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クロマトグラフィは地球にやさしくない

科学的な分析を支える技術のうち、相当な部分はクロマトグラフィという技術が支えています。詳細は教科書などにありますし、そのうちは私も書こうと思いますが、とても優れた”成分を分離する”技術です。ただ、根本的に有機溶媒を垂れ流すという致命的な欠陥があります。タイトル写真にボトルがいくつも載っていますが、おおむね1分1ml使いますから、1時間60ml/1台、8時間で480ml/1台。1日1台ごとに500mlペットボトルくらい使います。この溶媒使用量を減らしつつ性能を向上させることができれば、多くの二酸化炭素の排出削減に繋がる革新的技術になると思っています。それには、サイズを小さくするしかありません。

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この図はAdobeストックで購入しましたが、すごい時代ですね。こんなものが売れるなんて!

この図は、横軸が測定時間、縦軸は測定器から返される信号の強度(これは210nmの光を入射したときの光の吸収量を測定していて、この4種類の成分はそれぞれ210nmの光を吸収するので、縦軸の信号強度が大きくなる=その成分が多く存在するとなる)を示していて、横軸は1~4の成分が混ざって存在したサンプルからそれぞれの成分が時間ごとに分離されたことを示しています。詳しくはクロマトグラフィを調べて頂くとして、、、

*縦軸の単位mAUは、ミリAUで、ミリは1/1000を意味していて、AUはArbitrary Unitといって任意な単位という分かるような分からんようなものです。要は、測定装置が勝手に”信号としての1”を装置内部で決めていて、その単位を使っていますというような意味合いです。さほど気にしなくていいです。 

見て頂いて、ああ成分ごとに分離できるんだと分かって頂ければ十分です。この図の右下にある右肩上がりの直線があるグラフは、横軸に3番のBenzoic acid:安息香酸の仕込み量を増やした時の信号強度の増え方を見ています。2倍の濃度にすると信号強度も2倍になるということで、まあ当たり前なんですが、信号強度から濃度に変換できるという逆の使い方をします。これを検量線と言いまして、化学分析で成分濃度を求めるときによく使う手段です。光を使った濃度測定は、ここでもそうですがBeer–Lambertの法則という簡単な式を使いますが、この関係式が世界中の濃度測定作業の7割くらいに貢献しているように思います。

クロマトグラフィがないと、食品、工業製品をはじめ臨床検査もできなくなると思います。それくらい我々の生活の根幹を支えています。それなのに、大量の有機溶媒を使用するのはとても残念です。

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今後、この図のような小さなデバイスで測定できるようになり、溶媒使用量も1/10,000くらいに減るのではないかと期待しています。

そんなデバイス作ってみたいなぁと思う今日この頃でした。

河野拝

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