見出し画像

渋谷ヒカリエに出店して分かった事。その2

小さなお店の作り方
自由が丘の雑貨屋カタカナ河野の体験談

◇渋谷ヒカリエに出店して分かった事 その2

 
渋谷ヒカリエ店に出店した事によってメリットとデメリットがありました。
 
メリットは
・売上が増えた事
・認知度が上がった事
・信頼度が上がった事。
商売をやる上でこの3つが上向く事は事業を離陸させる為にとても大事です。
 
商業施設のフロア構成で、雑貨をメインの立地に配置をする方法は今では当たり前ですが、渋谷ヒカリエはその先駆けでした。カタカナは5階の雑貨フロアに来た人は必ず通る通路に面する好立地に出店。
以前このnoteで買上げ率の話をしましたが、渋谷ヒカリエの開業当初は圧倒的な客数があり、買上げ率の低さをカバーしてあまりがあるほどでした。
 

渋谷駅の真上に立った最新のファッションビルは、ミュージカルホールや大人が行けるレストランフロア、各階に話題のSHOPも多く、渋谷を素通りしていたビジネスマンやOLさん達が多く来店され、主婦の方々もランチの後の買い物を楽しんでいました。ただその当時のヒカリエはある意味観光地化した場所で、買い物をしたいから行くのではなくて、「ちょっとブラブラヒカリエでも行って見る?」って感じの方や「せっかくだから新しい商業施設でも見てみよう」という方も多く、とにかく色々な方達の入店があり通行量があり
 
その結果何が起きたかというと、スタッフの士気の低下でした。

なぜか?

カタカナは1品1品商品を選び、その商品の良さや背景を伝える事を販売員の大事な仕事の1つとしています。それがメイン通路沿いの好立地だったのが災いして、今まででは発生しなかった商品の破損が続出しました。こけしの首をひねって胴体とバラバラになっていたり、売り物のペンで他の商品に試し書きしたり、商品の落下による破損は後を絶ちませんでした。
その様な状況でスタッフたちは、販売員という本来お客様の買い物をサポートする大切な立場から、お客様の商品の取扱い方を監視する警備員のようになっていきました。
 
ある日、ヒカリエに僕が立ち寄った時、売り場をみて唖然となったのです。店内のあらゆるところに「こちらは商品ですので取り扱いにご注意ください」「この商品にお手を触れる場合はスタッフにお声がけください」などなど。それに加えて「写真撮影ご遠慮ください」
注意書きPOPだらけでした。カタカナの事が好きで接客も楽しかったはずのスタッフたちにからドンドン笑顔が無くなっていきました。
 
そんな変化は分かっていたはずなのに、僕は、隣の区画を借りて売上げを更に倍増しようと計画し、渋谷のスタッフを増やして、イベントも頻繁に増やしました。
 
その頃自由が丘店は、河野と内海君と妻とで運営をしていました、
店頭の販売は皆で手分けして、その他に河野は全体の商品開拓や発注作業、内海君は経理とWEBの運営業務。そして妻が店舗の商品出し、ストック、追加判断、返品処理、ヒカリエ店のスタッフ管理、売場相談、その他もろもろ、実際に店舗を仕切ってくれたのは妻でした。
そこに更に河野が伊勢丹新宿店の催事の予定を組み入れて、とにかく忙しく息のつく間もありません。
忙しくてもお金が残り、余裕が生まれてくれば違ったのでしょうが、なぜか資金繰りは楽にはなりませんでした。売上げが増えるごとに、支払いや、経費も上がっていったから。
 
そんな、この忙しさがいつ終わるのかもわからないような状況である日の夜、たわいもない事での言い争いの後、妻がキレました。
 
「お客さんは「楽しいお店だ!かわいいお店だ!」と言うけど私は全然楽しくない!!もう辞めたい」
 
そう言って、ポロポロと大粒の涙を流して泣き始めました。
 
この時僕は頭を金づちで殴られたような衝撃が。人前で泣かない彼女をここまで追いつめてしまったのは僕なのです。
 
「このままじゃいけない、なんでカタカナを始めたんだっけ」
そう思ったのです。
 
【次回の予告】
 
渋谷ヒカリエに出店して分かった事。その3
 
妻に「私は全然楽しくない」と言われ、このままではカタカナが空中分解してしまうと言う危機感が生まれて、最初に何を決断したかと言うと、外部催事に出る事をいったん凍結しました。
これで、自由が丘店と渋谷ヒカリエ店に集中することが出来ます。
外部催事を断り続けると、今後声がかからなくなるリスクがありますが、そんな事を言っている場合ではありませんでした。
 
そして問題のヒカリエですが、営業の方から話があるので時間をつくって欲しいと連絡がありました。
 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?