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分析化学のこれまでとこれから

分析化学と言っても、皆さんにはなじみが無いかもしれないと思いながら書いています。化学的な分析とは、身近なところではこんな成分表示を見たことがあると思います。

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エネルギーがいくらで、カルシウムが・・・など書いていますが、これらを測定するのが化学分析で、こういった測定技術の革新を担うのが分析化学という学問領域です。

私たちの生活では、蛇口から安全な水が出てきたり、海水浴をしてもおなかを壊さなかったり、スーパーで売っている食材を食べても平気なのが当たり前になっていますが、その裏ではとても多くの人々がコツコツと化学分析を実施して安全性を担保しています。

ただ、食品でも抜き取り検査を実施していますが全数検査はしていないので、故意に毒を混入させた場合に発見できない場合もあります。2008年に中国の冷凍餃子に殺虫剤を混入させた事件(毒餃子事件)では、輸入検査をすり抜けていました。こういう事件があると、規制は厳しくなっていきます。

https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG20014_Q4A120C1CR0000/

また、PM2.5や福島原発の事故の際の放射線測定など、環境測定も分析化学の領域です。

こういった分野を皆さんが知らないのは、それだけ社会システムの中にキッチリと化学分析が仕組まれているからであって、目に見えないところで頑張っています。私たちが目立たない方が、社会は安全です。

ただ、困ったことがあります。次世代の分析化学を担う人材が減っていることです。大学でも分析化学を専門に扱う研究室は減少傾向で、おそらく人口減少の割合より速いスピードで研究者が減っています。

私のコラムでは、こういった”縁の下の力持ち”がどんな役割をしているか、皆さんに知って頂いて、できれば一人でも多くの若者がこの分野に興味を持ってくれるをことを祈っています。

河野拝

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