生きていこうと思います。

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